「季節は春のはじめ、その日は雨だった。僕は彼女に拾われた」……春に出会ったひとり暮らしの彼女と猫。彼女はひとりで暮らすことで世界にひとりで立つことを知り、チョビと名付けられた猫は彼女に拾われて世界とつながる。一人と一匹の時間はゆっくり流れるが、世界の厳しさは彼女に追いついて……。アニメーション監督の新海誠氏のデビュー作を新鋭がコミカライズ。
笑か、死か。ボクたちにはもう、『笑い』しか残されていなかった――。代々続く落語家の家系で長男に生まれながらも、売れないお笑い芸人をやっていた笑太(しょうた)。ある日突然、父が自殺してしまう。ショックと自己否定の意識に苛(さいな)まれ、逃げ出した先のファミレスで出会った男・岸部にいきなり連れて行かれた所はお笑いバトルの会場だった……。若手お笑い芸人“笑太と岸部”の出会いからコンビ結成までを描いた青春新喜劇!!「オレと一緒に、飛ぼう」
放課後満喫宣言。都市伝説の秘密、困っている少女の救出、謎の怪人とのバトル!!僕らの放課後は、こんなにもドキドキに満ちている!!熱さもユルさも出し惜しみなしの放課後ディテクティブ・ストーリー!!――問題児ばかりを集めた特別な部活動「とっかぶ」。自称アマチュア・スパイとヒーロー志願の熱血少女が、後先なんて考えず、小さな事件を大事件に!
時は1903年。日露戦争開戦の半年前、朝鮮半島に近い満洲の地に日本からの学術調査隊がいた。彼らの目的は「好太王碑」。古代朝鮮半島の歴史、日朝関係を記したとされるこの碑文の研究のため、嬉田(うれしだ)教授率いるこの調査隊に参加していたのが、本編の主人公、一高の学生・安積亮(あずみ・りょう)である。まだ何者でもない自分に悩む安積が研究自体に疑問を持っていたところ、調査隊は馬賊による襲撃を受けた!果たして彼らの運命は――!?
人の手を渡ってきた本は、誰かの秘密を宿している。やがて彼女に読み解かれるまで――鎌倉の片隅で、美しき女店主と無骨な青年店員がおりなす珠玉のビブリオミステリ、開幕。累計310万部の大人気シリーズを、俊英・交田稜が瑞々しい筆致で再生する。これは古書が導く“絆”の物語。
他人とのコミュ能力が限りなくゼロの大学生・清美は、いちど食べた料理はレシピまで解読できるというスゴ技を武器(?)に、定食屋「阿吽」でアルバイトを開始! 接客は地獄だけど、お客さんの好みに応じて料理に手を加える店主・善次郎の細やかな仕事ぶりに感動し、自分が居たいと思える場所をやっと見つける。善次郎の息子・清正(高校生)も、そんな清美に影響されて…。ホッと美味しい定食コメディ、どうぞ召し上がれ!
三ツ橋五郎(みつはしごろう)・34歳・独身。業界大手の総合商社・(株)カナヨシ本社の秘書室に来て半年、なんの仕事も出来ずにいるお荷物社員。それ以前は、9年間も世界中の支店をたらい回しにされて、どこでも使い物にならなかった男!周りの人間はそんな彼のことを“腐ったミカン”と呼ぶ。……しかし彼の本当の役目とは、社内外のあらゆる問題から会社を守る“危機管理のスペシャリスト”だった!!
ベネチアの私立探偵・伊万里マリエルは亡き祖父からの依頼で、失われた名画を探さねばならないのだが、無精なのであまりやらない。怪盗ベッキオからラブレターをもらったり、依頼で人探しをしたり、プロ野球選手の妹が日本から訪ねてきたり。そんな毎日。2003年に刊行された元本を大判化して新装版化しました!
交渉とは言葉を武器にした戦いである――。世界一の交渉成功率を誇る交渉人・別府勇午のもとに現れた涙を浮かべた若い女性・岩瀬繭子。「どうか、お願いです……父を……たすけてください」勇午は繭子の思いとともに単身パキスタンへ向かう。ダコイットとパキスタン政府軍の思惑が絡む灼熱の大地で、勇午の交渉は成功するのか!?
