怪奇・ミステリーマンガの感想・レビュー3336件<<105106107108109>>『監察医朝顔』のコンビによる一風変わった構成のホラー朧 OBORO 木村直巳 香川まさひとマウナケア『監察医朝顔』のコンビによる一風変わった構成のホラー。何が変わっているかというと、アンサーソングならぬアンサー怪談とでも言いますか、謎の美少女・月夜が、聞き出した怖い話のお返しに、少しだけ違った内容の怖い話を語る、という筋立てなんですね。月夜が聞く立場の怖い話は、キャラが柔らかいタッチで描かれ、逆に月夜が語る場合はよりリアルでシャープになっているという、驚異の人物描き分け技術をもつ著者ならではの凝った構成なのです。しかも同じストーリーをなぞる部分でも、単にコマ割りを変えました、というのではなく、構図ごとごっそり変更。より悲惨な話になるように工夫もされてます。また主人公の月夜も、語り始めるときはおちょぼ口がワニのようにぐっと広がるように描かれて、恐怖の案内人に適した風貌になるという芸の細かさもあり。この作品はずいぶん前に首都圏の駅前で配られていた無料マガジンに連載されていて、実は私、これ目当てで入手していたのですよ。単行本になっていない話もあるのでそれも電子化できるといいのですが。窒息しそうな緻密な地獄の中でも、河童がいる天水 花輪和一にわか民謡のような、説話のようなテイストが特徴的。いうなれば日本文学をマンガに落とし込んで、和風ファンタジーとして完成させたような作品。 個人的には、読者のストレスコントロールが完璧なところが素晴らしいと感じた。前半部は世界のどうしようもなさを、河童の愛嬌でうまく釣り合いを取り、後半部の緻密に書き込まれたドロドロの地獄をオチで、綺麗に飛ばす。河童の存在が終始とてもいいバランス感を保っていた。 河童は読者の救いであり、なによりも主人公の救いだった。 WEBで無料で公開もされているが、なんとなく、この読書体験は紙でしてほしいと思った。妹のために虐殺ハッピーエンド 宮月新 向浦宏和さいろく妹のために誰かを一日1人殺していく神様のルール(と主人公は思っている)を守り日付変更線までの行動を繰り返して進んでゆく。 割と苦労して殺してるので正確には虐殺ではないような気がするけど。 あと、なんとなく「僕だけがいない街」と「いぬやしき」を思い出した。 しかし最近は絵がうまい人が多い。そしてみんなだいたい原作付きでバイオレンス系。面白いんだけど読み始めるまで全部同じに見えてしまうのが難点かなぁ タイトル通りだけどネタバレありとしておきました、と思ったけどあらすじに書いてあるやないかーい切ない雰囲気で進む不思議なミステリーまぼろしまたね 糸なつみsogor25表紙の絵柄からやや少女マンガ寄りの雰囲気なのかなと思って手にとった作品。ある事件のせいで幼馴染の穂積と疎遠になってしまった中学2年生の女の子・芽出子。どうにかして仲直りをしたいけども上手く行かなくてもどかしい様子の描写はまさしく少女マンガ。しかし、ある日の河川敷で穂積の子供の頃にそっくりの少年に出会ったことから大きく物語が動き出す。 穂積への思いと少年との出会い、どちらも並行して展開しながら芽出子の心境が変化していき、やがて大きく行動を起こしていく。 少女マンガ的な様相を保ちながら、ファンタジーのようなミステリーのような、不思議な雰囲気を併せ持っている。何よりその両方の面に馴染んだ形で主人公の芽出子の内面が前向きに変化していくのが伝わってくるので、より芽出子のことを応援したくなる。 少女マンガ的な特徴が強くなれば「orange」のような雰囲気になりそうだし、ミステリー性が高くなれば「僕だけがいない街」のような作品になるかもしれない。まだまだ先の展開は分からないけど、いろんな面で楽しめる作品になりそう。 1巻まで読了 島の話って気になっちゃう時間島 松枝尚嗣 椙本孝思やむちゃ「廃墟」「無人島」のパワーワードに惹かれて読んだ。 