こんな人生は絶対嫌だ

実話ベース?の悲惨な人生

こんな人生は絶対嫌だ 丸山ゴンザレス 船木涼介
六文銭
六文銭

こんな〇〇はイヤだ みたいなネタ的なタイトルですが、読むとわかります。 こんな人生イヤすぎです。 学校で地味で平凡すぎる主人公・紗希は、ひょんなことで校内のヤンキー集団と関わりをもってしまい、美人局に協力したことで人生の歯車が狂います。 いや、 父親は外で不倫をし、母親はアルコール中毒のように酒を飲んでは怒鳴り散らすような家庭内だったので、彼女の生活は最初から狂っていたのかもしれない。 美人局の悪行がバレ、被害者に住所を特定され、さらにそれがネットに拡散され・・・と とにかく、胸糞悪い展開が多いです。 主人公が、憐れで目を覆いたくなるような事ばかり起きます。 上記のような家庭だから、何が起きても、守ってくれる人はいません。 まさに救いがない内容。 原作者は、海外の危険地域に造詣がある丸山ゴンザレス氏。 本作最後に、解説と称して氏の「あとがき」があるが、海外を含めてあらゆるこの世の闇をみてきたようで、この悲惨な内容である本作も、実話ベースというから驚きです。 この先に何が起きるのか、ひとまず主人公の結末が気になってしょうがないです。 冒頭の不安しかないシーンとつながるのかな?

少女支配

四人それぞれの愛欲=支配の果て

少女支配 筒井いつき
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

父親に虐待を受ける女子高生が、幼馴染三人と共謀して父親を殺害し、死体を隠蔽する事から始まる物語。四人それぞれの愛欲と、強い執着による狂いが痛々しい。 幼馴染の四人が抱く暗い感情。それを癒すために、それぞれの愛欲に依存してゆく様は、見ていて辛い。 男性とのインモラルな関係に惑溺してゆく二人に対して、とりわけ強い想いで結びつく二人はある男子を障害として、かえって純愛の度を強めている様に見える。 しかし問題は、四人とも愛・性・強い感情に囚われすぎている点にある。 愛情とか快楽とか、強すぎる物で人を支配しようとして、支配されている……そんな観点で見ると、四人の陥る闇の深淵は、実は私の足を少し踏み込んだ先にもあるように感じる。 殺人事件の解決、そして四人の関係性の終点に、救いは無い。想い合う二人の逃避行は二人の純愛の様に美しいが、その先に約束されているのは苦しく溺れるしかない暗い海だ。それでも純愛という支配から、逃れられない。 過去に恋を拗らせてしまったことのある人には、分かるかもしれない。こういう人間の昏さの為に、筒井いつき先生の作品はある。

幻怪地帯

作者が初めてLINEマンガで連載した短編集

幻怪地帯 伊藤潤二
名無し

あとがきを読んで知ったのですが、作者が初めてLINEマンガで連載したものをまとめた短編集らしいです。LINEマンガで連載したことによって何が今までと変わるかというと、紙の雑誌と違い電子ではページ数の制限がない。それにより、ネーム制作時にページ数に合わせて内容を削ったりする必要がなく、胸躍ったとのこと。 だからといってものすごく長いものが出来上がっているわけでもないですが、そういう意味ではこれまでの中でものびのびと描かれた作品ということになるのかなと思いました。 ただあとがきのなかでも言及されていますが、好きなページ数でのびのびと描いたら面白くなるのかというと、そうとも限らないですよね。漫画って難しい。すごい伊藤潤二オタクみたいな人が読んだらなにか思うところがあるのかは気になります。個人的には4編全部面白かったですけど。 面白いというか、伊藤潤二作品を読んでて常々思うのは「読みやすい」ということ。この短編集とかとくに、表紙があまりキャッチーじゃないので表紙だけ見て買う人ってそんなに多くないのかなと勝手に思ってます。だけど、実際に読むとその読みやすさに驚きます。 最後の「まどろみ」がいちばん好きです。

洗礼

母と娘の関係の真理をついてる

洗礼 楳図かずお
かしこ
かしこ

絶世の美女として有名な大女優・若草いずみには誰にも言えないコンプレックスがあった。それは普段はドーランを塗り固めて隠している顔にできた大きなアザと、どうしても抗うことのできない老いである。しかし主治医からある提案をされたことにより、彼女は女の子を産む。そして芸能界を捨てて表舞台から姿を消した…。数年後、大女優だった面影がないほど醜くなった母親は、昔の自分のように美しく育った小学生の娘・さくらを襲う。そして娘の身体に自分の脳を移植する手術を行うのだった!美しい身体を手に入れた母親は、これまでの人生では手に入れられなかった平凡だけど幸せな生活を送る為に、新婚だった担任の家に潜り込み、その妻を殺そうとする…。 母親と娘の関係って怖いですよね。仲が良くても悪くても怖いよな〜って、自分を見ても、他人を見ても感じます。やっぱり似てしまうからしょうがないってところもあるんでしょうけどね。脳移植後の見た目は少女だけど中身はオバサンっていう恐怖は「エスター(映画)」にも似てるなって思いましたが、オチは「洗礼」の方が怖かった。自分が娘だからより怖く感じたんだと思う。これを少女コミックで連載してたってヤバすぎる。笑!