ミドリノバショ

意外と少年漫画的ビリヤード漫画

ミドリノバショ 岡Q
六文銭
六文銭

ビリヤード漫画なんで「Mr.FULLSWING 」の鈴木先生が読み切りで書いた「pool shooter」くらいしか読んだことなくて、 そういえば、なんでビリヤード漫画ってないんだろ?と、思わず考えてしまった。 個人的に ・細かいルールがよくわからない ・スポーツよりもやっていることが地味 そして、何より ・おっさんが球ついても面白くない これだ!!!!!!!! って本作読んで思いました。(身も蓋もない) とにかく、本作のミドリちゃんが魅力的。 天才なのに、真面目で素直で、孫娘みたいなポジションなのが、すごくいい。 それでてい、ビリヤードのこととなると、かなりアツく負けず嫌いな感じが、よりよい。 自分も、本作に出てくる、応援している地元のおっさんの一人になった気で見守っております。 ただの可愛い天才女子中学生がビリヤードやっているだけでなく、 成長という変化を描いているのが、少年漫画そのものです。 また、主人公だけでなくにも、全体的にキャラが魅力的なんですよね。 特2巻で明らかになる菅さんと沖田プロの師弟関係とか、読んでいて胸アツでした。 初める動機も続ける情熱も、丁寧に描いていて、作品へのハマリ具合を加速させます。 また、書誌内容に >ビリヤード専門誌で約7年連載していた著者がおくる と記載ありますように、ビリヤードに関してはふんだんに豆知識もあるので、そもそもビリヤードに興味がある人も納得できる内容だと思います。 3巻では、現役プロの女王的な存在と戦うことになりますが、 ここから百合展開になるのかも気になるところです。

ドクターメシア

アスリートのメンタルを救え!

ドクターメシア 寺沢大介
ひさぴよ
ひさぴよ

寺沢大介先生初となるスポーツもので、脳科学でメンタルを治療するスポーツドクター“飯合”の仕事を描いた漫画。ゴルフやバレエ、ラグビーなどさまざまな競技のアスリートが抱える心の問題を、メンタリスト飯合先生がそれっぽい言葉で克服させていきます。 ※何名かの顔がアンパンマンのように丸くて、他の人たちは普通に描き分けされてますが、深い意味はないみたいなので気にしないで大丈夫です。途中から慣れます。 若干、胡散臭い感じもありますけど、セリフや構成が非常に巧みで、読み進めるうちに読者をも洗脳…じゃなくて共感できるようになってます。最初は半信半疑のアスリートたちも、ちょっとした言葉ひとつで心が変わり始め、本来のプレーを取り戻していく姿を見るのは本当に爽快で、いつの間にか前向きな気分になれます。 終盤で飯合先生はスポーツの「本質」についても語り始め、なぜ私たちにはスポーツが必要なのか?なぜ社会はスポーツを求めるのか?という話をしてきます。そのシーンが激アツで不覚にも感動しました。まぁ、東京オリンピックの時期に読んだせいもありますが…。自分にとってのスポーツって何だろう…?なんてことを考え直すきっかけになりましたね。

妻観察日記

妻のコメントが良い

妻観察日記 福満しげゆき
六文銭
六文銭

私、福満しげゆきフリークなので、何読んでも面白いマンになっていると言ってしまえばそれまでなんですけど、本作も面白いです。 基本的に、この夫婦のかけあいがコミカルでツボなんですよね。 子育てや著者の生活を切り取ったものとか色々ありますが、 妻を軸にすると個人的に3ポイントくらいおもろーになります。 どれも同じじゃないか? と思っている人に、わたくし的な本作のポイントは ・エピソードごとに妻のコメントが読める です。これが良い。 漫画のなかでは「~ばい」とか「~とね?」とか博多弁バリバリなのですが、コメントはなぜか標準語。しかも丁寧。 まず、このギャップに萌える。 妻のツイッターでもそうですが、よそ行きな感じのコメントが、各エピソードに味わいを出しております。 特に、前ページで暴れた後に、きゅうにスッと冷静なコメントがあると、一興だったりします。 下ネタっぽいものにも、きちんとコメントしている度量に感服します。 夫婦のいちゃこらですが、 不思議と嫉妬しないし、むしろ家族の一人になった気分で温かい目でみれて、しかもひとクセある夫婦のギャグとしても面白いで、 この作品から読んで福満先生の他の作品もぜひ読んで欲しいです。

ダンベル何キロ持てる?

人生の問題は大体筋肉で片づく

ダンベル何キロ持てる? サンドロビッチ・ヤバ子 MAAM
六文銭
六文銭

筋肉があれば、なんでもできる そう思っていた時期がありました。 否、現在進行形で思っています。 筋肉があれば代謝があがるので太らないし(※諸説あります) 体調だってよくなる。 寝起きも良い。 ストレスもなくなる。 体がしまるからモテるし、重たいものだって持てる。 ※モテるのは、個人差あります 本作は、痩せたい思いでスポーツジムに通う女子高生の話。 イイことである。 思春期の女子は、何かとすぐ食べる量を減らすことで事なきを得ようとしますが、論外である。 そもそも、やせたければ運動すればいいだけの話なのだ。 運動、そう筋トレで良いのである。 なので、本作の主人公は、誠に良い心がけである。 全体的に日常系の部活モノっぽい雰囲気があるが、 部活ではなくジムなので、やっていることはガチなのが良い。 (最新刊では部活をつくっていますが) 筋トレ方法や健康維持のちょっとした豆知識がつくのも魅力。 コロナによって、ステイホーム、ステイハングリーだから、 ノー運動にも関わらずノーリミットで食べまくっている人の処方箋になる作品だと思う。 筋トレだ、筋トレしよう。そういう気になる。 ただ、12巻まで続いていて、結構な運動量をしているのに、キャラたちが全然マッチョにならないのが不思議である。 とまぁ、偉そうに色々言いましたが、私は、ガリガリでもメタボでもない、一番面白みのない中肉中背です。 まずは、これ読みなおして自分が運動しようと思います。

メディアミックスメイデン

丸戸史明×武者サブのエンタメ作りマンガ!

メディアミックスメイデン 丸戸史明 武者サブ
兎来栄寿
兎来栄寿

『冴えない彼女の育てかた』の丸戸史明さんと、そのコミカライズでもお馴染みの武者サブさんとのコラボレーションが再び登場しました。 帯に丸戸史明さんの代表作として稀代の名作である『WHITE ALBUM2』の名が記されているところからして期待せずにはいられなかった本作。 「100億の男」と言われる超有名プロデューサーを父に持つ主人公が、失踪した父に代わって最高のメディアミックスエンタテインメント作品を作り上げていくという大筋になっています。加えて、文芸編集者・マンガ編集者・アニメ制作会社の才媛たちとひとつ屋根の下に暮らすというラブコメ要素も混じっています。 主人公がお偉方相手に決死のプレゼンを行うシーンや、女性編集者が大物作家に対して専属の先輩編集者の牽制を受け流しながら望む原稿を書いてもらうシーンなど、ビジネスやモノづくりにおかる普遍的な困難を面白い物語として料理し、演出しています。 『WHITE ALBUM2』でも大学生の主人公が編集部で社員よりも仕事ができる有能な人材として活躍するシーンが描かれていましたが、丸戸さんはビジネスシーンを描く手腕に長けていますね。 今回はかなりライト寄りの味付けですが、作家性はそこかしこに滲み出ています。「たかがエンタメ」の件は、サイバーコネクト2の松山社長が書いた『エンターテインメントという薬』を想起しました。 武者サブさんの描く女の子も可愛く、今後も楽しみです。