加藤伸吉のもう一つの代表作。バカの本気の青春にコメントする
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人気のコメント

バカとゴッホ

男と男と女。3人の青春物語

バカとゴッホ 加藤伸吉
かしこ
かしこ

絶対おもしろいやつだと思って読んだらやっぱりおもしろかった。 子供の頃からの幼馴染みで今も同じ高校に通っている堺と正二はバンドを組んでて、才能はあるんだけどなんだか上手くいっていない。二人はひょんなことからクラスメイトで服作りのセンスが抜群で「ゴッホ」というアダ名の女の子と仲良くなる。ゴッホが高校を辞めて服作り一本でやっていく決心をして、堺と正二もそれを応援するんだけど、高校卒業して働きながらバンドを続けるのも難しいし、ゴッホも親からの援助も打ち切られてお金がなくて、社会に揉まれてみんながどんどんダメになっていく。これが1巻。名付けるなら「3人の青春編」って感じ。 2巻はバラバラになった3人がまた再会していく話で、あらすじにすると漫画らしい展開の連続なんだけど、まったく安っぽくない。私は2巻からが好きだった。特にゴッホが衣装係として働き始めたショークラブで出会うエルムとの恋の場面。エルムも変わり者なのがまたいいんです。最初は堺とゴッホが中心の話なんだけど、タイトルの「バカとゴッホ」の意味が堺と正二の二人のことに変わっていく、これが見所ですね!でも3人の出会いがとてもいい結末を迎えたラストも素敵でした。

この世界の片隅に

漫画と映画を久しぶりに見返した!

この世界の片隅に
かしこ
かしこ

2025年のお正月にNHK広島放送で映画「この世界の片隅に」が放送されたのは、今年で原爆投下から80年が経つからだそうです。この機会に私も久しぶりに漫画と映画をどちらも見返してみました。 やはり漫画と映画の一番の違いはリンさんの描き方ですよね。漫画では夫である周作さんとリンさんの関係について触れられていますが、映画ではありません。とくに時限爆弾によって晴美さんと右手を失ったすずさんが初めて周作さんと再会した時に、漫画ではリンさんの安否を気にしますが、映画ではそれがないので、いきなり「広島に帰りたい」という言葉を言い出したような印象になっていました。映画は子供のまま縁もゆかりもない土地にお嫁に来たすずさんが大人になる話に重点を置いているような気がします。それに比べると戦時下無月経症なので子供が出来ないとはっきり描いてある漫画はもっとリアルな女性の話ですよね。だから漫画の方が幼なじみの海兵さんと2人きりにさせた周作さんに対して、あんなに腹を立てたすずさんの気持ちがすんなり理解することが出来ました。個人的には男性達に対してだけではなく、当時の価値観で大事とされていた後継ぎを残せない自分に対しての悔しさもあるのかもしれないと思いました。けれどもあえて女性のリアルな部分を描きすぎない選択をしたのは、原作である漫画を十分に理解してるからこそなのは映画を見れば明らかです。 久しぶりに漫画と映画を見返してどちらも戦争が普通の人の生活も脅かすことを伝えているのはもちろん、すべてを一瞬で無いものにしてしまう核兵器の恐ろしさは動きのある映画だから強く感じた喪失がありました。そして漫画には「間違っていたら教えて下さい 今のうちに」と巻末に記載されていることに初めて気づきました。戦争を知らない私達が80年前の出来事を想像するのは難しいですが、だからこそ「この世界の片隅に」という物語があります。どんなに素晴らしい漫画でもより多くの人に長く読み続けてもらうのは大変なので映像化ほどの後押しはないです。これからも漫画と映画どちらも折に触れて見返したいと思います。

バカとゴッホ(1)
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