現代版「定年退食」と言えばいいのかにコメントする
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TEMPEST

老人の人権が剥奪されるディストピア

TEMPEST 浅野いにお
かしこ
かしこ

新連載の「MUJINA IN TO THE DEEP」にムジナは人権がないうんぬんの話があったので、もしかして繋がるのかな…?と思って読んでみました。 マンバの↓の記事も気になっていたので藤子・F・不二雄の「定年退食」も合わせて読了。 https://manba.co.jp/manba_magazines/8572 まず「定年退食」は藤子・F・不二雄の未来予測っぷりが半端ないですね。発想の元ネタとしては姥捨山なんかがありそうですが、当時はユーモア漫画として描かれていたんだろうけど、今じゃ笑えない内容になってますね…。高齢化社会だけじゃなくて食糧危機も予感させられていてドキッとします。 そして浅野いにおの「TEMPEST」ですが、設定の大枠は確かに「定年退食」とそっくりです。しかし老人達が更に追い込まれてるので読んでいてエグられます…。85歳になると人権を剥奪され、試験に合格して人権を再取得するか、自死をするかを選択させられる近未来。ただし試験で500点満点を取れず不合格になった場合は人権がないまま街に放り出され、野良犬のような生活をしなければなりません。老人がそうなる未来って若者にとっても希望がないよな…。 「MUJINA IN TO THE DEEP」に関してはそこまで繋がりはないかもしれない。人権カードは共通して登場するけど読んでなくても問題なさそう。

この世界の片隅に

漫画と映画を久しぶりに見返した!

この世界の片隅に
かしこ
かしこ

2025年のお正月にNHK広島放送で映画「この世界の片隅に」が放送されたのは、今年で原爆投下から80年が経つからだそうです。この機会に私も久しぶりに漫画と映画をどちらも見返してみました。 やはり漫画と映画の一番の違いはリンさんの描き方ですよね。漫画では夫である周作さんとリンさんの関係について触れられていますが、映画ではありません。とくに時限爆弾によって晴美さんと右手を失ったすずさんが初めて周作さんと再会した時に、漫画ではリンさんの安否を気にしますが、映画ではそれがないので、いきなり「広島に帰りたい」という言葉を言い出したような印象になっていました。映画は子供のまま縁もゆかりもない土地にお嫁に来たすずさんが大人になる話に重点を置いているような気がします。それに比べると戦時下無月経症なので子供が出来ないとはっきり描いてある漫画はもっとリアルな女性の話ですよね。だから漫画の方が幼なじみの海兵さんと2人きりにさせた周作さんに対して、あんなに腹を立てたすずさんの気持ちがすんなり理解することが出来ました。個人的には男性達に対してだけではなく、当時の価値観で大事とされていた後継ぎを残せない自分に対しての悔しさもあるのかもしれないと思いました。けれどもあえて女性のリアルな部分を描きすぎない選択をしたのは、原作である漫画を十分に理解してるからこそなのは映画を見れば明らかです。 久しぶりに漫画と映画を見返してどちらも戦争が普通の人の生活も脅かすことを伝えているのはもちろん、すべてを一瞬で無いものにしてしまう核兵器の恐ろしさは動きのある映画だから強く感じた喪失がありました。そして漫画には「間違っていたら教えて下さい 今のうちに」と巻末に記載されていることに初めて気づきました。戦争を知らない私達が80年前の出来事を想像するのは難しいですが、だからこそ「この世界の片隅に」という物語があります。どんなに素晴らしい漫画でもより多くの人に長く読み続けてもらうのは大変なので映像化ほどの後押しはないです。これからも漫画と映画どちらも折に触れて見返したいと思います。

TEMPEST
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