祝・月刊アフタヌーン創刊30周年!30周年記念企画として、ルポ漫画の金字塔が再起動!続々と名作や傑作が生みだされる、漫画制作の現場。読者に代わって、ルポ漫画のマエストロ・西本英雄が突撃取材!
母が死んだ。遺されたのは、高校生の兄妹・トオルとメグ、そして悲劇の中心は、周囲の猛反対を押し切って1ヵ月前に結婚した若い義父、小学校教師・ケンジ、26歳。共通する思い出を糧に、未来へ向かう急造家族のぎこちないコミュニケーションが始まる。ひぐちアサ、初めての連載作品であり、新感覚ファミリードラマの決定版『家族のそれから』他、高校生の同性愛をあつかい反響を呼んだ読み切り作品『ゆくところ』を収録!
一級建築士の室井建人は、約10年勤めていた設計事務所を独立し、マイホーム設計の仕事で生計を立てるべく絶賛奔走中! しかし、なぜか依頼は無理難題ばかり!? 若夫婦家族の希望に沿った新築を設計しようと意気盛んにしていると地下から「とんでもないもの」が発見されたり……。思わず音を上げたくなる厄介な依頼を前に悪戦苦闘するも、「夢と希望のマイホーム」を実現すべく、室井の建築士としての腕が試される!
飼い犬「夜」を、自らの不注意で死なせてしまった暁一成(あかつき・いっせい)獣医になるために、大和大学の獣医学科に入学する。大学獣医学科を舞台に、獣医の卵たちによる青春群像劇開幕!
女子中学生タレントの独楽(こま)ちゃんは、モデルにテレビ出演にと活躍中。そんな彼女を支えるのが、たった3人の小規模事務所「ひなたプロ」。やり手だけどちょっと抜けてる昼行灯(ひるあんどん)社長、家庭教師も兼ねる独楽ちゃん大好き経理の杜若(かきつばた)さん、パワー一点突破のスタイリスト木耳(きくらげ)さん。独楽ちゃんと、独楽ちゃんが大好きな3人が贈る、ふんわりあたたかショートコメディ!
思春期の紅陽(こうよう)は親が鬱陶(うっとう)しくて仕方がないさかりの高校生。ある日、何気ないことを父親に注意された彼は、感情的になり父が大切にしている焼き物を壊してしまう。そのとき父が不意に見せた表情に紅陽は……!?――“自分にとって親とは何か”を問う、日常的な非日常を描いたもみじ拓傑作選。
大沢良幸(おおさわ・よしゆき)、弱冠14歳、季節ごとに着がえた女を踏み台に成り上がり、新しい時代を着こなすモデル――。中学卒業後、日本を飛び出した良幸。大人たちの陰謀が渦巻くパリのファッション業界で、美しいカラダと優れた頭脳を武器に、襲いかかる罠(わな)をかいくぐりながら、その地位を築いていく!!良幸が魅せる人生という名のステージングに、誰もが虜(とりこ)になる――!!くさのあきひろのデビュー作品!!
2011年3月11日に発生した東日本大震災。被害は比較的軽微とされる福島県南部ですら生活が一変した高校生たちそれぞれにスポットを当て、彼らが、そのときどう過ごし、その後をどう生きるのかを描きます。震災前の未来を模索し悩む少年たちを描いた「ミルクボーイ」、その続編で震災に翻弄される彼らを描いた「はじまりのはる」、ふくしま駅伝を目指す高校陸上部の少女を描いた「故郷」の3作を収録。
著者はアニメ監督。そして原作者が全面協力。究極の“蟲師書”、現出。どこまでも“原作に忠実である事”を目指し、驚異的クオリティで観る者を圧倒したアニメ『蟲師』――その全貌をひも解く全244頁の妖世譚解体書。アニメと原作を分け隔てなく扱いつつ、関係者の発言や証言、そしてビジュアルもふんだんに収録した、長濱氏が著者の視点で制作する一冊。※通信環境によりダウンロードに時間がかかる場合がございます。
いらっしゃい。本屋が本読む閑古鳥ですよ。――古本屋『荒川堂』の女店主が楽しみにしているのは、手柄もたてず出世もせずの元刑事「涙さん」の昔語り。それは、人の愛と憎悪、情念と執念の物語――。
大きなバクと小さなコムギの結婚生活は、いつも穏やかな風のごとく自然に流れている。もちろん夫婦のことだから、ささいなケンカやすれ違いはあるけれど、二人にとっては、それも含めて“自然な日常”なのです。――前川つかさが描く、凸凹夫婦による快適結婚生活のススメ!
