正直すぎておもしろい
正直不動産 夏原武 大谷アキラ 水野光博
正直になった理由はろくでもない。
とはいえ、千に3つも本当を言わなかっただろう、バリバリ営業マン時代のコネと知識は、隠し事がでにないバカ正直になっても生きている。
たたりとはいえ、すべては奪わなかった。
正直になってしまったがゆえに、どデカい当たりはないけれど、ほそぼそやっていけているのは、やはり主人公は営業力があるんだろうな。
正直になった理由はろくでもないけど。
そして、ここまで悪どくなくても、現実に、ある程度はあるんだろうなあ、こういう話。
不動産は大きな買い物、賃貸でも住処は毎月少なくないお金が動く、大きなこと。
だから、何もかもクリーンな話で動いていないんだろうな。
ざっくばらんに!とか言ってても
気づかれなければセーフ。
気づかれても、親切そうに対応して、機嫌を損ねなければセーフ。
そんなことがあるのかもしれない。
そんなことを考えながら読んでいると、現実を知らされてゲンナリしてくるけど、おもしろくて読み止まらない。
賃貸にしても、売買にしても、関わろうというなら、読んでおくと知識のお守りになるかもしれない。
お手製の人形に愛着が湧き友達になってほしいと願う少年や、恐怖映画を撮るためにすごく怖い仮面を作った中学生、彼氏にデブって言われて絶食してダイエットを行った女の子など、少年少女としての行動としてはどこでも見られるようなものばかりだが、それがバケモノなどを呼び寄せてしまい恐怖体験に結びつく感じの話の短編集。
どれも楳図かずおらしいホラーマンガで面白いんだが、「Rojin」は近未来SF的な設定が背景にあるようで、バケモノの怖さではなく管理統制社会に殺される恐怖のマンガで、社会像をを前面には押し出さないながら、キャラクターの行動やセリフの節々から恐怖が伝わってきて1番好きだった。
楳図かずおの独特の間の取り方とかセリフのチョイスとか急激な展開とかについては今更だけどやっぱりすごく好きだな。