スポーツマンガの感想・レビュー1557件<<4243444546>>意味深なタイトル私の甲子園 鎌田洋次 かわさき健マウナケアストーリーの骨子はまさにど真ん中のストレート。なんちゃって野球部が、ふとしたきっかけで目覚め、甲子園を目指すというもの。これだと、なんだ普通の野球漫画かと思われていまいますが、この作品はなかなかあなどれない。いくつも変化球を投げてきているのですよ。まずは主役がかつての野球部マネージャーで、10年ぶりに故郷に戻ってきた女性教師ということ。設定に変化をつける、さしずめスライダーといったところ。そして意味深なタイトル。わざわざ「みんなの」という文字に×をつけ「私の」にしてあり、これは最後のオチにも関係しているので、決め球のフォークといえばいいでしょうか。さらにもうひとつ、魔球クラスの球がありまして、これがなんと幽霊。???ですが、この幽霊、特に物語の導入部で、過去と現在の橋渡し役となる重要な存在なのです。物語が進むにつれだんだん出番も減りますが、それは生きている人間の存在感がでてきているから。そして「みんなの」につながっていくという流れ。ちょっと違うと思っていたらなんとなく打ち取られた、そんな感じです。異能力野球漫画の極北デッド・オア・ストライク 西森生名無し出来るだけ、はちゃめちゃな野球漫画をイメージしてほしい。その三倍くらいヤバイのがこの漫画だ。入学の洗礼に電車に降り注ぐボールの雨。初っ端からこれである。もはやギャグ漫画というべきだろう。 ただ、はちゃめちゃなだけでなく魔球と魔振という概念を用いて、意外と、ちゃんとスポ根もする。ちょっと気になる人はGANMAで読んでみるといい。おそらく見たことのない野球漫画がそこにあるかなり実情に近い絢爛たるグランドセーヌ Cuviemiko最近のバレエ界の事情がかなり良く反映されたストーリー展開で読み応えが有ります。風のシルフィールドの続編蒼き神話マルス 本島幸久マウナケア競馬が他のギャンブルと違うのは横の広がりと奥の深さがあるということ。競走馬が出走するまでには牧場があり育成場があり、厩舎、騎手、馬主と多くの人が関わる。そして、3頭の始祖からなる血統の歴史。この側面があるために、少年誌で漫画の題材となることが可能になるわけです。競馬を知らずともノンフィクション風の人間ドラマと捉えることができるわけですね。本作品は「風のシルフィード」の続編ですが、主役の位置づけが逆転していて、シルフィードの末裔は、主役・マルスのライバルに。シルフィードに乗っていた谷健はマルス陣営の調教師になっています。現実にありそう。卑劣な調教師や、ワケありの騎手、案外いるかも。双子の馬に、種牡馬入り後に復活、いやいやこれはない。などと知識が入るとぶつぶつ言ってしまいますが、こんなに様々な思惑が入り乱れるギャンブルもそうそうないでしょう。物言わぬ馬も意思があるかのように描かれて、感情移入もできる。現実にマルスがいたら単勝に突っ込みますよ…。 野球マンガが好きすぎて…砂の栄冠 三田紀房影絵が趣味『砂の栄冠』をもう一周してしまったのですが、終始泣き腫らしもいいところ、とくに夏の甲子園からエンディングにかけては目が充血しすぎてコマを追うこともできやしません。 しかし、どちらかといえば三田紀房という漫画家は『ドラゴン桜』に代表されるように、どこかケチで現実主義的な物語を得意とするひとでしょう。夢と希望の対極にあるといいますか、ひたすら合理的で実践的な行為を選択するといいますか、こんなものに感動していいんですかと思わなくもない。 それで今回また最後まで読んで気づいたんですけども、作中人物が実践する合理性とは別に意外と演出がクサいんですね、大袈裟ともいえるかもしれません。試合でもいきなりワケのわからない毒蜘蛛がでてきたり、バイクにまたがった不良がでてきたり、神がでてきたり、ガーソが拘縛された地蔵としてでてきたり、登場人物たちは合理的で小賢しいんですけど、なんかとにかく演出に気合いが入っている。冷静に読んでみるとバカバカしいと思われても仕方ないと思えるぐらい気合いが入っているんですね。 そして極めつけには、エンディングで、亡くなったはずのトクさんがいつものベンチに座っている。