文藝春秋マンガの感想・レビュー62件<<123>>沖縄留学経験を元に描かれた瑞々しい作品間隙・すきま 高妍nyae本当は紙で欲しかったけど入手困難っぽかったので電子で読んでみました。(しかしよく調べてみると翻訳されてるのは電子版のみ…?) 書き込みが細かく丁寧なので、できるだけ大きい画面で読むのをおすすめします。 このインタビューも読みました。 https://bungeishunju.com/n/nae3d8db26c65#v2cPI 村上春樹さんと細野晴臣さんに非常に縁があるというか、著者自身が好きなようです。この2人にピンときた方にはこの本も合うんじゃないかと思います。 途中で用紙の色を変えている理由も、インタビューを読んで納得できました。この本で言っている、音楽の「すきま」って、全ての楽器と歌が一瞬ピタッと止まるときのことを指しているのか、もしくは違うのかちょっとハッキリしませんが、ああいった経験を通して得た感情を作品に昇華させて、そして読者に届くというプロセスが、尊いものだと思えました。 絵を拡大してよく見てみると、ドットのトーンを上手く使って濃淡を出している事がわかります。電子ですがアナログのあたたかみを感じます。美しく強かった母のすい臓がん闘病記ありがとうって言えたなら 瀧波ユカリnyaeがん闘病コミックエッセイは数あれど、これほどわかりやすく、かつ面白く描かれているのはないかもしれません。 癌になるのは著者である瀧波先生のお母さんで、年齢的にも子供側の立場で読んでしまうのですが、漫画が上手いので読むのが辛いという事はありませんでした。 病人がいちばん大変なのは前提として、読んでていちばん印象強かったのは、主にお母さんのお世話をしていた瀧波先生のお姉さんです。だいぶマイルドに描かれていると思うのですが、正直「よくそれで生きているな」と思えるくらい壮絶。ストレスをイオンのメダルゲームで発散してるのが笑えるんですが、思う存分やってくれ、じゃないとお母さんより先に死んでしまう…!と心配になる。 読んだことでいちばん学びになったのは、よくドラマなどで死にそうなのに穏やかに会話をする描写がありますが、実際患者にはそんな余裕なんてないこと。笑 考えてみれば当たり前ですね。 あと、普段は全く関心がなくても、こういうときこそお金を払って何かしらのセラピーを受けるのも自分を守るために必要だということ。覚えておこうと思いました。古墳から始まる非モテ女子のラブストーリーやまとは恋のまほろば 浜谷みお兎来栄寿2019年の恋愛マンガの中でもトップクラスに素晴らしいと感じた作品です。 「前方後円墳」と呼ばれる位が丁度いいと自認する、デブで非モテのヒロイン。同じ大学に進学した高校からの友人も、大学デビューして垢抜けてしまい住む世界が変わってしまっていて疎外感に包まれる日々。 大学でも合コンの場でも心無い言葉に傷付けられることを当たり前の日常として受け入れ、それが自分の正しい評価なのだと自戒する主人公の心理描写が非常にリアルで切実です。 そうした心構えなので、同級生のイケメンに散々勘違いするような行動を取られても必死に取り繕い自制するのですが、その姿が大変いじましく共感しました。本作は主人公が女性ですが、男性が読んだとしても立場を置き換えて共感できる内容です。 ストーリーの続きも気になりますが、それ以上に場面場面での主人公の感情の描き方に魅力を感じます。 恋愛マンガが好きな方には見逃して欲しくない一作です。3回もドラマ化されてるとは南くんの恋人 内田春菊やむちゃよほど映像化しやすいんでしょうね。小さい女の子(ロリでなはくミニチュアという意味で)って可愛いし、なんだか思春期の葛藤みたいな感覚が南くんから伝わってきて、ありそうでない、切ないラブストーリー。 ちよみちゃんの服とか生活雑貨でサイズが想像できて楽しい。 めちゃめちゃ人に勧めたいやまとは恋のまほろば 浜谷みおむ新しい! なんと言ったらいいか、新しい恋愛もの! ちょっと読んでみてほしい! 安易な非モテ主人公のいきなりモテ期到来じゃない! 主人公の女の子が卑屈じゃない!素でそのままなのに周りが惹かれていく感じです。 恋愛もの読み飽きたという人に是非一読してみてほしい漫画!無名デザイナーとして背筋が伸びるデザイナー渋井直人の休日 渋谷直角hysysk著者は自分より少し上の世代で、いつも自分が踏み抜きそうな(踏み抜いてるものもある)地雷を漫画にしてくれてるので助かってます。助かってるのかな?