![Dr.Eggs ドクターエッグス](https://res.cloudinary.com/hstqcxa7w/image/fetch/c_fit,f_auto,fl_lossy,h_160,q_auto,w_160/https://manba-storage-production.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/uploads/book/regular_thumbnail/537975/0f2787c0-2585-41cc-82e7-ac18fc7cebcb.jpg)
地球儀
この漫画、なんと冒頭に地球儀が出てくる。ギリシャの哲学者で地球が丸いことを証明したアリストテレスが、地球儀をエウメネスに見せていたのだ。アリストテレスは、数学者が「40万スタディア」と算出したことを述べた後で、「私はもっと小さいのではないかと考えている」と述べた。 ちょっとおかしな話で、いま知られているのは、地球の大きさを初めて測定した人物は紀元前275年生まれのエラトステネスと言われている。アリストテレスは紀元前384年生まれで、100年以上早い。つまり、エラトステネスより前に算出した人がいることになる。また、エラトステネスの算出した値は約25万スタディオンで、値も大きく異なる。地球儀についても、紀元前150年前後に作られたものが最古と考えられており、アリストテレスよりもずっと後のことである。おそらく漫画上の演出であろうし、バルバロイであるエウメネスの有能ぶりを示すことに成功している。
面白かった。
同作者の「ネメシスの杖」にも出てくる寄生虫の権威で天才的な紐倉博士が主人公の1話完結病気サスペンスもの。
「リウーを待ちながら」が秀逸すぎたので作者の過去作品を辿っていく形で読んでいるが、1話完結型でも内容が濃くて満足感がかなり高い。
このシリーズでの連載をずっと読んでいきたかったのだが、もう出ないのだろうか。
この漫画で扱っているテーマは、
・水際対策を越えて入ってきた致死性のウィルスに対する初期対応
・いきすぎたアンチエイジングブームからの不老不死への欲望
・遺伝がもたらすものと環境因子
といった感じの濃厚な3話。
話の内容もかなり掘り下げられていて面白いが、登場人物の関係性も良く描かれている。
かなり変人だが天才の紐倉博士と、元医者の優秀な助手のやりとりがいい。
紐倉博士は目的のためには手段を選ばないタイプで、助手は倫理観、正義感から融通が利かない堅物なので当然衝突するのだが、二人とも優秀なので平行線ということもなく会話は案外建設的だ。
紐倉博士は興味で動き、助手は高い給料で釣られ正義感で動くのも対照的だ。
ドラマで見たいなとも思う。
インハンドというタイトルだが、全ては神の手の内ということだろうか。