月50万もらっても生き甲斐のない隣のお姉さんに30万で雇われて「おかえり」って言うお仕事が楽しい(ガルドコミックス)

"お隣のお姉さんに「おかえり」と言う仕事"に転職した人の話 #1巻応援

月50万もらっても生き甲斐のない隣のお姉さんに30万で雇われて「おかえり」って言うお仕事が楽しい(ガルドコミックス) アサヒナヒカゲ 野地貴日 黄波戸井ショウリ
sogor25
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主人公のサラリーマン・松友裕二がいつものように終電間際まで残業し帰宅すると、マンションのお隣に住んでいる女性・早乙女がドアの前で呆然と立ち尽くしている場面に遭遇します。 話を聞くと出張先に家の鍵を忘れてしかも明日のプレゼンで使う大事な資料が家の中にあるとのこと。 鍵を開けるために松友がベランダから渡って窓を割って家に入ることにしたのですが、中から鍵を開けた際に発した松友さんの「おかえりなさい」という一言に早乙女はいたく感激し、 「私が雇うのでおかえり担当部長になってください」 という謎の提案をされます。 これは"おかえり担当部長"(実際には家政婦のような仕事)をすることになった松友と、彼を月30万円で雇った早乙女との物語です。 「小説家になろう」発の小説、いわゆる"なろう小説"が原作のこの作品。 早乙女は月30万円を給料として払えるほどのエリートサラリーマンで、一方の松友も最初の出会いの時に躊躇なく早乙女を助けたことからもわかるように、かなり有能な人物として描かれています。 「おかえり」を言ってもらうためだけに隣人を雇うというぶっ飛んだ設定なのですが、ちゃんと契約書を締結したり、休日に一緒に外出する際には"休日手当"が支払われたりと2人のやり取りは大人としての体裁を保っていて、そのアンバランスさが面白いコメディ作品になっています。 また 仕事で気を張っているためか早乙女は家に帰ってくるとどうも精神年齢が幼くなる傾向があるようで、そこにもギャップがあって楽しい作品です。 何より松友の早乙女への対応が彼女を女性として意識しつつもとても紳士的で、いろいろと"ハプニング"が起こるのですが作品から変ないやらしさは全然感じられません。そのため、社会人でも頭を空っぽにして楽しめるラブコメ作品になっています。 1巻まで読了

埼玉の女子高生ってどう思いますか?

あの日見た山車(ダシ)の名前を僕達はまだ知らない。

埼玉の女子高生ってどう思いますか? 渡邉ポポ
六文銭
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小生、埼玉県出身である。 しかも、秩父という、ど田舎出身だ。 秩父といえば「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(通称「あの花」)の舞台となったことで、有名になってしまった秩父だ。 このブームから数年後くらいに帰郷したことがあり、 その日は秩父で、、、、否、日本でも有名な三大曳山祭「秩父夜祭」の日だった。(誰も知らないというツッコミはご容赦いただきたい) 三大曳山祭と豪語しているわりには、いつ始まったか定かではないというアバウト加減が「言ったもん勝ち」という勢いを受けなくもないが、少なくとも100年以上は続いてる歴史と伝統のある祭りで、この日ばかりは、人より猪のほうが多いと言われる秩父も「休日の新宿アルタ前くらい」に人が増える。 そんな歴史ある秩父夜祭に、数年前に久々に訪れた自分は驚いた。 全て「あの花」で埋め尽くされていたのだ。 出店はもちろん、神輿や山車のてっぺんには「あの花」のキャラ「めんま」が設備されている。 しかも、その「めんま」、なんと片手を上げて天を仰ぎ、ラオウよろしくばりのいっぺんの悔い無しポーズをしているではないか。 え?こんなシーンありましたっけ?と。 何も知らない大人たちが、文字通り「とってつけた感」をうけてゲンナリした。 長くなったが、何が言いたいかというと、埼玉とはつまるところそういう県だ。 何もないのだ。 何もないから、とりあえず流行にはのっとくし、それの前では歴史なんてどうでも良くなるのだ。 アニメの聖地が多い~なんて言われるて、スグ乗っかっちゃう。 (決っして「あの花」をディスっているわけではないので悪しからず) 本作は、そうった埼玉県民の自虐とか自虐とか自虐とかが満載で、 同郷のよしみとしては「みなまでいうな」と思いながらも、つい全部読んでしまった。 ただ、埼玉県民以外読んでも「?」になりそうなほどニッチなものがあり、読者ターゲットが大丈夫かなと心配になりますが、他県の方も、上記のようにこういう県なんだということを理解しながら読むと面白いかもです。 埼玉は東京都に隣接しているからといって決して都会ではないし、なんなら東京は埼玉県民にとって魑魅魍魎が跋扈する魔都だから恐怖の対象でしかない。 東京のベッドタウンとなり、県別のGDPでは東京、大阪、愛知、神奈川に次いで5位の埼玉。(ただし、4位の神奈川には約10兆差という超えられない壁があることはここだけの秘密。) それでも、この都会なのか田舎なのか、なんなのかわからない埼玉はこれからも変幻自在に変わっていくのでしょう。 ちなみに、田舎の友人によると、ブームが去った後は、めんま神輿はなくなったようです。 以上、現場からでした。

