全体的には夫婦愛の感動作だったと思う上で、妻への見舞いが怖くて行けなかったとするのを喪失による罪悪感の記憶改ざんということにして実は通っていたは、それまでの諸描写とは無理を感じた。
義父から入院中の妻を何も知らないなと指摘され、実際に看護師や他入院患者に妻の姿を聞いて回ったくらいだし、同室の親しい患者から見ない顔だねと断言されていたのに。たしかに傷心は大きいだろうが、これほどの改ざんぶりと全員同時にというのはさすがになあ。
義妹は真相を知ってたことになっているけど、義父から主人公が憎まれてたのにずっと言ってなかったのもどうなのかと。
見舞い行ってないことに作中のみならず、読者からも批判があったのは推測される。けれども上記のようなモヤりが生じて、主人公が深く後悔して「もうどうしようもないが今からはこうならないようにする」と決意を語る良いシーンがなかったことになるくらいなら、そのままだった方が良かったかな。
あと妻と似た独身義妹が主人公と親しいのは再婚を想像しかねないとはいえ、主人公の担当編集と会ったその日にくっついたのは少し唖然としてしまった。
妻が遺したレシピ帳によるグルメ復活劇！ 夫は悲しみの底から甦る。妻の料理を作って食べることで―― 気難しく人付き合いが苦手な時代小説作家・米蔵は、妻に先立たれ生きる気力を無くしていた。だが、「作品を完成させる」という妻との約束を思い出し、遺されたレシピ帳で妻の料理を作り、食し、復活していく。
妻が遺したレシピ帳によるグルメ復活劇！ 夫は悲しみの底から甦る。妻の料理を作って食べることで―― 気難しく人付き合いが苦手な時代小説作家・米蔵は、妻に先立たれ生きる気力を無くしていた。だが、「作品を完成させる」という妻との約束を思い出し、遺されたレシピ帳で妻の料理を作り、食し、復活していく。
