謎仕立て痛快風味ラーメン
コミックスの表紙の題名と絵を見たときはテッキリ、 「全開ばりばり喧嘩上等極道シェフ・ラーメン漫画」 かと思ったが、全然違った。 主人公は初登場から食い逃げをするので、 全然とまで違ってはいなかったかもしれないが(笑) 多分、題名は博多とんこつラーメン店などでいう バリカタ麺(超堅め麺)を基に作った言葉なのだろう。 しかしそもそも、あの表紙の絵では 私みたいにバリバリ上等とか極道とかを想像するのも当然。 誤解をさせた能條先生が悪い(笑)。 しかし「ばりごく麺」の面白さも、 この能條先生の独特の画風ならばこそだった。 主人公・麺太の正体やラーメンの味や調理法など 様々な謎が提示され、適宜解明される形で話は進む。 クールで謎めいた表情や佇まいを感じさせるシーンだったり、 邪気のない痛快な行動や笑顔を見せるシーンだったり。 それらを交互に見せながら。 それらでラーメン・グルメを上手く描いているというか、 ラーメンで謎と痛快を上手く描いている。 例えば第二巻に登場する勝負相手は 広東料理の名人で今は亡き祖父と、 心で会話したり姿を思い浮かべたりするが、 「お前は料理人じゃないだろ呪術師だろ?」 とでも言いたくなるような不気味なシーンを見せる。 一方で麺太は青空高く無邪気に野球ボールを投げ上げ、 俺の秘技は天より高い、と明るいが意味不明なことを語る。 その対比というか振幅と組み合わせが絶妙。 勝負の決着も独特で爽快というか痛快。 呪術師と無邪気の対決という、下手をしたら味が バラバラに散らかってしまいそうな組み合わせすら 能條先生の画力と話の進め方で、うまく仕上がっている。 謎を散りばめられながら、痛快な味が口に残る、 「超極上麺」というべき漫画。
「ばりごく麺」をネタ漫画として読むか、「ラーメンを通じて男たちの人生」を書いている漫画として読むかで全然楽しさが違う。
おっさんの良い顔が無茶苦茶うまいし、他の料理漫画とは全く違って、料理のうんちくはほとんど出ないで「湯切り」が勝負のほとんどを決まる
台詞周りはいつもの独特の言い回しで、「まずいが・・・最後の一滴まで変わらぬまずさが痛快だ!! 名付けて痛快ラーメン」など名言が多い
やはり料理漫画はこういう荒唐無稽な無茶苦茶な方が好き
「榊原麺太」このセンスの名前は昔読んだラーメンの特集本に掲載されていた、ビッグ錠の「免馬麺平」以来だね。