ネタバレ

「選ばれる」側と「選ばれない」側というのは残酷で、若い時ほど意識してしまうもの。

集団として強制的に同じ生活をしなければならない環境で「選ばれる」「選ばれない」の分断は、必然的に起こる。しかしこういったことを初めて経験する思春期において、「選ばれる」側は「選ばれない」側を想像できないし、「選ばれない」側も「選ばれる」側と対等に話す言葉を持たない(と思っている)ゆえにすれ違う。

暴走しがちな自意識や思い込みの強さは経験の無さからくるもので、過ぎてみれば何でもないことなんだけど、それが「ぷらせぼ」のように人生に影響してしまう時期。終わり方も爽やかで少し胸が痛んですごく良かった。

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夕子の思い出

夕子の思い出

17歳で亡くなった同級生・佐山夕子の幽霊に偶然出会ってしまった糸田房子、27歳。房子は思ったことをそのまま口に出すせいか、いつも人を遠ざけてしまう。夕子は対照的によく笑い、常に人の輪の中にいた。用事もないのに夕子の霊につきまとわれている最中、高校時代の同窓会の招待状が届いた。行く気のなかった房子だが、夕子の勧めで出席することに。そこでは旧友たちが、夕子の思い出を話していて…。

ぷらせぼくらぶ 新装版

ぷらせぼくらぶ 新装版

中学2年生の岡ちゃんは、当たり前に大人になっていく周りの変化についていけない。取り残されたような寂しい気持ちと、友達を理解したいのにできない苦しさ。幼馴染で親友のあの子と、前みたいに笑いあうことはもうできないのかもしれない。思い出したくないことと、何度も思い出したいこと、全部が詰まった青春群像の傑作。10年振り復刊。描き下ろし読切「夕子の思い出」38P収録!

心臓

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中学生の切実な日常を真正面から描き切った大傑作『ぷらせぼくらぶ』から六年。奥田亜紀子の原点と現在地を収録した作品集がついに刊行。ページが光っているような眩いトーンワークが照らし出す心の深いところ。吹き溜まりだと感じていた場所にあったのは、思いのほかに美しいものなのかもしれない。どこまでも繊細な才能が、鋭く研ぎ澄まされた感性で描く私たちのドラマ。

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