マンガで分かる心療内科 依存症編

いろいろあるのよ

マンガで分かる心療内科 依存症編 ソウ ゆうきゆう
野愛
野愛

紆余曲折あって我が家にこんな本がやってきました。まあ日常に支障が出るほどではないけど酒には依存しているので身につまされますね。 身につまされるで済ませちゃいけないんだけどね! 愛と依存の違いって何なん?とか趣味程度ならよいのでは?とか生きる喜びがなくなる!とか言い訳のように湧いてくる疑問や不安などをかなりわかりやすく解消してくれます。かなりわかりやすくなっているため、端折ってたりはするんだろうけど納得感もありつつライトな味わいなので責められてる感はあまり感じずにすむかもしれません。ギャグ漫画的仕上がりなのはたぶんこれが理由なんじゃないかと思ってます。メンタルやられてるときに100の正論ぶちこまれたらしんどいからね。 一応言い訳をするとわたしが依存症から脱却するために買った本ではないのですが、いつかわたしの後押しをしてくれる本な気はちょっとしてます。 読み終わっても酒をやめる気はないのですが、自分以外のものに人生を100%委ねちゃいけないし、預かることもできないんだなあってことを強く感じました。なんにせよ、あなただけのせいなんてことは世の中にはないのだ。

悪魔のメムメムちゃん

ポンコツ可愛い+ウザさ で面白さ倍増

悪魔のメムメムちゃん 四谷啓太郎
六文銭
六文銭

1巻から読み続けてます。ダメ可愛いメムメムにずっとやられてます。 キリッとしているキャラが、実はポンコツだったという設定でギャップ萌えの作品もありますが、本作は、もう見た目からダメさが漂ってきて、そしてそのまま期待を裏切らないダメっぷりで、まずここが面白ポイントです。 淫夢とか使って男を骨抜きにして魂を奪う悪魔なようですが、絵柄通りの悩ましい体型によって、まぁうまくいかない。 何より、メムメム本人がエロに耐性がない。むしろ苦手。 (この幼児体型によって、ある方面には安心設定) そしてこのポンコツ可愛いものに「ウザさ」が加わってより面白くなります。 例えば、 ・少しうまくいくと調子にのる ・言い訳が多い ・他人への要求は厳しい ・弱いものには執拗以上に強くでる ・やたらと声だけはる(特に偉い人の前) などなど、小物感満載のウザさで、これがたまらないのです。 なんか小さい子をみてるような目線で、だんだん微笑ましくなってきます。謎の慈愛をもって読めるんです。あらあら、どうしたの?みたいな。 これがクセになります。 とはいえ、個人的には正直この設定で11巻まで続くとは思わなかったです。 11巻になると魔界の魔王様とかも出てきて、メムメムの正体(存在理由?)も明らかになって、ただのおバカギャグ漫画からシリアスな展開に・・・いや、特に変わんなそうですね。 安定のメムメムで、引き続き安心して読めます。 メムメムのダメっぷりはひどいのですが、それでもポジティブで前向きな姿をみると不思議と元気がでますので、日常で凹んだ時読むと良いかもです。