そのトクさんに七嶋が言葉を発する。もうここで涙腺は崩壊、甲子園の魔者のごとく誰の手にも負えません。なにせあの合理的で実践的な七嶋がそこにはいるはずのないトクさんに声をかけるのですから。真面目にやって下さい、先輩方!的中!青春100% 秋★枝あうしぃ@カワイイマンガ新入生の毛利と楠が入部した弓道部は、ふざけた先輩の巣窟だった!今日も用具を手に、モノボケに興じる面々。ウケた時の合言葉は「射!」……それでいいんか? 思考戦と人間関係のドラマを紡ぐのが「陰」の秋★枝先生だとしたら(『純真ミラクル100%』『Wizard’s Soul』『恋は光』など)、『煩悩寺』や『起きてください、草壁さん』のような、細かいネタを詰め込むシチュエーションコメディを繰り出すのは「陽」の秋★枝先生。この『的中!青春100%』は、「陽」の作品に分類されるだろう。 (やや強引に分類しましたが、がっつり秋★枝先生ワールドに引き込まれたい方は「陰」の作品、気軽にコメディ+恋愛を楽しみたい方は「陽」を読むといいかも、くらいの気持ちです) 弓道部の先輩達は、なかなか部活をしない。用具を手にモノボケに興じ、別のスポーツで遊び、真面目な毛利(本名は杉本)を呆れさせる。 特にシリアスなドラマもないので、おかしな面々に振り回されるうちに、状況に染まりそうになる毛利(本名は杉本!)の行く末を、気軽に眺めていたい、そんな作品が、およそ100ページ。 後半は、恋愛のかけらの4ページが少しずつ積み重なってゆき、幾つかの愛になる約70ページの作品群『ワンシーン』。どちらかといえば「陰」の秋★枝先生だが、短い瞬間の恋心を切り取り、ドキッとさせられて終わるのが気持ちいい。省略の妙ドラフトキング クロマツテツロウ影絵が趣味最近はグランドジャンプが熱いですね。誌上で『プレイボール2』と『ドラフトキング』がいつも前後に並んでいるのは粋な試みだと思います。 『ドラフトキング』にもやはり野球マンガならではの経済的な語りがある。それにのってポンポン話が進んでゆき、まだ二巻しか単行本は刊行していないのにもかかわらず、もう十巻ぐらい読んだような濃厚感があります。未来の話ではありますけど、某社会人チームから多くの有望選手が育っていくというあの過程には痺れましたね、おいおいまだ2巻めだぞ、と。 それから全国津々浦々をまわるスカウトという職業のダイナミズムがよくコマに現れていると思います。これも野球マンガならではの経済的な手法、すなわち省略を使って、数千キロも離れた場所にいたスカウト同士が次のコマでは嘘みたいに一緒にいるというテンポの良さ、これが軽快なリズムを生んで、語りがどんどん濃厚になっている要因なのでしょう。 なにひとつ野球じゃないのに野球をしている(友人より)デッド・オア・ストライク 西森生名無しタイトルはこの漫画を友人に勧めたときの感想だ。デッド・オア・ストライクは、『高校野球』という架空のスポーツをテーマにした『バトル野球漫画』である。まずは好きな野球漫画を思い浮かべながら読んでほしい。今までの野球の常識は破壊され、理解できないが、きちんと理論に基づいている(と納得させられる)魔球と魔振が飛び交い、思ったよりスポーツ漫画っぽい。 様々な能力スポーツ漫画を好む人にはもちろんだが、そういったジャンルを避けてきた方にこそおすすめする。ただしショートはゴロに轢かれるギャグの密度が濃いねえTHE MOMOTAROH にわのまことマウナケアこの作品を読むと、ひと昔前の少年漫画って本当にギャグの密度が濃いなあと思ってしまいますね。本作はおとぎ話をモチーフにしたキャラが闘うプロレス漫画なのですが、ギャグ作品なため登場レスラーはシャレの効いたキャラ揃い。モモタロウ永遠のライバル・キンタロウはイケメンなのに髪切りマッチで敗れて河童状態だし、あんまりなモジリの牛バカ丸や、酒呑童子ならぬシュテンドルフと、そのキャラの立ちっぷりやネーミングは抜群。そして彼らとモモタロウ対決の中で繰り広げられるギャグの応酬。これがまた半端じゃない。それこそひとコマごとに小ネタが入り、その合間に試合をしているようなもの。このネタ、ちゃんと押さえていくと普段の3倍くらい読むのに時間がかかるw。