タイムトラベルものって読むのにちょっと疲れるから、全1巻でちょうどよい長さかも。やっぱり原作があると話がきれいにまとまっていいね。黒幕を予想するトピ名探偵コナン 青山剛昌のの※ネタバレを含むクチコミです。驚愕の特殊メイクレディ・プラスティック 深谷陽マウナケア原型と別人の顔に仕上がる顔面マスク。呪われた企画の再映画化。その監督の過去に関わる悲恋…。ホラー映画になりそうな話だな、と思ったら、もうされていたんですね。で、あとがきを読んで知りましたが、作者本人も特殊メイクの仕事をかつてしていたとか。どうりで出てくる小道具の種類や監督のしぐさなどが本物っぽいわけです。私は学生時代に自主映画を撮っていたこともあり、勝手に映画にした場合の配役やらロケ地を考えつつ読んで、ずいぶん妄想をかきたてられてしまいました。絵も達者なだけに最後には漫画が絵コンテに見えてしまう始末。顔模型が手前に奥に主人公がいて、構図そのままで手前にピントが移動したときに口元がニイィとなる、なんて、”そうそう”とうなずいてしまいましたもん。そんな部分で感情移入ができ、登場人物も動いて見える映画的な作品だと思います。映画版も見られたら見てみようと思うのですが、配役のイメージが違うので別の意味でコワイなあ…。 骨とう品や美術品などの過去に潜る仕事クリオの男 木葉功一マウナケア舞台は世界各地。好きなんですよね、こんな展開。ただ、これだけだと、”わりと好き”レベルなんですが、この作品は時間も遡ってしまう。時代背景の描写など、描き手の力量が問われますが、期待以上の仕上がりで、”わりと”ではなく、とても好きになってしまいました。内容、の前にまずクリオについて解説しますと、これは表紙に書いてある通り。クリオダイバー=骨とう品や美術品などの物の中に蓄えられている過去の情報世界に潜る人、ということです。そのクリオの男が、世界各地のワケあり物品に込められた過去の因縁を暴き、現代に害をなさないようにする、というストーリー。展開は非常にダイナミック。そして立体的な描写が物語にさらに奥行きを加えています。戦闘機の翼の上、屋上から落ちるさま、素潜りの海中などのシーンが目白押しで、映画っぽいなあ、と思っていたら、著者はそっち方面を目指していたこともあるんだとか。映像的視点もいいですね。これも加えるとまたレベルが上がるなあ。結局、大好きなお話になってしまいました。哲学的な世紀末方舟 しりあがり寿マウナケアしりあがり寿、と言えばシュールなギャグが持ち味。しかしこの作品はシュールはシュールですが、意図したギャグは一切なし。水の中に全てのもやもやしたことをぶち込んで世界は終わるのだ、といわんばかりの哲学的な終末を淡々と描き切っています。発端はやまない雨。歯みがき会社の方舟による世界一周キャンペーンが大ヒットする中、人々の生活は少しずつ壊れ始めます。この雨、というファクターは、物語を語る上で非常に重要なパーツ。群集心理によって起こる暴動の喧騒は雨音にかき消され、死体は雨に流され、たまった水に世の中の雑多な物は沈んでいく。そして残るは島影ひとつ見えない大海原。作品に”静かな”というイメージを与えるのにこれほど効果的な使い方はないと思います。この作品が描かれたのは西暦2000年。いわゆる世紀末。あとがきには著者による「輝ける未来」が創造できなくなった趣旨のコメントがあります。それから10年経ちましたが、この世界よりも、もっと閉塞感のある氷の時代になってしまったように感じるのは気のせいでしょうか。派手な演出は無いが、心理描写は丹念呪街 惣本蒼マウナケア「呪い」…人を殺したり傷つけたりすることに限定された超能力。そして精神力にその力は比例する。こんな特殊な能力だからこそ、この作品はドラマ性が色濃く出る結果になったのでしょう。呪力合戦に派手な演出は無し。