押見修造先生の表現はどこまで進化するのか
押見修造先生の最新作。新たな代表作である「血の轍」も出身地の群馬県が舞台になっていて実体験がベースにあるような気がしましたが、今作「ひろみ」はよりそれを感じました。ペンタッチがいい意味で力が抜けているのも、頭の中の朧げな記憶をそのまま描き表したい意図があるように思えました。すでに「血の轍」の時点で、研ぎ澄まされた心理描写は誰も真似できない地点にありましたが、押見先生の表現がこれから更に進化することを予感させられますね。物語の展開としてもちろん後編が気になりますが、その前に子供である主人公に罪悪感を植え付けた女教師はマジ許すまじ…!
男女の愛について描かれた5つの短編があり、最後の「冬の花火」だけ武論尊先生が原作についてます。
古めかしいわけではないが雰囲気としてどこか既視感のある思い出の中の風景という感じがしてとてもいい。そしてさすが能條先生は絵が上手いですね。
奇抜なストーリーではないが、登場する男女の心理が丁寧に描かれていてじんわりした味わいがあります。ラブストーリー・人生讃歌・冬の花火が特に好きでした。