全裸監督 村西とおる伝

Netflixとは違うが、これも良い!#1巻応援

全裸監督 村西とおる伝 須本壮一 本橋信宏
六文銭
六文銭

Netflixでドラマ化し、自分も取り憑かれた人間の一人です。 ドラマのほうは、AV業界というテーマがテーマなだけに、裏社会や非合法的なもののつながりをドラマチックに魅せてくれましたが、本作はそのドラマと少し違う印象。 ドラマの方は「村西とおる」を中心に、彼に振り回される人たち、彼を利用する人達など脇役もしっかり魅力的で物語をかためていましたが、本作はより「村西とおるという人間」を掘り下げた感じです。 (まだ1巻なのでなんともですが) 大筋のストーリーも少し違いますね。 ドラマは特に裏社会との関わりなどが脚色されており、 たぶん、本作のほうがより事実なんでしょう。 とはいえ、魅力が損なったと言いたいわけではありません。 どっちも面白いです。 作家さんが「海賊とよばれた男」を描いただけに、人物描写がとても魅力的。 ゴリゴリで法的にアウトなことしているのですが、その破天荒さや、常人では理解できない勢い・熱量がハンパない人物だけに、それをきっちり描く様は、とても爽快です。 まさに漫画的な人物「村西とおる」の魅力が、つまっております。 昔、日本でこんなことやった人がいたんだというのは、とても面白いので、知らない人にはぜひオススメしたいです。 最後に彼の名言であり、人物そのものを表した一言をのせておきます。 この言葉で気にいった人はぜひ、彼の生き様を読んでみてください。 (自分、その一人でした) 「人生、死んでしまいたいときには下を見ろ、俺がいる。」

今日から始める幼なじみ

ありそうでなかった関係

今日から始める幼なじみ 帯屋ミドリ
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)

もう、タイトルの「今日から始める幼なじみ」そのままの内容で非常に分かりやすい帯屋ミドリ先生の新連載。一応ラブコメなのかな? 隣の家に引っ越してきた女の子が、同じ中学、同じクラスでさらに隣の席だから気にかけてたけど、どうも引っ込み思案らしくて、ある日放課後呼び出されて言われたことは「私の幼なじみになってください」だった!? ここで出てくる転校生の女の子と同じく、自分は幼少期から転校が多く故郷すらどこか分からないような感じなので「幼なじみ」がほしいという気持ちが痛いほど分かる……!!! ただ、そうじゃないんだ…! 転校してきて航平くんと隣の家で、部屋が窓同士で向かい合ってて、教室でも同じクラスで隣の席ってなったらもう幼なじみになるしかないでしょってそんなことないんですが、非常にいいです。 と、幼なじみ作りに突っ走る楓ちゃんを楽しみつつ、これって彼氏彼女とどう違うんだ?とドギマギする航平くんでもう一楽しみできてお得です。 おそらく二人はこれから距離を縮めていくわけですが、楓ちゃんはどこの時点から幼なじみも恋人に変わり得るということに気づいていくのか、見ものです。 https://kuragebunch.com/episode/3269632237305143755#

少女終末旅行

「二人」だから悲しい

少女終末旅行 つくみず
六文銭
六文銭

久々に、この「衝撃のラスト」というワードを使いたい。 というのも、ある程度年代を重ねてくると、なんとなくオチに予想がつくので、そこまで衝撃がなくなってくる。 既視感が強くなると言っても良い。 だけど、本作は自分的にかなり衝撃でした。 正直言うと、最初は、絵柄に抵抗あったんですよね。 だけど知人に熱烈にすすめられて読んだら、上述のとおり衝撃的でした。 このゆる~い絵柄が過酷なストーリーに幅をださせて、とにかく圧巻でした。 内容は、文明が崩壊した世界で、バイクのような愛車に乗って「上層」を目指していくという話。 ほとんど生物がいない荒廃した世界。 明日も生きていられるかわからない世界で、少女2人はひたすら「上層」を目指す。 そして、最後に彼女たちがみたものは・・・という流れ。 とにかく、この2人というのが良いんです。 うまく伝えられる不明ですが、 1人ではなく、2人だからより物悲しさが加速すると思うんです。 荒んだ世界に1人っきりのほうが悲しいと思うかもしれませんが、 世界に自分1人しかいなければ孤独は生まれない という言葉があり、それに近い感覚なんです。 これまで2人でしてきた旅路。 色んなものと出会い、別れ、手に入れたり、失ったり・・・そうした過程を通して辿り着いた先が、絶望。 これが1人だったら、ただ、純粋にがっかりして終わりでしょう。 ところが2人だったことで、これまでの苦楽が、ある意味「思い出」になり、お互いに芽生えた感情から、複雑な気持ちになったと思うんです。 絶望を前にして、どうにもならないくやしさや、やるせなさが、相手を攻めることでより増幅し、反動で、その先にある「別れ」の悲しさが増してくる。 そう、1人では「別れる」ことができないから、悲しみも限定的になると思うんです。少なくとも自分はそう思います。 お互いに大事な存在になりつつあったからこそ、 あまりにも無慈悲な結末に、最初はとまどいましたが、 何度か読むと不思議と読後感は悪くなくなりました。 むしろ哀愁とも言える、切なさが心地よい。 キャラは萌え絵っぽく人を選びますが、 この世界観やストーリーは忘れられないものになると思います。