一方、作品の核である命を奪う能力をもつ人々の心理描写はこれでもかというほど丹念。2つの話を交互に描き、補完し合ってじわじわとドラマを盛り上げているのも効果的です。この作品における呪力とは、思春期から20代にかけて発症する能力。この能力をもつ者は呪街に行かなければならない。12歳で発症してしまった優愛菜は能力を中和することのできる火詠とともに呪街に向かう、というのがひとつめの話。そしてもうひとつは呪街四天王・笠音と、彼女に預けられた真魚が、権力争いに巻き込まれるという話。能力に疑問をもつ者と、強力な能力をもつが故に安らぎを求める者。この2人のストーリーが最終的にどう交わるのかがまさに焦点です。ようやく最終巻がリリースされましたので、その衝撃のラストを心して読んでください。 犬神人かっこよすぎるイヌジニン ―犬神人― [電子新装版] 室井大資名無し続きが読みたいという声をよく聞くなと思って読んでみましたが、激しく同意します。 室井大資先生はエバタのロック、秋津あたりから読み始めたのでコメディイメージが強かったのですが、この漫画はわりとシリアス&バイオレンス。ただ、ところどころに室井節(?)が垣間見え、重くなりすぎずに最後まで読めます。 犬神人の人々、一見バラバラなように見えていざという時のチームワークの良さ。かっこよすぎる。続き…続きがほしい…愉快なストーカーたちストーカーズ ハナツカシオリnyaeあれ、ストーカーが主役なのに気づくとほっこりしている…? 動機が決して復讐や私怨によるものではなく、「好き」「知りたい」というものだけだからだろうか。相手が幸せそうに笑っているのを確認できればそれでいい… いや、だったとしてもアウトなんだけど…。 少し行き過ぎてしまう行動もあるけど、誰も不幸にはならない、ストーカーたちが織りなすサスペンスコメディ。 基本笑えるんだけど気を抜いてると急にゾッとさせられる。人生のストッパー笑ゥせぇるすまん 藤子不二雄(A)マウナケアサラリーマン漫画と言えば、圧倒的なカリスマ性をもつ主人公がライバルを蹴落としていく、明日の活力となる出世物語や、平凡な主人公が地道に頑張る姿を描く癒し系ドラマが王道でしょう。しかしながら、これらの漫画は人の善なる部分を理想化したもの。他人の不幸を喜び笑って、自分には関係ないと安心する、という真逆の面も人間にはあって、それをうまく漫画にしたのがこの作品。著者は1巻のあとがきで、「喪黒福造によって虚構のガードをとりさることができた人たちはかえってホッとしているかも」と書いてますが、一理あるとしてもそれは自分じゃないからそう思えるのであって。大体の被害者は喪黒がつくったきっかけにのり、「二度と会ったらいけませんよ」とか「人に自慢したらダメですよ」という忠告を聞かずに破滅してしまうので、捉え方はさまざまでしょうが、私などはむしろヤバイことは一回でやめよう、というストッパーになります。そしてこいつらダメだなあと、ハハハと笑って上から目線の自信を得る。まあ、漫画を読んでこんな形でストレスを発散するのなら罪はないでしょう。 座敷女座敷女 望月峯太郎マウナケア表紙がまるでシュルレアリスムの絵画のよう。単行本は未見だったので、ちょっと得した気分になりつつあらためて読むと、あれ?雑誌連載当時は、怖え~、と思っていたのが、気色悪る~という感想に変わっていました。90年代後半に髪の長い女のホラーや、ストーカーを題材にしたテレビドラマなどが流行りましたからそのせいもあるのかも。もはやありえる話になってしまったというか。だから、この作品における描写の気色悪さが、以前より際立ってみえてきたんでしょう。ぺろんとした顔や手入れされてない長い髪はともかく、なぜか持っている紙袋やバッグ、伝線したストッキング、汚れた靴、髪が絡みついたブラシなどの少しずれた座敷女の風貌。そして雷や蛾といった心理的に不安になるイメージの挿入。