時は16世紀末、舞台は霧の都ロンドン……。幕末の動乱を目前に控え緊張感あふれるテムズ川のほとりで、「社交界のお洒落泥棒」との悪名高き怪盗・ダイゴ教授を捕えんがため、下着から兵器まで何でも調達、稀代の名探偵、ドクター・ショーゴが立ち上がった!笑顔で瞬殺の特技を持つ助手ユーキと共に、伝説の聖櫃を手に入れろ!愛あり笑いあり涙あり、ワイヤーアクションありの漢(おとこ)の浪漫とエスプリ、花の香りあふれる今お茶の間で人気独占のスタイリッシュSFファンタジー、初のコミックス化!上記の文章中に嘘・大袈裟・紛らわしい等の表現がみられますが、気にしないことをお勧めします。
会田兎(あいだうさぎ)は、極道を嫌う気丈な母・よし江が一人で育てた、生きることの居心地の良さも悪さも知っている少年。その兎が、広域暴力団・辻堂(つじどう)組の4代目組長に指名され、命を狙われることになってしまい……。そして組の跡目抗争に巻き込まれた兎とよし江は、運命に逆らうことを選ぶ!――暴力団・辻堂組の跡目騒動に巻き込まれた激動の母子愛!ヤクザというライオン相手に“ウサギ”一匹暴れて、勝ち残ってみせる!!
山野犬吉(やまのいぬきち)はガキの頃、頭が悪くてバカと呼ばれた。しかし野球はなかなか上手で神童と呼ばれた。……が、今ではノンプロ鶴亀組のチームに所属しているものの、代打どころか監督のお使いに成り下がっていた。野球以外に能がない犬吉は会社を辞め、妻に代わって家事の一切をすることに!こうして犬吉の前途多難な“専業主夫”生活が始まった!!
若かりし新海誠の自主制作短編アニメーション『彼女と彼女の猫』が17年の時を経、『ブルーピリオド』でブレイクする少し前の山口つばさによりコミカライズされた。なんだその強い組み合わせは。つまらないはずがないではないか。 冒頭、『秒速』を観た人ならすぐに「ぽいな!」とピンとくるであろう文学的なモノローグから始まる。そしてやがて『秒速』や『言の葉』などを観たことのある人は、先の展開を予感して苦い気持ちになるだろう。しかしすぐに、山口つばさの筆力にめちゃくちゃ引き込まれ、さっきの嫌な予感などどうでもよくなる。『ブルーピリオド』のファンが現在この本を読んでもなんら物足りなく感じる要素はないはずだ。素人目ながら作者の才能は当時すでに完成の域に達しているように見える。 主人公の一人である「彼女」が抱える、人生の意義とか将来への不安や葛藤とか人間関係のわだかまりとかそういう普遍的な日常の懊悩を、「彼女に好意を寄せるペットの猫」という極めて独特かつ区切られた視点から描ききっている。ある意味、新海イズムを読み解く手がかりになりうるエッセンシャルな作品のように思える。この話をしだすと長くなるのでまた別の機会に…… この作品でとりわけ印象に残ったのは、まずひとつは主人公の片割れである「猫」の「彼女」に抱く愛情が形を変えていく様だ。与えられる側から与える側へ、恋から愛へ。取り巻く状況も、感情も目まぐるしく変わっていくなか、しかし交わす言葉を持たない二人は表面上変わらず側に在り続ける。「猫」が「彼女」の日本語を解している描写はまったくないということに、後半まで読み進めてようやく気がついた。お互いにお互いの考えていることがわかっていないまま奇妙な割り切った信頼関係が築かれているのだ。 もう一つは、漫画のレビューを書くとき毎回言及している気がするが、「彼女」が非常にチャーミングであることだ。『ブルーピリオド』には可愛い女子あるいは恋愛対象としての女子がほぼ登場しないため、山口つばさがこれほどのやり手だとは全く予想しておらず、無防備な後頭部から殴られたような衝撃を受けてしまった。ブルーピリオドはまだまだ続きそうだが、今後主人公の青年が恋をするような展開があるとすれば、少々気を引き締めて読まねばなるまい……(?)