クラスにいじめはありません

クズはクズのまま生き抜けるか

クラスにいじめはありません 永瀬ようすけ
野愛
野愛

ずっと通っていたわりに外に出てしまうとどういう組織か見えにくくなるのが学校。 当たり前のように守ってたことや取り組んでたことが社会の常識から大きく外れてたりするのが学校。 個人的にはいい思い出もそこそこあるのに、こういう作品を読むと「学校ってクソだな〜」と安直に思ってしまうのが不思議です。 中学教師・西島が担任する生徒・太田真里奈が自殺した。 人間の血が通ってるまともな教師ならショックを受けるはずなのに、西島は「あああ〜疲れたぁぁ〜しんどぉ〜」としか感じてないのでまじでクズです。 太田がいじめられているのでは?という場面に出くわしても見て見ぬふり、太田が自殺してもいじめなんてなかったと断言し、真実を暴こうとするやつらをどうにかこうにかねじ伏せようとします。 清々しいほどのクズだけど、クズなので清々しくはないんだなあ…。 学校という組織が人を狂わせるのか、狂った人が最後まで組織にしがみつこうとするだけなのか。西島といじめっ子たちがただただクズなだけなのか。 クズはクズのまま生き抜くことができるのか見守りましょう。主人公に一切感情移入できない漫画も案外面白い。

推しの肌が荒れた ~もぐこん作品集~

生々しさは審美眼を拒絶する #1巻応援

推しの肌が荒れた ~もぐこん作品集~ もぐこん
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

絵を見ているだけで、体が疼く。皮膚感覚が、視覚が聴覚が嗅覚が味覚が鋭敏になる。この短編集から得られるのは、そういう体験だ。 いつもの心地よいイラスト体験……白く弾む肌、サラサラした触感、大きな目の愛情表現からは遠い。時に辛い。しかし目を惹く。見るのを止められない。 丁寧に生々しさと向き合った者しか得られない感覚が、心の奥底に残る。 物語もリアリズムに貫かれる。誰かの価値判断を挟まない、どうしようもない物語。絵でも物語でも、美しいものを求める心を拒絶して、そうして絶対的な生の実感を与える。 生半可な審美眼では得られない、恐ろしい強度がここにはあった。 ●裸のマオ…貧しい中学生を美術教師がモデルに誘う。ひどく痩せたマオの体、古い家の質感。まともではない話なのに誰をも責めたくない不思議。百合度★★★★★ ●きしむ家…ボロアパートの大家は、住人の母娘の男性事情をただ見てるだけ。ボロさが音で切実に伝わる。百合度★(男注意) ●あつい皮膚…重度のアトピーの女子は、図書委員の女子の家に呼ばれる。ボロボロの肌の質感はこちらにも痒さを充分に伝える。ラストが重すぎて…百合度★★★ ●推しの肌が荒れた…推しのアイドルのイラストがバズった女子。推しへの想いが増すほど推しの肌荒れを描いてしまい…実は描く方もアトピー。様々な点を踏まえて丁寧に読みたい作品。百合度★★★