龍神沼

リアルタイムで読みたかった #完結応援

龍神沼 石ノ森章太郎
名無し

マンバ通信の記事で知った作品。最近山田五郎が配信のなかで「龍神沼は石ノ森章太郎先生の少女漫画時代の隠れた名作」と言っていたので読んでみた。 東京から田舎に来た少年が美しい龍神様にひと目会い別れる…という儚く美しいストーリーが、これまた美しい筆致で描かれていて素晴らしかった。これを19歳で描いたなんて信じられない。 「少女モノらしくない少女モノを描きたかった」 「高校時代から温めていた大長編作品で、上京後で“青春ド真ン中”の1957年に描いたもの」 という文章を読み、この作品は生まれるべくして生まれたんだな…と納得した。 巻末に収録されている石ノ森先生のコメントはどれもいいが、 「マンガというものは、性別や年齢に限定される読まれるべきものである、というのが信念だった」 という一文が特にいい。 リアルタイムに読めたらどれだけ感動しただろうか……。 物凄く美しい作品だったけど、これを心の奥で少しでも「(なんだ…こんなもんか…)」と思ってしまったことが悲しい。 (AKIRAやスター・ウォーズの凄さがわからないってこんな気持ちなのかもしれない) 今まで自分が読んできた全ての少女漫画はこの名作があってのもので、2021年の読者が「当たり前」「普通」と感じるような作品を1957年に描き上げているという「とんでもなさ」をしっかり理解して噛み締めたい。

子宮を貸して 単行本版

昼ドラのような怒涛の展開

子宮を貸して 単行本版 朝野いずみ 嵯峨根グミ
六文銭
六文銭

優しい夫に、裕福な生活。 絵に描いたような幸せ家族だったが、子供には恵まれなかった主人公。 何年もつらい不妊治療をするも結果は、妊娠に至らず。 最後の手段として、「代理母出産」を選択。 代理母役は、見ず知らずの他人ではなく妹に依頼。 妹は姉とは対照的で、暴力をふるう夫に、子沢山の貧しい生活。 お金に困っていた妹夫婦は、多額の謝礼金が貰えることで代理母を引き受けることに。 加えて条件として、当面は生活を逆、つまり、姉の家で姉の夫と暮らすことを提示。 姉は妹の家で生活。 姉の裕福な生活を妬んでいた、妹の仕返しである。 順調に代理母での妊娠がすすんでいたのだが、最終的に失敗。 そして、それを隠そうと姉の夫と関係をもって、さらには妊娠してしまうという流れ。 最終的には、この不貞もバレて、夫は寝取られ、そこから、主人公の破滅が始まるのだが・・・ここまででも、なんという昼ドラ的展開!と驚きました。 救いようのない、胸糞悪い感じが、エグいです。 主人公は主人公で過去、元カレとの間に中絶した背景も夫に隠していて、など次から次へと怒涛のように流れこんでくる感じが、 なんと形容していいかわからなくなるくらい、すごいの一言。 最後は、まぁ、体よくハッピーになりましたが、先の読めない(というか、予想の斜め上をいく突拍子のない感じ)それまでの展開に読む手が止まりませんでした。 一気にとけました。