TEMPEST
老人の人権が剥奪されるディストピア
TEMPEST 浅野いにお
かしこ
かしこ
新連載の「MUJINA IN TO THE DEEP」にムジナは人権がないうんぬんの話があったので、もしかして繋がるのかな…?と思って読んでみました。 マンバの↓の記事も気になっていたので藤子・F・不二雄の「定年退食」も合わせて読了。 https://manba.co.jp/manba_magazines/8572 まず「定年退食」は藤子・F・不二雄の未来予測っぷりが半端ないですね。発想の元ネタとしては姥捨山なんかがありそうですが、当時はユーモア漫画として描かれていたんだろうけど、今じゃ笑えない内容になってますね…。高齢化社会だけじゃなくて食糧危機も予感させられていてドキッとします。 そして浅野いにおの「TEMPEST」ですが、設定の大枠は確かに「定年退食」とそっくりです。しかし老人達が更に追い込まれてるので読んでいてエグられます…。85歳になると人権を剥奪され、試験に合格して人権を再取得するか、自死をするかを選択させられる近未来。ただし試験で500点満点を取れず不合格になった場合は人権がないまま街に放り出され、野良犬のような生活をしなければなりません。老人がそうなる未来って若者にとっても希望がないよな…。 「MUJINA IN TO THE DEEP」に関してはそこまで繋がりはないかもしれない。人権カードは共通して登場するけど読んでなくても問題なさそう。
ねじ式
ガロの中でも異彩を放っていたとされるつげ義春の代表的な1作
ねじ式
さいろく
さいろく
気づけば電子版があったので購入。 すんごい昔に読んだけど記憶に残っていたのは読後感ではなく絵画を観たあとのような感覚だけでした。 シュールの権化のような意味のわからない物語展開(そもそも意味とかないのかもしれない)の「ねじ式」を始めとした短編集。 つげ義春らしさがこれでわかるのかは不勉強であまり明確にわからないけど、きっとこういうものなんじゃないかとは思う。 ねじ式の冒頭、海からあがってくるシーンのTシャツを、いかにもギークって感じのヒゲメガネデブな白人が着ていた。 今となってはおしゃれであり、通り越して「通」っぽさが出てしまうであろう。 いずれにせよ本作を読むことで自分なりの感想を持つことが許されるのだ。漫画好きさんは1回読んでみるといいかもしれない。 ちなみにこの短編集ではいろいろな時期の作品が混ざっているようで、試験的なものから初期っぽいものまで(そう感じさせるだけで後期のものだったりしたらそれはそれで凄い)多数のつげ義春が見られる。 水木しげるを彷彿とさせるような背景描写技術に、当時の工夫が見て取れるのでいずれの作品もそういう意味では今読む事で面白さが増していると言えよう。
ホロウフィッシュ
青春漫画で話題沸騰中な作家の新作はサスペンスホラーだった
ホロウフィッシュ
さいろく
さいろく
バジーノイズが映画化され話題沸騰中(古い?)のむつき潤センセーの新作。4巻が出ました。今から読むけど読む前に3巻までの感想で。。 学校の先生がこんな色気があったらたまらんやろ!っていう高校生らしい感情も持ちつつ、急展開すぎる悪夢が波のように押し寄せてくる不思議な物語。 悪夢の展開は急だけど、主人公の彼の判断もまた急で、そこがとても若くていいなって感じられる。決断を一瞬で出来るやつは強い。 まるで呪いのようなこの波、大人になると理解しないと前に進みづらいところだけど若者らしく感情に従ってぶち当たっていくところが読んでいて応援したくなる。 この愚かさと表裏一体な真っ直ぐさは、前作バジーノイズがストレートで眩しかったあの感じと少し近い。 スピード感のあるコマ展開・テンポを見せておきながらも、急に直面する悪夢のような現実が読み手の時を止めてくる。 「あ、これホラーだ」って思わされるのがとても良い。 3巻のラスト、すごい真っすぐで良かったけど悪い結果が見えてくるとこでもあったので4巻めっちゃ気になるところ。今から読みます。
TEMPEST
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