ずっと大切にしたいマンガ
かつて中学生だった大人達みんなに読んでもらいたい。 効き目のない薬を飲んでも患者さん自身が効き目があると思い込むことで症状が改善することをプラセボ効果といいますが、その「ぷらせぼ(偽薬)」がタイトルに付いています。思春期の頃って自分や他人に期待し過ぎることがあると思うんです。その過剰な思い込みによってネガティブになったりナイーブになったりするんじゃないかな。主人公の岡ちゃん(表紙の二頭身キャラ)がまさしくその葛藤の真っ只中で、大人になった今は「ありのままの岡ちゃんでいいんだよ」と言ってあげたくなりますが、当時は自分も色々夢中だったかもと懐かしくなりました。岡ちゃんが脇役として登場する回はクラスメイト達の話になるのですが、完璧じゃない恋や友情が物語として特別なものになっています。ちょっと泣けるし、めっちゃ笑えます。
「選ばれる」側と「選ばれない」側というのは残酷で、若い時ほど意識してしまうもの。
集団として強制的に同じ生活をしなければならない環境で「選ばれる」「選ばれない」の分断は、必然的に起こる。しかしこういったことを初めて経験する思春期において、「選ばれる」側は「選ばれない」側を想像できないし、「選ばれない」側も「選ばれる」側と対等に話す言葉を持たない(と思っている)ゆえにすれ違う。
暴走しがちな自意識や思い込みの強さは経験の無さからくるもので、過ぎてみれば何でもないことなんだけど、それが「ぷらせぼ」のように人生に影響してしまう時期。終わり方も爽やかで少し胸が痛んですごく良かった。