で、さんざん笑わせてかっこよくキメる、というのが小気味良い。気を楽にして読むことをおすすめします。また、オールド・プロレスファン向けのネタもあるのでそこも楽しんでもらえたら。ブラック・モモタロウの正体である影幻春架の元ネタとか、わかるかな?めちゃくちゃ熱くなれる漫画バチバチ 佐藤タカヒロマウナケア初めて読んだときは、興奮して寝付けなったくらいです。主人公・鯉太郎は大相撲巡業のイベントで力士をふっ飛ばし、それがきっかけで空流部屋入り。実直ながら激情家の鯉太郎は兄弟子たちに反発するも、やがてうちとけて新弟子検査へ。そこであるエリート力士との間に因縁が生まれ、それを引きずって初土俵である夏場所の前相撲を迎える、と序盤の流れはこんな感じ。それと並行して鯉太郎の父で、角界を追われた大関・火竜の悲劇が語られています。この親子関係の描き方がていねいで、導線としても非常に効いているのですね。鯉太郎の性格や生い立ち、そして目指すところまでがこの描写を通してストレートに伝わり、一気に感情移入できてしまう。また悪役もとことん悪党ぽく描かれていて心底イヤな奴と思わせてくれる。鯉太郎の私生活の余計な描写も省いてまさに電車道の一直線ストーリー。ひねりはあってもすかしはなし。掛け値なしに燃えます! 世紀のクニマス発見→現実化へ釣りキチ三平 平成版 矢口高雄マウナケア2010年、絶滅したとされていた「クニマス」の生存が確認されました。こんなこともあるのだな、とびっくりしましたね。レッドデータに載った魚類の再発見、ということもありますが、しかしそれよりも、発見の一連の流れがまるでこの作品をなぞったような出来事だったからです。第一巻の作中で、絶滅したクニマスのことを知った三平は田沢湖を訪れます。そこで絶滅に至った経緯や、作品の副題に付いているキノシリマスという別名の由来などを聞くうちにあることを思い出す、となっています。もちろん絶滅の経緯などはニュースで見たことと一緒。さらになぜ離れた場所に生存していたか、ということについても誰かが卵を放流した、で事実と一致しているのです。作品で放流したのは死んだ一平じいちゃんでした。遺言めいた内容なためドラマチックかつロマンに溢れた仕上がりになっています。しかし現実はロマンもへったくれもなくて、そんなクニマスを今のうちに釣ろうとする輩がいるとか。そんな人にはこの作品をよく読めと言いたいです。努力で遺伝子に勝つ!バトントワリング漫画バトンの星 矢島光たか※ネタバレを含むクチコミです。八雲さんの隣に住みたい八雲さんは餌づけがしたい。 里見U大トロ未亡人ってやっぱりみんな可愛いエプロンつけてるんですね。 高校球児と未亡人の微妙な距離感がたまりません。 でも全然エロとかではなく爽やかです。高校球児なので。 昔の俺はなんでこの面白さがわからなかったんだ?おれは直角 小山ゆうstarstarstarstarstarマンガトリツカレ男小学生くらいの時に読んだけど、あんまり面白くなくて途中で読むのをやめてしまった覚えがあったが最近小山ゆうの面白さに目覚めたので読んでみたがむちゃくちゃ面白い。 あらすじは最下級武士の息子「石垣直角」が、名門の学校萩明倫館に入学して、周りを巻き込みながら成長していくというのがメインだが各エピソードに登場する「石垣直角」の周りが自分の身を顧みずと直角と向き合って成長を促していくのがすごい良い 途中の選挙編、生徒会長編とか多少とかマンネリを感じするところはあるが最後のエピソードはそんなことはどうでもよくなるくらいすごい良い内容だった。 そういや石垣直角の名前で思い出したけど小池一夫原作の「御用牙」に登場した「大野木玄蕃」が石垣直角ってあだ名だったな。小山ゆうが昔小池一夫のところにいたのに関係あるのかな 男芸者の異名を持つ関脇・恋吹雪の活躍を描く嗚呼どす恋ジゴロ 平松伸二マウナケアこのところ揺れ続けている角界ですが、こっちの方のスキャンダルだったら、あまり大ゴトにならなかったかもしれません。「男芸者」の異名を持つ関脇・恋吹雪の活躍を描く物語…、といってもその異名通り、半分は夜の取組のお話です。一夜を共にした女性は艶と運を手にするという噂があり、彼はもちろんモテモテ。