「ドラゴンヘッド」の時も感じましたが、この著者は日常を少しだけありえる範囲で外すことで、気味の悪さを演出するのが非常にうまい。うん、これに気付いたことも、いまさらながら得した気分です。花沢健吾の本気アイアムアヒーロー 花沢健吾starstarstarstarstarさいろく本気出し切ってないかもしれないけど「ルサンチマン」からは想像もできないストーリーと画力の上達(上からっぽくてすみません)。 あえてなのかわざとじゃないのかわからないけど生々しさが伝わってくるスピード感(早いとは言ってない)や、画角の意識などが明らかに変わった。 後半から最後の展開にかけてはここでも議論がされてた気がするけど、多くの人を惹きつけた作品なのは間違いない。 不謹慎かもしれないが、連載開始は2009年だったものの2011年にパンデミック(この場合「アウトブレイク」?)の恐ろしさを理解した我々日本人には本当に恐ろしくリアルにイメージができてしまうものとなり、後の展開ももしかしたらそれに配慮したところがあるかもしれない。 女子が○○○とか×××とかそういう花沢健吾節ももちろんあるんだけど、それがあるキャラは主要キャラの一部だけでもあり、あくまでガチサバイバルというか極限状態まで追い詰められた人類を描いたシリアスなストーリーがメイン。 名作と言って遜色ないと思うけど割と賛否両論みたいですね🤔いままでの人生に影響あったかもしれないY氏の隣人 吉田ひろゆきstarstarstarstarstarひさぴよ中学生の頃に出会って、今でもたまに読み返す漫画。この漫画に登場する無数の人生が、20年以上経っても自分の中で物事を判断するときの支えの一つになっているかもしれない。読み終わってふと我に返ると現実の自分を見つめることができるので、メンタル弱くなったら読む、御守りみたいな作品。 作品を少し紹介すると、1988年から2002年までヤングジャンプで連載していた現代のお伽噺風のヒューマン・ドラマです。 悩める人間たちのもとに、胡散臭い神様や天使・悪魔といった存在が現れ、謎の秘密道具を与えては、人間たちの運命を大きく変えていく・・・という1話完結型の短編漫画で、「笑ゥせぇるすまん」に近いテイストです。喪黒福造みたいな際立った不気味さはありませんが、Y氏の隣人には、ザビエールをはじめとしたバリエーション豊かな妖しげなキャラクターが揃ってます。 作者・吉田ひろゆき氏は、元銀行員という異色の経歴を持っており、これがデビュー作になります。作品には、銀行員時代に見てきたと思われる人間模様が至るところに登場します。(余談ですが矢口高雄も元銀行員) 悩みやトラブルの原因で一番多いのが金銭関係だったり、 神様が渡すアイテムにしても、無限に使えるわけではなく、使用する度に「貯金」や「利息」といった制限が必ず付いてまわります。 そして人間の善行・悪行を「積み立て」として捉えて、その勘定が合わなくなったときに破滅が訪れる。 まさに因果応報!という感じで大好きな世界観なのですが、 この作品の凄いところは、「自分は、善人になるぞ!」と意気込んで善行を積んだとしても、必ずしも思っていた通りの結果にはならない、というところ。 この不条理さと、因果のバランス関係がほどよくて、人生ってヤツは一筋縄ではいかない…と読む度に思わせてくれます。ハッピーエンドになるのか、バッドエンドになるのか、一話一話のオチを予想しながら読むのも一興。 1巻から読み通すのは時間がかかるので、まずは「Y氏の隣人~傑作100選~」から読んでみては。 今までの推理ものとはパターンが違う探偵プロビデンス 迷宮事件解明録 外木寸starstarstarstarstar_borderマンガトリツカレ男※ネタバレを含むクチコミです。70億の針とは70億の針 多田乃伸明マウナケア※ネタバレを含むクチコミです。ううーーーGIGANT 奥浩哉さいろく※ネタバレを含むクチコミです。 