発想がさすが~偽装不倫 東村アキコ名無し「不倫」のテーマってほんとに賛否両論というか、大人の恋愛にありがちだけど同時に嫌悪感持つ人もたくさんいる、いわば諸刃の剣だと思うんです。それをこんなふうに面白い三十路恋愛話にまとめるのはほんとにさすがですね。 私はドラマ→漫画派ですが、杏さんという好感度の塊みたいな人を主役にするなんて、、、いいじゃん。正解だよ!って言いたいです。 ちょいちょい韓国アピが気になるけど、まぁ作者の好みですもんね。 不倫じゃない偽装不倫 東村アキコ大トロ独身なのに既婚者設定にしてしまってミスり続ける主人公。 展開が読めなくてワクワクします!神は石に宿る石神伝説 とり・みき名無し神さまが祀ってある所は必ずと言っていいほど石だったりしめ縄だったりがあります。 深く考えたことはなかったけれど石に宿る神さまの話、そんな漫画面白いに違いない。 東京地下に巨石が現れたり、遮光器土偶が動き出す。 福岡の古墳で地震かと思えば石人が動き出す。 出雲の洞窟の石神。 吉備での石神。 謎の巨石が現代で動き出し、それを追う記者。謎の少年。戦う謎の自衛隊員。 神話に絡めてあったりどこかSFっぽかったりかっこいい! 巨大な生物(この場合石ですが)と謎の不適に笑む少年が出てくる作品は総じて面白いと思っています。 SF好き神話好きなひとは是非勧めたい本でした。最後の晩餐どうする?おあとがよろしいようで オカヤイヅミstarstarstarstar_borderstar_borderかしこいのまま、ものするひとのオカヤイヅミさんが小説家たちに「死ぬ前に食べたい物は何か?」を尋ねるコミックエッセイ。オカヤさんが食と文学の両方をテーマにしたマンガって最強じゃん!と思って読みました。物語を描く人たちの死生観はとても豊かで自分はもっと今を楽しむべきだと感じました。まさにメメントモリ。 食べることにまつわるあれこれどこかでだれかも食べている オノ・ナツメstarstarstarstar_borderstar_borderかしこオノ・ナツメさんが描く食べものはどれもみんな美味しそう。個人的にさつま芋があんまり好きじゃないんだけど、「2日目の芋」はもうれつに食べてみたくなった!司馬遼太郎作品が初めて漫画に!作画は森秀樹!幕末 桜田門外の変【文春e-Books】 森秀樹 司馬遼太郎名無し電車の中吊り広告で森秀樹の名前を見つけて「お?」と思ってつい買ってしまった。 司馬遼太郎の小説を原作に漫画を描くらしい 週刊文春はかつて、赤塚不二夫が『ギャグゲリア』、手塚治虫が『アドルフに告ぐ』を連載していた雑誌でもあるよう。 原作も作画もどちらもすごい人だから楽しみカルト村で生まれましたカルト村 高田かや地獄の田中宗教団体に所属している両親の元に生まれて、その村で育ったという話 タイトルがそのまんま中身になっていて、これ以上内容を説明する言葉がない お祈りとか病的な信仰とかはなかった 代わりに所有をなくして、共同体で分け合って生きていこうっていう感じの思想。小学生でも農作業とかをさせられるとか、朝食は抜きとか指導が厳しいとか、マインドコントロールがあるとか、まぁまぁダークだけど、ホラーみたいな感じではなかった。なんていうか勉強になるな 関東人としては関西ノリがすごく新鮮だった逢沢りく ほしよりこみつこ※ネタバレを含むクチコミです。<<123>>
本当は紙で欲しかったけど入手困難っぽかったので電子で読んでみました。(しかしよく調べてみると翻訳されてるのは電子版のみ…?) 書き込みが細かく丁寧なので、できるだけ大きい画面で読むのをおすすめします。 このインタビューも読みました。 https://bungeishunju.com/n/nae3d8db26c65#v2cPI 村上春樹さんと細野晴臣さんに非常に縁があるというか、著者自身が好きなようです。この2人にピンときた方にはこの本も合うんじゃないかと思います。 途中で用紙の色を変えている理由も、インタビューを読んで納得できました。この本で言っている、音楽の「すきま」って、全ての楽器と歌が一瞬ピタッと止まるときのことを指しているのか、もしくは違うのかちょっとハッキリしませんが、ああいった経験を通して得た感情を作品に昇華させて、そして読者に届くというプロセスが、尊いものだと思えました。 絵を拡大してよく見てみると、ドットのトーンを上手く使って濃淡を出している事がわかります。電子ですがアナログのあたたかみを感じます。