【名作】監察医は死者の心に耳をそばたてて聞く仕事にコメントする
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nyae
nyae
1年以上前
主人公の天野ひかるは、東京の大学を主席で卒業し、地元の大阪に戻り、監察医として大学病院で働いている。 大学時代は、医学部に属していながら卒業後に進む道を決めかねていたひかるだが、あるショッキングな事件をきっかけに、死者の声を聞くことの意味を知り、監察医になることを決めた。 監察医になってからのひかるは、おっとりして控えめながら、気になったこと・分からないことに対しては納得いくまで調べ尽くさないと気がすまない性格ゆえに、必要以上に事件や事故の内情に入り込んでしまい、無念な死を目の当たりにしては心をすり減らすような日々を送っている。 そんなひかるの人並み外れた観察力と真実を知りたいという執念、どんな人間に対しても死には同じ重みがあると信じる純粋な心が、同僚や警察、被害者の周囲の人間にさまざまな影響を与える。 ストーリーの構成としては2〜3話完結(話によって5話くらい続くことも)で、読み手には最初から犯人がわかっているパターンもあれば、事故か事件かもわからないで進む話もある。 ひかるの身近な人間が事件に関わることも少なくない。 プライベートでは、母親からしつこく受ける見合いの誘いを断りながらも、仕事でよく関わる刑事の森田と恋仲になる。森田に対する自分の気持に気づいてから、何かにつれ顔を赤らめオドオドする様子は、相当な奥手女子であることがわかる。しかし、たまにある超貴重なデート回でも必ず事件や事故に関わることになってしまう運命なのはなんとも残念。 自分はとにかくこの作家の描く人体描写の虜である。 大きい頭になで肩、どんくさそうな脚、…。新作描いてほしいな、と小さな声で言ってみる。 ちなみに、本作の続編である「きらきらひかる2」の新キャラに霊が見える監察医がいるが、なぜかひかると同程度の主役級の扱いになっているうえに、森田の存在感がかなり薄くなっている(恋人同士という設定自体が無くなってる感じ)。 それにかなりのショックを受けたが「きらきらひかる最終章」(未電子化)でそこらへんはしっかり回収されている。
COBRA THE SPACE PIRATE

夢と呼ぶにはあまりに厳しく余りに哀しい影に向かってのオデッセイ

COBRA THE SPACE PIRATE
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ)
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ)

著者のライフワークなので一言で括れない幅がある作品で、私は 1.手塚治虫的なタッチが残り奇想展開なアイディアの楽しい「少年ジャンプ初期」(「コブラ復活」~「ラグボール」) 2.線がややソリッドになりシニカルな描写の増えた「少年ジャンプ中期」(「二人の軍曹」~「黄金の扉」) 3.ヒロイックな描写の光る「少年ジャンプ後期」(「神の瞳」~「リターンコブラ」) 4.「聖なる騎士伝説」 5.CGフルカラー期 で分けている。どの期間も見るべき所のある漫画であるが、4.の「聖なる騎士伝説」について書きたい。  「聖なる騎士伝説」は青年誌に掲載された長編で他の話より暗く、いつもよりシリアスでアダルトな展開や描写が多い異色のエピソード(何てったって、レディーさえ出てこない) だ。ここでは新世界の興奮は悪鬼に蹂躙され、コブラのいつもの剽軽な態度やヒロイックな勇気は鳴りを潜め、笑みは嘗て見られなかった暗い影を忍ばせている。絵の線もどの辺よりも細く、陰影もまた濃く、混沌とした悪意蔓延る世界をこれでもかと描き出す。筋も宝や冒険ではなく悪鬼の暗殺と言う剣呑な代物で、終盤に明かされる種も周到に張られた伏線もあり陰惨な世界観を補強する。  今までのスペースオペラと比べると余りにもノワールであり、退廃的でもあるが、それだけに強烈であり、私はこのエピソードが一番好きだ。けだし、このノワールが単なる露悪に終わらず、コブラが常に世を儚むようなニヒルな皮肉を呟きながら銃をぶっ放しながらもどこか善や正義を諦めきれていないからではないかと思う。有名なコマでもある様にコブラは終盤、実際には何の利益を齎さなかった教会を批判し「神か……最初に罪を考え出したつまらん男さ」と呟いてみせたが、これはやはり神や正義についてどこか夢を持っている証拠に他ならないと思う。さもなくばこんなセリフは決して言わないだろう。  コブラの海賊としてのアウトローな性格や享楽主義は上記の理想主義的な思想やストイックさに支えられている。寺沢武一は彼の初期作品を「思弁的」と批評していた記憶があるが、そういった性格が彼の作品から消えた事は一度も無かったことは確かだろう、そしてそれこそがこの漫画をいつまでも輝かせているのだろう。海賊と言う自由とギルドに対抗する高潔な戦士の顔を持つあの男のとこしえの旅に祝福を。

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