愛しの彼女は隠れオタク

残念すぎる美人彼女の正体

愛しの彼女は隠れオタク タアモ
兎来栄寿
兎来栄寿

タアモさんの『アシさん』に登場する山猫先生と、その彼氏である教師歴5年の成瀬の物語です。 付き合って3年経つにも関わらず、成瀬は山猫のことをよく知らない……というのも実は山猫先生はBL大好きな女性向け漫画家。ナウシカの腐海の植物がもぎたてフレッシュに思える程に腐りに腐り切っている残念な美人なのです。 しかし、成瀬は非常に天然で物事をすべて良いように解釈してしまいます。山猫先生が仕事でなかなか会えないことに関しても、少し浮気が頭をよぎりながらも自分なりに納得してくれます。また、たとえコラボカフェに連れて行かれても、2.5次元の舞台に連れて行かれても、他にも女オタク特有のありとあらゆる行動や妄想に巻き込んでも一切引くことなく受け入れてくれる、ある種神のような彼氏。 ただ、それでも山猫先生は彼氏よりも「彼氏と付き合う彼氏ができたらそのカプと付き合いたい」という邪な願望の方を強く抱いてしまう業の深すぎる女。 全体的に山猫先生の腐ムーブがパワフルすぎて思わず噴飯します。個人的には6話で、山猫先生と成瀬の生徒である中田さんが同カプであることを確認してすごい顔で理解し合えたことによる握手をするコマが大好きです。 なお、こちらは単体でも十分面白いですが、『アシさん』から読むことでより楽しめます。 言うまでもないことですが、タアモさんの絵は本当に可愛くていらっしゃいます。シリアスも好きですが、ギャグに振り切った作品も好きだなあ。

あなたの鼓動を見させて。

こころにふれる物語 #マンバ読書会

あなたの鼓動を見させて。 MITA 棚橋なもしろ
みや
みや

『サイコミステリー』という名称で紹介されてる事が多いようです。 夢中になれるものが何もなく『恋愛とかわかんない』なんて言ってる美少女大学生こころちゃん。 大学の講義を切っ掛けにココロに強く興味を持ちます。 興味を持てる事が出来て上の空な所に、ド緊張で心臓バックバクな夏川くんからの不意打ちの告白! 胸に手を添えて赤面するこころちゃんの姿が艶やかです。 帰ってからは 『これが、「恋」なのかなァ…』 なんて呟いてみたり… 1度自覚してしまったら後は、恋する乙女パワーで徐々に積極的になっていくこころちゃんです。 イケメンな先輩に家に押しかけられたり、夜の学校に忍びこんだり いろんなハプニングもありましたが… 結果! 【 麻薬組織 vs こころ様 】 になっていきます。 スピード感ある展開で最後までダレる事なく読みおえる事が出来ました。 終わり方も変に皆がハッピーなエンドに落ち着く事なく良きです。 こころ様にとってはベストとまではいかなくてもベターなエンドだったのでは? (注1:感じ方には個人差があります) ちょっと人を選ぶ漫画かもしれませんが、5巻完結と手を出しやすい漫画なのでご興味があればっ。 ・個人的に好きなサブキャラ 【くち先輩】が一押しです。 100%善意の天然系。 残念ながら1巻以降はほぼ出番ないですが、3巻では過激な姿で再登場っ! 画像は 幼女時代のくち先輩添付。 おばあちゃんの教えのまま良い子に育ってます。 (注2:本作は微グロにつき苦手な方はご注意を)

ラブロマ 新装版

全5巻完結ラブコメの金字塔 #マンバ読書会

ラブロマ 新装版 とよ田みのる
兎来栄寿
兎来栄寿

「5巻完結の名作」というと色々と思い浮かぶ作品はあるのですが、私の中で真っ先に出てくるのはこの『ラブロマ』です。新装版でも全5巻ですが、とりわけまだとよ田みのるさんがこれを初単行本として出したフレッシュな時に描かれた、初々しさも残るコピックで塗られたカラフルな表紙の方の全5巻を思い出すのです。 本作は、主人公の少年・星野がクラスメイトの根岸さんに人目も憚らず告白するところから始まります。二人が付き合うところまでは非常に早く、付き合ってからの甘酸っぱい時間がじっくりことこと煮込むように描かれます。その後に完成する美味しい料理を早く食べたいような、完成に至るまでにずっと漂ってくる甘美な匂いに浸っていたいような、不思議な感覚を与えてくれます。 二人以外の周囲の人間の個性や関係性も含めて青春の粋が詰まっており、無限にかわいらしく無限に愛しみが湧く物語です。二人を笑顔と拍手で応援するモブが好きすぎる! そして、意外と清らで品行方正なわけでもないところもまた魅力です。星野は根岸さんとキスはしたいし、乳にも触りたいし、何なら「みかん」もしたい。少し変わった性格の星野は、その欲望すらも包み隠さず明け透けに見せてちょくちょく根岸さんに殴られます。たがそれがいい。こういうのがいい。 一人一人全然違う人間同士が一生懸命生きて、時にぶつかり合いながらも同じ時を過ごして感動を共有する瞬間の尊さ、掛け替えのなさ。この作品から溢れ出るそういったシーンの輝きに、読む度に心を満たされて幸せになります。 全5巻を読んで最後に必ず笑顔になれる傑作です。

ケンガイ

ちょっと変わった不思議な魅力の恋愛マンガ

ケンガイ 大瑛ユキオ
六文銭
六文銭

ケンガイというタイトルはヒロインが「女性として射程圏外」というところからきている本作。 大分失礼な話だが、リア充や陽キャの人が女性の容姿をみて判断するアレだと思ってもらえると想像しやすいと思う。 ヒロインはそうした圏外のレッテルを貼られた女性で、 映画をみること以外はすべて放棄(それこそ食事さえも)していて、なかなか気合が入った感じなのですが、主人公はそんな彼女に惚れてしまう。 ただ、上記のとおり映画をみること以外は興味ないので、当然恋愛にも興味がなく、人間関係もまともに構築してこなかったから、主人公の告白にも無下にことわる。 というか、「罰ゲーム」か何か悪意があるのではないか?と邪推したりする。 それでも主人公は諦めずに、必死に彼女との関係を深めていく・・・という流れ。 こじらせた女性と普通の男性の恋愛で、特に男性の片思いを描いた作品なのですが、多分に自分の体験(主人公の男性が友人にそっくり)に近いのでスルッと共感できました。 人によっては見過ごしてしまうような魅力も、当人にとってはやたらと心に響くことってありますよね。 恋は盲目というのが、ピッタリだと思います。 主人公にとってそれが、ヒロインの映画をアツク語る姿であり、普段の無愛想で冷静な姿とのギャップだったわけです。 当て馬がでてきたり、奪ったり奪われたり、ドキドキしたりされたり・・・そんなことが起きる正統派な恋愛マンガで は な い! のですが、不思議と二人の関係がどう決着つくのか最後まで気になり楽しめた作品です。 一風変わった恋愛マンガをお探しの方はぜひおすすめします。 余談ですが、本作の魅力のもう1つに映画の情報が沢山でてくるので、自然に観たくなります。 特に冒頭にある、ヒロインが感動して 「あのシーンで感動しない人 信用しない!」 とまで言い切った作品はみてみたいなと思いました。 (3巻にその作品が出てきます。好きになった背景も。)