しかしおごることなく、土俵でもベッドでも手を抜かない、という信条に従い必ず四股を踏んでからコトに及ぶという、かなりぶっ飛んだ内容です。ただ、これがよくありがちな破天荒力士という方向へいかず、男としての色気、という道を突き進んでいくのがいいですね。土俵上の技でお客に喜んでもらい、さらに女性も満足させて幸福に、という異色のコラボを見事に実現させています。さりげなく”相撲最強”伝説を匂わせてくれるのもたまりません。さらにあのリッキー大和もゲスト出演してるなど、ニクイ演出もありオールドファンには感激ものです。空手少女ではなく「空拳乙女」空拳乙女 湯浅ヒトシ名無し入学した女子高に空手部がなかった。 なら自分で立ち上げようと頑張る少女。 仲の良くなった級友がなんだかワケアリ風で・・ 初回がそんな話だったので、漫画では良くある話だな、 廻し蹴りでのパンチラ・シーンとか交えながら 仲間を集めて空手を真面目に頑張るという チョイエロ交じりの青春ストーリーか、と思っていた。 ところが、まだ第一巻しか読んでいないのだが 実際に廻し蹴りパンチラは登場してきたが、 なんだかんだであっというまに コスプレ美人女子高生による地下格闘技的大会に 参戦することになるという 意外に派手な展開に。 イマドキは美女が主人公のバトル物は珍しくない。 それどころか美少女で達人ぐらいではありきたりで 爆乳半裸美女戦士が色々と揺らしまくったりしながら 戦う漫画やアニメは世の中にゴロゴロしている。 とはいえ現実を考えると、 爆乳半裸美女戦士が登場するストーリー展開、 いわゆるエロゲー的な展開は、やはり 非現実的なありえないものがほとんどだ。 爆乳半裸美女戦士とかコスプレ格闘家とかが登場した時点で、 漫画としては格闘漫画というよりはエロ漫画と 評価せざるを得ない内容になるものがほとんどだ。 「空拳乙女」はわりとそのへんがしっかりしていて 急展開で予想外ではあるが、コスプレ格闘技大会に 参戦することになるまでの過程は、それなりに 納得のいくストーリーになっている。 そりゃ漫画的な都合の良い展開は多々あるが あきれるような無茶な展開とまでいうほどではない。 「エロいにこしたことはないでしょ」 という考えはあっただろうが、 エロ重視でストーリー軽視、という漫画ではない。 考えすぎかもしれないが題名が空手少女ではなく 「空拳乙女」になっているのもそういう意味合いかと思った。 空手少女、だったら話にコスプレ格闘技を介入させるのは 無理が有りすぎる。 だが空拳というのが「徒手空拳」を意味し、 「己の力で素手で困難に立ち向かう」という意味を強調 するための題名なのだとすれば、わからないでもない。 主人公が体をはって部の設立、練習場の確保、 その過程での仲間作りとか空手やコスプレ格闘の世界に 「徒手空拳」でチャレンジしていくことを表している、 みたいで。 それと、良くも悪くも湯浅先生の描く 「パンチラ」や「コスプレ」はそれほどエロくない。 色々と揺らしまくったりはほとんどしない。 そういう意味ではエロ要素ありの格闘技漫画ではあるが、 エロ嗜好より本格格闘技嗜好の漫画ファンのほうが 楽しめる漫画だと思う。 そういうこの漫画が、漫画ファンのニーズに 爆乳半裸美女戦士が登場する漫画よりも あっていたかどうかは不明。 私はこの漫画も爆乳半裸美女戦士が登場する 漫画も好みだが。 メディアミックスと同時多発コミカライズ武士道シックスティーン 安藤慈朗 誉田哲也starstarstarstarstarひさぴよ「薬屋のひとりごと」が話題になってますね。なろう原作の大ヒットからのコミカライズですが、2019年現在、別々の雑誌(「月刊ビッグガンガン」「月刊サンデーGX」)で同時期にコミカライズを連載するという事態になってます。これはまぁ、色々とメディアミックスに関わる事情があってこういう事が起きてるんでしょうか。 で、過去にも同時コミカライズパターンあったな〜と思い出したのが、この「武士道シックスティーン」です。2009年に、「アフタヌーン」と「マーガレット」が同じようにコミカライズを展開していたのですね。結局どっちの方が売れたのか?