こいぐるみ

彼女は「べき思考」を手放すか #1巻応援

こいぐるみ たなかのか
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

すべき思考orべき思考とは、認知の歪みと言われる偏った思考の一つ。道徳・一般通念や理想像に過度に固執する状態であり、精神疾患を長引かせる要因にもなる厄介な思考。 主人公の女性はこの「べき(すべき)思考」の持ち主。常に「べき」を振り撒く彼女は、何をするにも「べき」と音を出していて痛々しい。 そんな彼女の心を救うプランナーの男性は、キャラクターデザイナーの彼女が創るキャラを愛し、彼女をいつも見てくれる。しかし実は彼は……なんじゃそりゃ!?(試し読みを読もう!) 軽いタッチのラブコメには、ちょっとモヤッとする人ばかり登場する。主人公の家族の人でなし感は物凄いし、主人公に求愛する男性も何を考えているのやら……そして主人公のべき思考も頑なで、自他に押し付ける姿には抵抗感がある。 だが主人公の「べき」が己の心を守っている事、彼女が『アリとキリギリス』の呪いの被害者である事には、心底同調してしまう。誰も望んで苦しい思考を身に付けない。それは防御反応なので、ある程度は周囲のせいなのだ。 男性の可笑しな求愛に振り回され、怒り傷つきながら気付かされる考え方に、ハッとする。頑なな自分と向き合って、べき思考の奥にある「望み」を知る様子に、彼女の心に平和が訪れる事を、我が事の様に祈ってしまう。

鳴かせてくれない上家さん

麻雀文化の広がりを確かに感じる麻雀ラブコメ

鳴かせてくれない上家さん 古日向いろは 更伊俊介 内川幸太郎
兎来栄寿
兎来栄寿

2018年にMリーグが発足してから早2年経ちますが、そのお陰もあってか今世間で再び麻雀が盛り上がっています。3シーズン目を迎えた今年は視聴者数も100万人を突破。とある大手企業では全自動卓の売り上げが4倍にもなったとか。 『咲-Saki-』のように世界の競技人口が億単位になるにはまだ暫くかかりそうですが、それでもノーレートの健康麻雀が老若男女問わず広がりを見せ続けているのは確かです。 となれば、当然マンガ業界にもそこ人気は波及して新しい麻雀マンガが生まれます。『鳴かせてくれない上家さん』は、『一色さんはうまぶりたいっ!』と並んで今注目の麻雀ラブコメです。 作画を担当するのは『バガタウェイ』や『サクラクエスト』の古日向いろはさんということで、女の子のかわいさはお墨付き。メインヒロインの後輩キャラ・上家さんはもちろんのこと、同級生で黒髪ポニーのお嬢様系ヒロイン筒井さんが個人的に推せます。 上家さんの奔放な行動や笑顔に翻弄されつつ、相手が自分のことをどう思っているのか、これから先どうなるのかドキドキするラブコメ分と、「鳴かせてくれない」にフィーチャーした麻雀分、どちらも詰まっていて一粒で二度美味しいです。 監修にはしっかりMリーグ所属の内川幸太郎選手が入っているのもポイント。巻末のおまけマンガでは、古日向さんが元々麻雀を解らなかったもののMリーグを観るようになってハマったというエピソードもあり、麻雀好きとしてはこうして麻雀文化が根付き広がっていくのは嬉しいなぁとしみじみ読みました。

婚約破棄された令嬢を拾った俺が、イケナイことを教え込む~美味しいものを食べさせておしゃれをさせて、世界一幸せな少女にプロデュース!~(コミック)

無実の罪を着せられた令嬢に"贅沢"を教え込む #1巻応援

婚約破棄された令嬢を拾った俺が、イケナイことを教え込む~美味しいものを食べさせておしゃれをさせて、世界一幸せな少女にプロデュース!~(コミック) 桂イチホ みわべさくら ふか田さめたろう
sogor25
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魔法薬を売って生計を立てているが、人相が悪く町外れに住んでいるため人々から「魔王」と呼ばれている魔法使い、アレン・クロフォード。 彼はある日、家の近くの森の中で傷だらけの少女が倒れているのを発見します。 どうやら彼女はシャーロット・エバンスと言う隣国の第2王子の婚約者らしく、国税の使い込みや不貞行為国王暗殺などの罪で逃亡中だとのこと。 しかし目を覚ました彼女に話を聞いたアレンは、彼女が"無実の罪"を着せられただけであると確信します。 そしてそんな彼女を住み込みのメイドとして雇うことにするというお話です。 この作品、罪を被せられたシャーロットはすごく自己肯定感が低く、無実の罪で処刑されようとしていたにも拘わらずその罪をなすりつけてきた第2王子のことを一切悪く言わず、全て自分が悪いと思っていました。 そんな彼女に対して、自身も人に裏切られた過去のあるアレンは自身の境遇を重ね、彼女の心を癒し、人としての尊厳を取り戻させるために"イケナイこと"を教え込むと言いつつシャーロットに贅沢をさせようとすると言う物語です。 なので、コメディタッチの作品ではあるんですけども、そこにはちゃんとキャラクターのバックグラウンドがあって、コントのようなやりとりの中にもしっかりとした説得力のある作品です。 もちろんコメディとしても、素直に贅沢を享受できないシャーロットとシャーロットに楽しんでもらおうと半ば意固地になって贅沢を押し付けるアレンのやりとりがラブコメのようでもあり、いろんな種類の楽しみ方を提供してくれる作品です。 1巻まで読了