猫とシュガーポット

「人に言えない」生々しい百合 #1巻応援

猫とシュガーポット 雪子
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

『ふたりべや』雪子先生の短編集は、kadokawa、双葉社のアンソロジー掲載作品、同人作品に加え、書き下ろし。アンソロジー読者には既読の作品もあるのだが、一冊に纏まると共通点が見えてくるのが、面白いところ。 全体を貫いているのは「人に言えない」事。 人に言うのが憚られるような、変わった嗜好や感覚の生々しさ。性癖的にも精神的にも、遂に受け入れられる時の無常の喜び。秘密の関係に、密かに浸る背徳感……細やかで軽いタッチに中和されつつ、濃厚な感覚がクセになる。 ●『猫に離人』『猫と囀り』『猫に電話』…人が野菜にしか見えないキャバ嬢は、人の姿に見えた女性と付き合い始める。 ●『シュガーポットは壊れない』…かなり変わったM癖を持つ女性は、友人に連れられたSMイベントで意外な人と会う。 ●『つるつる』…恋人の毛を抜きたい子。 ●『私の幼なじみは…。』…幼馴染と離れたいギャルは、清楚系幼馴染に「アブノーマルに」ガンガン迫られる。 ●『午前1時のコインランドリー』…上京したてのOLは、コインランドリーで知り合った美人に部屋に誘われる。 ●『蝶々の暇つぶし』…やる気のないメイドがお嬢様に取り立てられて……? ●『鬼と山神』…人の世を追われた鬼の姫は、山の神に触れられる。

にいさまどなた?

ハンサムな三兄弟の中から実の兄を見つけるドタバタラブコメ♡ #完結応援

にいさまどなた? 庄司陽子
天沢聖司
天沢聖司

もうメチャクチャ最高のやつだった…!!マンバで1970年代の少女漫画を眺めていたらかわいい表紙と「にいさま」の文字が目に入り読んでみることに(兄キャラ大好きマン)。 孤児になった15歳のシシリーは、亡くなった母が貧しい時にルース家のお屋敷の前に捨てた息子のことを気に病んでいたことから実の兄を見つけることに。 シシリーはお兄ちゃんの可能性がある3人とともに暮らし始めるわけですが、このルース三兄弟がまぁ〜〜素敵…! https://i.imgur.com/5jxGPS8.jpg (『にいさまどなた?』庄司陽子) 美しいブロンドの長髪が似合う大学生で、毎日違う女の子とデートしているプレイボーイ長男のディンドン。 黒髪短髪、頭脳明晰で兄と同時に大学に入学する秀才でいつも難しい本を読んでいる次男のクルー。 ブロンド短髪で一番シシリーに年が近く、スポーツ万能で柔道クラブに入っている末っ子のアンディ。 全員実子として別け隔てなく育てられとても仲良しなうえに、イケメンで優しく特技を持っているんですよね。 イケメン兄弟が出てくる少女漫画やゲームなんて今どき山程ありますが、「兄弟仲がよく、格好良すぎずコミカルなところもあり、母親への愛情を隠さない」という親しみやすい温かみにあふれているところが最高でした。 朝に家を出る前にパパと息子たち全員がママにキスするところ…優しい世界で大好きです。 当然、この三兄弟を育てたルースご夫婦も素敵な方なんです。 「全員実の息子だと思っているから絶対に誰が養子か言わない」と最初に宣言し、シシリーを養子に取ることを申し出るけれどシシリーの気持ちを尊重し決して押し付けず、実の母への気持ちを考慮しつつ距離を縮めるために「エリザベスママ、セオドアパパと呼んでちょうだい」と頼む。 あの息子たちが育つのも納得の人格者で、あんな素敵な男の子に育ててくれてありがとうという気持ちになりました。 https://i.imgur.com/mhtkOM9.jpg (『にいさまどなた?』庄司陽子) ルース三兄弟がシシリーについて夜中話し合うシーン大好きですね…兄弟感がすごい。 結局シシリーを妹として扱うと決めてからは、ディンドンがお洒落と遊び担当、クルーが勉強担当、アンディが運動担当として面倒をみることになるのですが、その過程で無事順番に1人ずつシシリーを好きになってしまうのが微笑ましい。 そしてシシリーもまた、3人のうち1人に恋をすることになるのですが……結末はぜひご自分の目で確かめてください! いや〜〜もう、王道オブ王道な設定のはずなんだけど、新鮮にメチャクチャときめいてしまいました。庄司陽子先生すごい。

リリウム・テラリウム

見てこの美しさを…

リリウム・テラリウム ED
ANAGUMA
ANAGUMA

前後編構成の短編が3本ずつと中編「メイちゃんとアキちゃん」シリーズ、最後に短編が1本収録されたオムニバス百合短編集。 キーカラーが各章ごとに一色配されたシンプルかつ美麗なアートワークがまず最高!引き込まれるようなスマートで繊細な表現が絵にも物語にも敷き詰められています。 そしてとにかく読みやすいです。各話のページ数も短くスッキリしている分、研ぎ澄まされた感情が無駄なくお届けされてくるのがありがたいですね。 話数の切れ目で視点人物の切替やキャラクターの関係性が変化したのがすごく分かりやすくて「前はああだったのに今はこう!!おあー!!」と鳴き声を上げやすい仕様になってます。 中編の「メイちゃんとアキちゃん」シリーズがやはり読み応えがありますが私のお気に入りは写真部の女の子・渚とギャル・鈴子の交流を描いた「ラブレター」。自分の写真は人に見せるようなものじゃないと自信なさげな渚を陽気な鈴子が励まします。 ここまではいい。ここまでは。 問題は渚の写真にはいつも鈴子が写っているんですよね〜!!しかも全部サイコーにカワイイ姿で!!あとは察してくれ〜〜〜!!!(放り投げ)