半妖同士のかわいいラブコメ
妖怪の子孫である半妖たちが通う学園が舞台。みんなちょっと中途半端な感じが可愛い。主人公はオオカミ男の子孫である小上くん。彼は女性に耐性がなく緊張するとオオカミ姿になってしまうのが悩み。そんな小上くんの「壁」を乗り越えようとする姿に"萌え"を感じるぬりかべの子孫の加部さん。加部さんは小上くんの悩み克服のため、何かに付けて距離を詰めてくる。その様子はさながら、からかい上手……
「さみしいなら、トキを選べばいいって思ったんだよ」 光晴が高二の夏休みに出会ったのは、性別を持たない宇宙人・トキ。なりたい性を選べるトキは、光晴の決めた方になるという。選択を託された光晴が、本当に望むのは? 二人の青春が始まる――。
3巻とも表紙のロゴの色が異なるのが、まるでトキの心理の変化のように感じられた。トキの性別が定まらなかった1巻と2巻は中性色の緑と紫で、トキが自分の性別を選択した3巻は、寒色の青ーートイレのアイコンなどで男性を意味する色ーーなのが面白い。
性別が未定の友人が出てくる作品といえば、あまりにも有名な「11人いる!」が挙げられる。その中でフロルは状況に応じていつも性別の選択を言い切り、最後はタダと恋人としての関係を築いた。
一方でトキはずっと性別に迷い選べずにいたが、「ミツハルへの憧れ」という、トキらしい理由で友人を選択する。
両作品とも美麗な画風のSFという共通点があるが、選択のトキには「SFと友情が今の時代を舞台に描かれている」という確固とした良さがある。
最終巻のこのトキのセリフに、自分が無意識に感じていた恋人でも家族でもない「友達」という存在の特別さをズバリ文章にして言い表され、ただただ感動した。
3巻という短い巻数の中で、SFと友情がギュッと詰まった読み応えのある作品です…!