鳴かせてくれない上家さん

既存の麻雀のイメージを覆す"麻雀ラブコメ" #1巻応援

鳴かせてくれない上家さん 古日向いろは 更伊俊介 内川幸太郎
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高校の片隅で1人スマホでネット麻雀を打っていた麻野イサムは、ある日突然、見知らぬ女の子に「一緒に麻雀を打ってください」と声を掛けられます。彼女は麻雀部に所属する後輩・上家(かみや)サクラ。先月麻雀を始めたばかりだという彼女に対し、ネット麻雀をやり込んでいて実力に自信のあった麻野だったのですが、実は彼はリアルでの麻雀は打ったことがなく、いざ打ち始めると上家さんとの会話に惑わされて自分の戦略が全く通用しません。なんとか彼女に勝とうと一生懸命考えを巡らせるうち、いつしか麻野は上家さんのことを意識し始めるようになり…という、「麻雀ラブコメ」という新たなジャンルを開拓しているのがこの作品です。 麻雀マンガといえば、これまでは競技としての戦略性やギャンブル的な表現が中心の作品が多かったのですが、この作品は"コミュニケーションツール"としての麻雀に注目しています。 麻野が得意とするネット麻雀は対戦相手とのコミュニケーションが基本的には一切なく、リアルで麻雀を打つ時の相手との会話や表情、仕草など、相手とのコミュニケーションという要素に惑わされる麻野の様子がコミカルに描かれています。 このネットとリアルの違いという面は麻雀を知らなくても、例えばオンラインでボードゲームや人狼ゲームをやったことがある人には理解しやすいかもしれません。 そして、そんな麻野が勝つために一生懸命に麻雀を打とうとするうちに上家さんや他の麻雀部員との会話が盛り上がっていき、自然とラブコメへと発展していきます。 「バガタウェイ」などで知られる古日向さんの絵柄は可愛くて読みやすく、また、各話の最後にはその話に登場する専門用語を監修の内川さんが丁寧に解説してくれています。連載誌も麻雀とは関係ないフラッパーということもあり、麻雀を知らない人にこそ読んでみてほしい作品です。 また、ネット麻雀のあるあるネタも多く、麻雀の描写自体もすごく丁寧で、麻雀を知ってる人ならさらに面白い要素を見つけられる作品になっています。 ちなみに、監修の内川さん、作中でも「コータロー」というネコとして登場していますが、麻雀界で一二を争うイケメン麻雀プロなので興味があればそちらも調べてみてください。 1巻まで読了