今更ながら気になるところですが、とりあえずここではアフタヌーン版の感想を書こうと思います。 作画は安藤慈郎。「しおんの王」のコミカライズを経験し、次の作品で今度は武士道シックティーンの作画を手掛けています。他作品と比較してみて、特に違いを感じるのはキャラの性格付け。個人的にはアフタ版の方が地味…いや、落ち着いた雰囲気があって好きです。逆に、「地味なのは嫌!」という人はマーガレット版を読むのがいいかと。 キャラの性格の違いについて。剣道エリート・磯山香織に関して言うと、表情の変化こそ少ないものの、武士のような真剣味や生真面目さ、気迫のこもった表情が良いんですよね。これは、青年誌だからこそ磯山の「男っぽい」部分をより上手く引き出せたのかなと。 対する西荻早苗についても、ウザくなりすぎない天真爛漫さ(←ここ大事)と、舞踊の経験から来るしなやかさ、芯の強さを感じます。磯山と西荻、どちらも過不足なく、対比の描き分けが秀逸です。 メディアミックス化作品の場合、小説、映画、漫画のどこから触れるかで、作品の印象は変わるものだと思います。そういう意味では、最初にこの漫画から読めたのは自分にとって幸せなことでした。人はなぜスポーツをするのか?(あるいはなぜ生きるのか?)ひゃくえむ。 魚豊いさお人はなぜスポーツをするのか? 簡単に見えるこの問いだが、全てのスポーツに通ずるような、真理となる答えを見つけるのは難しい。 人に注目されたいから? その答えは、マイナースポーツに対しては通じない。 ともに戦うことで他人と交流ができるから? その答えは、シングルスのスポーツに対しては通じない。 楽しいから? その答えは、確かに存在する、苦しいのにスポーツを続けている者らに対しては通じない。 冒頭の問いに対して、全てのスポーツに通ずる答えを求めるにあたって手がかりとなるのが、「100m走」であろう。 100mを走る。 道具は使わない。チームメイトもいない。速さを求めないなら、ほぼ誰にでもできる。あまりに単純で孤独に見えるスポーツ、それが100m走である。そんなスポーツで、日々最速の地位を求めて努力する選手がいる。 100m走に、彼らは何を求めるのだろうか?この極めてシンプルな、全てのスポーツの原型とも言うべきスポーツに通ずる答えであれば、それはきっと根源的で、真理に近いものであるだろう。 そしてその答えの真理性は、スポーツという枠組みを超えて、人生にまで通ずるものになるかもしれない。 すなわち、わたしたちは100m走を通じて冒頭の問いに思いをはせることで、こんな問いにも、少しだけ答えを垣間見ることができるかもしれない。 人はいずれ死ぬのに、なぜ生きるのか? という問いに。 主人公のトガシは小学生のころから足が速く、そのおかげで人気者でした。 しかし上に行くにつれて、日本トップレベルの速さまで手が届いたとしても、自分よりも速い人も現れるでしょう。 「一番足が速い人」という価値の維持のために人生の全てを捧げてきたのに、その価値が失われていくとしたら、その後、トガシの人生に残るものは何なのでしょうか? スポーツ漫画であり、哲学読本のような作品です。 ぜひ、その真理に触れてみてください。枯れたオッサンは読むべし恋は雨上がりのように 眉月じゅんあくあ冴えないオッサンに夢と希望を与えてくれる、素晴らしい恋愛モノであった……。つーかこのヒロインはヤバい。みずみずしいJKの魅力がこれでもかと詰まってて、二次元なのに三次元的な可愛さを感じる。台詞じゃなく、風景や表情やしぐさで語らせるのがとても上手くて、ついきゅんときてしまう。とにかく枯れたオッサンは読むべし。滾る。 もう、カバディをバカにはできない灼熱カバディ 武蔵野創地獄の田中ネタにされまくるスポーツ、カバディだけど、めっちゃ面白い。 アイシールド21を読んでアメフト面白そうって思った感じで、カバディにハマりそう http://urasunday.com/kabaddi/comic/4225.html20回泣かされました1/11 じゅういちぶんのいち 中村尚儁あくあ全9巻の中で20回くらい泣きそうになった! ベタだしあざといんだけど、こういう話が大好きだぜちくしょう! まっすぐに生きてるキャラの皆がキラキラして眩しくて、汚れた己の心がスッキリ洗われた感じ。