ハーモニー

幸福は認識を通して存在するのか、認識と独立して存在するのか

ハーモニー 三巷文 伊藤計劃
こば
こば

”人類滅亡の危機を経た、近未来。生命主義が確立し、過度の調和が重んじられる社会に息苦しさを感じていた女子高校生のトァンは、ある日、クラスの中で変わり者とされていた少女、ミァハから声を掛けられる。社会に対して否定的な言動をいとわないミァハに、最初は戸惑いながらも、徐々に惹かれていくトァン。やがてもうひとりの友人、キアンとともに、ミァハに導かれるまま、集団自殺をはかるのだった……。34歳の若さでこの世を去ったSF作家、伊藤計劃の著書を劇場アニメ化する「Project Itoh」と連動したコミカライズ企画。数々の受賞歴を誇る、伊藤計劃の小説「ハーモニー」に、漫画家の三巷文が挑む。「月刊ニュータイプ」連載時より大幅に加筆され、待望の単行本化!” 以前読んだ漫画、久々に読み返した。 合理的な管理社会が行き着く最終地点として、「意識」が不要とされる。確かに意識がなければ、完全に合理的で調和のとれた世界になるのかもしれない。不幸を感じようもない。 でも客観的に見ると、ディストピアにしか見えない。 幸福は認識を通して存在するのか、認識と独立して存在するのか、という議論を思い出した。 https://bc-liber.com/blogs/bf6cbb9b657d https://www.amazon.co.jp/%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%A2%E3%83%8B%E3%83%BC-1-%E3%82%AB%E3%83%89%E3%82%AB%E3%83%AF%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%82%B9-%E4%B8%89%E5%B7%B7-%E6%96%87/dp/404104068X

ぜんぶきみの性

あやふやな性別

ぜんぶきみの性 浅月のりと
ゆゆゆ
ゆゆゆ

性転換症候群(TSS)という、ときめくと性転換してしまう謎の症状。 生まれたときからTSSだったので、恋愛がわからないという凪沙が恋を知る漫画なのだけど。 タイトルの2つの意味そのままで、とても素敵だった。 ひょんなことから凪沙に出会い、彼女のことが好きになった了。 運命のいたずらか、その後、了は後天的にTSSとなり、再び凪沙と出会う。 男版、女版問わず、凪沙にときめくたびに、ぴろんぴろん性転換する了。すごくかわいい。 作中に登場する性別があやふやな人たちは、彼らだけでないところがまた魅力的。 女性が好きな女性、男性になりたい女性、女装を楽しむ人、いろんな人たちが出てくるので、外見とは一体なんだろうと考えてしまう。 もちろん外野は異性愛の人が多いものの、高校という場所柄か男同士の了と凪沙が仲良くしているのを見てもええ上がる女子生徒もおり… TSS用の寮があることからも、自由な校風が伝わってくる。 思わず一気読みをしてしまった。 『ぜんぶきみの性』、男の娘も出てくるけどそれだけじゃないおもしろさと、少年誌ならではの歯止めがかかったちょっぴりエッチな展開と。 おもしろいですよ。

外科医エリーゼ

3度目の人生は最初の人生のやり直しでした

外科医エリーゼ mini KIDARIENT yuin
ゆゆゆ
ゆゆゆ

3度目なのにあまり動揺して見えない。 もしかして私以外の人たちは前世の記憶があって、これが普通なの?と思ってしまうレベルで、すんなりと適応している。 『ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する』も7回目にはテキパキしていたから、これも転生モノのお約束なんだろうか。 そして転生モノのお約束で、よりよい人生を生きるため、未来をよりよいものにするため、主人公は切磋琢磨する。 医者になって人を救うことが性に合っていた主人公のエリーゼは、過去の自分がねだった皇太子との婚約を破棄してでも医者になりたいと望んだ。 それと同時に過去の自分がおかした家族皆を失う非道行為を改めた。 1度目の人生へ戻ったものの、2度目の人生を経て30年が経過しているので、いろいろ達観しているっぽい。 考えてみたら1度目の人生の年齢と合わせると50年は経過しており、さすがに10代の過ちは犯さないのかもしれない。 ちなみに、あまり見ない名前に展開だなと思っていたら、韓国発のウェブ小説をもとにしたウェブトゥーンだったらしい。新鮮でおもしろい。 日本以外でも転生モノが読まれるだけでなく、書かれていると考えると、なおさらおもしろい。 ちなみにウェブトゥーンだけど、1ページになったコミック版?もあるのでウェブトゥーンが苦手な方も安心。 国をわたってやってきただけでなく、日本でアニメ化もしているので、おもしろいと思う方はきっと多い漫画だと思う。

メンズエステ嬢の居場所はこの社会にありますか?

世の中にはいろいろな仕事があって。

メンズエステ嬢の居場所はこの社会にありますか? 鶴屋なこみん
ゆゆゆ
ゆゆゆ

いろいろな仕事があるのに、「それはやってません」とか「別料金です」となっているのに、「やってよ。いいじゃん。✕✕はやってくれるのに」とか「✕✕は無料でやってくれないけど、あなたならいいでしょう?」とか言ってくる人はどこでもいるんだなあと思いました。 聞くだけはタダってことなんですかね。 パワーとメリットぽいものを見せつけたら、言うこと聞かせられる可能性が広がるって、どうなんでしょうね。 いろいろなお仕事で聞く下請け辛い的な話が、メンズエステ嬢の世界でも繰り広げられているのは不思議です。 さて、主人公が高時給から選んだメンズエステ嬢の仕事も、それはそれで精神的に大変そうな出来事の数々が描かれていて。 焼き鳥の仕事を長時間してもワープア止まりだったんでしょうか。 それから、一番病んでいるのは消えていく嬢でなく、店長なだったんじゃないかなとも思ったり。 冒頭に書いた、どこも無茶言うやつはいるもんだなあという感想に続いて、普通の枠にはまれない場合、働かなきゃ生きていけない仕組みというのはとても辛いもんだなあ、と読んでいて思いました。