HGに恋するふたり

好きなものを好きと言える世界 #1巻応援

HGに恋するふたり 矢立肇 富野由悠季 矢立肇・富野由悠季 工藤マコト
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14歳の頃に初めて見た「機動戦士ガンダムSEED」に心を奪われた主人公の神崎さやか。しかし、周囲の友人がキャラクターの話で盛り上がるなか、彼女が惹かれたのはモビルスーツ。そんな気持ちを同級生にも話せないまま時間は過ぎ気付けば30歳。そんな彼女がある日、ガンプラ好きの女子高生、高宮宇宙(そら)と出会う。 まず心惹かれるのは、30歳のOLであるさやかと16歳の女子高生である宇宙が年齢を超えてて"好き"の気持ちで繋がっていること。「メタモルフォーゼの縁側」にも近い設定ではありますが、作中でも触れられてる通り、"16歳"というのはちょうど「ガンダムSEED」が放送されていた年に生まれた子ということ。つまり、相手が生まれる前から好きだったものを通して生まれる交流、これこそが本当の意味での"世代を超えた交流"なのではないでしょうか。 また、"世代を超えた"という意味でもう1点重要だと思っているのが、2人の"好きなもの=ガンダム"に対する接し方。好きな気持ちの強さは変わらないのですが、周囲にガンダム・モビルスーツが好きなことを話すことを躊躇っていたさやかに対し、宇宙のほうは初対面のさやか相手にさえ『お姉さんもガンプラ好きなんですかっ!?』と臆面もなく言い放ちます。好きなものが少数派だったときにそれを周囲に堂々といえないという気持ちは「トクサツガガガ」などでも描かれていますが、特に30代以上の人なら誰しもが経験しているものだと思います。それが、もちろん人に依るところもありますが、時代が令和に移ってマイノリティでも好きなものを好きと堂々と言えるようになった、そんな世代間の見えないギャップも描いているのではないかと思います。 作者の工藤マコトさんも「ガンダムSEED」から入ってガンダムが好きになった経緯があるとのことで、もしかしたら作者の実体験も多少なりとも入っているのかもしれません。そしてそんな作品をガンダムシリーズの専門誌であるガンダムエースで連載している、そんな奇跡的な繋がりにも感謝しつつ、ガンダム好きだけではなく、幅広く楽しんでもらえる作品だと思います。 1巻まで読了

実在ゲキウマ地酒日記

庶民的だが哲学的、個人的だが家族的でもある酒日記

実在ゲキウマ地酒日記 須賀原洋行
名無し

グルメ漫画といえば登場人物、特に主人公は 食の見識や味覚、調理技術に優れていたり拘りがあったり、 なんて凄い人なんだ、と読者をうならせるのが普通。 ところがこの漫画の主人公・須賀原洋行先生(実在)は 素人っぽさに溢れている。 日本酒・地酒歴は何十年にも及ぶものの、 かつては日本酒なんか旨いと思わず好きでもなかった。 ところが「夏子の酒」を読んで日本酒に興味を持ち、 仕事と一石二鳥をかねるために酒肴漫画の企画を 編集部に持ち込み、毎回、色んな酒と自作の肴を 味わう漫画の連載を始めるという、見事なまでな庶民ぶり。 酒や肴の知識もテレビやネットで吸収し、 それをなんのてらいもためらいもなく漫画にしている。 「タモリ倶楽部でやっていたから美味いはず」とか。 酒や肴の好みや拘りもあっさり変わったりする。 純米酒主義から本醸造酒肯定に変化したりするし、 酒の肴としてのオデンにもこだわりがあったはずなのに、 漫画の「おせん」を読んで改めたりするし。 だがそれだけに、無駄にカタチやミエにとらわれない、 独特な感想や意見や表現が続出する。 正直、絵は個性的ではあるが上手いとは言い難い。 ギャグやオチも結構ベタだと想う。 しかし、他の漫画家先生では絶対に出せない味を しっかりと醸し出している。 酒のセレクトも独特だし、自作の肴も 手軽なものもあるが、かなり凝ったものまで作ったりしている。 グルメ漫画で酒の肴を描くなら、簡単お手軽で読者も 作ってみたくなるものとか、逆にそこまで絶対に 手間をかけられないと諦観する豪華で贅沢品を描くか、 どっちかになりそうなものだが、須賀原先生の肴は ワリと微妙に 「美味そうだし作れそうだけれど  メンドクサイから作る気にならない」 といった感じのものが多い。 読者が漫画に求めるニーズを外しているような気もする。 だが、そのへんが須賀原先生の哲学的な部分で それがよく出ている漫画、という感じがした(笑)。 実在ニョーボのヨシエさんや 息子(連載当初は未成年)も話に加わってきて 好き放題に個性的な発言を連発し各話は進行する。 酒と肴がテーマの漫画のわりには楽しい家族漫画でもある。 須賀原先生らしい個性的な 「酒のある家族日記」漫画だと想う。