我が『漫画十本刀』のうちの一本に堂々ランクインです……。あんまり深く考えずに読めるすもうねこ はすまるマウナケアなぜか親方にスカウトされた体格の良いねこが、先輩を慕い、同期に嫉妬され、後輩に少々軽んじられながらも、日々精進していく、という設定さえ適当に受け入れられれば問題なく読めるでしょう。4コマ漫画ですしね。そもそもが「猫に似ている力士がいたから」ってことで誕生した作品(あとがきより)ということで、ゆるゆるではあるのですが、脱力感だけでなくて人(猫?)情あり、相撲界の闇を暴く硬派な話もあり。ばかばかしさの中にほろっとするところがあって、あんまり深く考えずに読めるのがいいと思います。私のお気に入りは、ねこ関とお母さん猫との交流と一連の八百長ネタ。おすすめ度は決して猛プッシュってわけでなく、肉球プニュプニュぐらいの押し加減だと思ってください。 俺たちのフィールド俺たちのフィールド 村枝賢一マウナケア主人公・和也が成長して、高校選手権を制し、Jリーグ昇格を目指し、日本代表に入り、そしてW杯最終予選へ。そこに至るまでのドラマチックな展開と並行して、私は仕事でどっぷりサッカーに浸ってました。読んで学んで見て聞いて探して選んで行って試して頼んで待って集めて賭けて書いて書いて書いて…。今回より次の試合、今日より明日、今より一秒後。日本代表が確実に強くなっていくことを信じていた時代。高揚感がダブるんですよ。全然違うのに、31巻の伊武が見た光景は、私が真っ白になった後に見た光景そのままに思えてくるんですから。私でもこうだから、あの熱狂をリアルタイムで体感した人にとって、感極まるシーンは必ずあるはずです。1巻と最終巻の表紙を同じ構図にするとか、成長物語としての演出も粋で、もう感涙モノの一作です。むちゃくちゃ好きだけどすぐ終わってしまった。Wrestling with もも子 徳弘正也starstarstarstar_borderstar_borderマンガトリツカレ男やっと仲間を集めてこれから面白くなりそうなところで終わったのがすげー残念。 レスリングはすごい面白いスポーツだと思っているがマンガだといまいち主役がやるスポーツではない扱いを受けている。主人公がやっている感じだと川崎のぼるの「アニマル1」や「がっぷ力丸」「弾丸タックル」ぐらいしかパッと思い出せない。 じゃあレスリングの人気がないかというとそうでもなく、少年誌だと廃部寸前の相撲部を再建する為の仲間集めをする際には登場する確率は高く重要な位置をしめていて「うっちゃれ五所瓦」の「関内孝之」/「火ノ丸相撲」の「國崎千比路」などの主人公の大事な仲間であり、物語上重要なキャラクターであることは多い。「1・2の三四郎」の「西上 馬之助」もやっていたし「帯をギュッとね!」「オッス!少林寺」「そばっかす! 」で取り上げられたりもしている。 俺は相撲マンガや柔道マンガのようにレスリングマンガがもっと出てほしいとずっと思ってるよ...<<4243444546>>
ストーリーの骨子はまさにど真ん中のストレート。なんちゃって野球部が、ふとしたきっかけで目覚め、甲子園を目指すというもの。これだと、なんだ普通の野球漫画かと思われていまいますが、この作品はなかなかあなどれない。いくつも変化球を投げてきているのですよ。まずは主役がかつての野球部マネージャーで、10年ぶりに故郷に戻ってきた女性教師ということ。設定に変化をつける、さしずめスライダーといったところ。そして意味深なタイトル。わざわざ「みんなの」という文字に×をつけ「私の」にしてあり、これは最後のオチにも関係しているので、決め球のフォークといえばいいでしょうか。さらにもうひとつ、魔球クラスの球がありまして、これがなんと幽霊。???ですが、この幽霊、特に物語の導入部で、過去と現在の橋渡し役となる重要な存在なのです。物語が進むにつれだんだん出番も減りますが、それは生きている人間の存在感がでてきているから。そして「みんなの」につながっていくという流れ。ちょっと違うと思っていたらなんとなく打ち取られた、そんな感じです。