迫る恐怖モンキーサークル 志名坂高次 粂田晃宏365日漫画っ子迫り来る猿の恐怖、人間の心理、チームワークとは、主人公の闇。 この状況でどうでるのが正しいのか、いつもハラハラしながら読ませて頂いております。 ハラハラしたい人、山を知りたい人は是非読むべき漫画だと思います。全6巻で完結らしいんだけどデガウザー 渡辺潤さいろくテスラ・ファイルに記された超科学兵器(たぶん科学の方…)がデガウザー。 現代の日本でそれを巡る代紋Take2よりエゲツない残虐な争いがーーって渡辺先生ほんとにドンドンエグいシーンが増えてく気が… 今作はダブル主人公みたいなものかな?ヒロイン(女)はヒロインと言えるほど出番多くない これも原作者いるのかなーと思ったんだけどどうやらいないっぽい?? クダンみたいに少し短めの作品もピシッと締めてくれると思うので次の最終巻に期待して待つ。グロさが良いwギフト± ナガテユカ名無し漫画喫茶で、特に読みたい本もなくダラダラと棚を見ていた。そしてたまたま手にとってパラパラとページをめくってみる。すると気に入ってしまった。 本作品、はっきり言ってグロいです。しかし私には合っていた。ストレス解消が漫画喫茶に来た目的だった。映画『SAW』や『CUBE』が好きな人には気に入ってもらえると思う。人間はきれい事だけではなくどこか残酷な面も持ち合わせている。それが表に出てしまうと犯罪などを犯してしまう。だからグロい作品を見て己の残酷さを発散させるのは必要なことだろう。 すごいの一言ガンニバル 二宮正明名無しハラハラドキドキが止まらない構想が非常に飽きさせない。 お是非必読の1つであることは間違いない”安楽椅子”系の犯罪捜査モノリモート 天樹征丸 こしばてつやマウナケアいつの時代でも犯罪捜査という題材は受けがいいようです。加えて、時代によって人気になる捜査手法がでてくるのが、ジャンルとして廃れない理由かもしれません。この作品は”安楽椅子”系捜査官タイプで、動かないのではなく動けないのがミソ。自宅から外に出ない警視・氷室と、その手足となって動く婦人警官・くるみによる推理ドラマで、頭脳は氷室、行動はくるみという仕立てになっています。と、書くと、なあんだ、J・ディーヴァの「ボーン・コレクター」じゃん、と思う方もいるかもしれません。しかしこちらは、難しい科学捜査は省き、クールな氷室と、ふにゃふにゃ娘のくるみというキャラを生かし、より漫画らしく仕上げた作品。ドラマ化されたのも新鮮さとわかりやすさが同居してたからなのでしょう。さらに書くと、このドラマのキャストがはまっていたんですよね。氷室に堂本光一(テレビ誌によると警視を演じた最年少役者だそうです。警視って銭形のさらに上…)、くるみは深田恭子。漫画を読みながら当てはめてみると、わりと楽しめると思いますが、いかが?<<105106107108109>>
『監察医朝顔』のコンビによる一風変わった構成のホラー。何が変わっているかというと、アンサーソングならぬアンサー怪談とでも言いますか、謎の美少女・月夜が、聞き出した怖い話のお返しに、少しだけ違った内容の怖い話を語る、という筋立てなんですね。月夜が聞く立場の怖い話は、キャラが柔らかいタッチで描かれ、逆に月夜が語る場合はよりリアルでシャープになっているという、驚異の人物描き分け技術をもつ著者ならではの凝った構成なのです。しかも同じストーリーをなぞる部分でも、単にコマ割りを変えました、というのではなく、構図ごとごっそり変更。より悲惨な話になるように工夫もされてます。また主人公の月夜も、語り始めるときはおちょぼ口がワニのようにぐっと広がるように描かれて、恐怖の案内人に適した風貌になるという芸の細かさもあり。この作品はずいぶん前に首都圏の駅前で配られていた無料マガジンに連載されていて、実は私、これ目当てで入手していたのですよ。単行本になっていない話もあるのでそれも電子化できるといいのですが。