原点にして頂点の酒漫画
原点にして頂点という言葉をこの漫画に捧げたい!! 現代的なアイテムや背景が登場すればするほど、時代感のアップデートされなさが浮き彫りになっていく酒のほそ道。 楽しく美味しく呑めればいいじゃないかと言いながらもめんどくさい酒呑みばかりが登場し、でも結局みんな楽しければいいじゃないかというところに収束していく酒のほそ道。 アプデ前の人も後の人も、楽しくなるまで呑んで食べればそれでいいよね。自分がよければいいの極地がここにある。みんな自分勝手に楽しければいいんです! という空気感が絶妙に好きなんですよね。 めんどくさいこと言いながら、干渉し合っているよいでありながら自由に酒を楽しんでいる宗達がなんだかんだ好きなんだなあ。 自宅でつまみを作りながら酒を飲む回はレシピ漫画としても重宝するし、一人酒も飲み会もちょっといい店もいろんな酒の楽しみ方が学べる(?)のもいいところ。 時代に迎合することもなく、自分の信念を押し付けることもなく、適度にめんどくさいリアルなスタイルを貫いてくれる酒のほそ道が好きです。 誰よりもめんどくさいカスミちゃんがどんどん宗達に影響されてるのかわいい。めんどくさかわいい。
第46巻で共感したのが「第3話 土手とは・・」
宗達君が居酒屋で同僚に、関東人からしたら馴染みが薄い
「土手」について解説。
大阪や名古屋では一般的なんだけれど、みたいに。
自分は東海地方の人間なんだが、宗達君の言う
「過度の期待をすべからず」
には共感。
とかく地方名物とか郷土料理なんてのは
素朴で美味い、みたいなのが多いのに
グルメ番組やグルメ漫画などでは
驚くほど美味い、と絶賛したりする。
そうしなければ番組や漫画として盛り上がらない、
という事情はあるだろうけれど、
それをやるから、実際に食べた人がガッカリしたり
その料理のアンチになったりするわけで。
名古屋飯なんかも、ひつまぶしを除けば大概は
そんな感じだし。
土手煮込みなんて、その最も足るもの。
どちらかというと土手、味噌煮込み、味噌カツ、
それらは食べ馴染んでから美味く感じるもの
だと思うし。
「酒のほそ道」は過度に美味い美味いと賞賛しなくても
成り立つ芸風の漫画だから、この第3話みたいな
展開・結論の話で成立する。
言うならば、酒のほそ道も土手煮込みみたいな漫画だね。