本を葬送る

2022年読切TOP5に入る上質な「古書ドラマ」

本を葬送る 児島青
たか
たか

脱サラして6年目の古書店・十月堂の店主が主人公。店の写真撮りに来ただけの客にイラッとし、趣味の合う読書家のお客さんと交流し、そして人知れず不良在庫を古紙回収に捨てる。 ある日買取の仕事が来て家に向かうと、そこは生前読書家だった80代の男性が住んでいた家だった。 グラシン紙で保護された小説、ラノベ、絶版となった漫画、ホビー・フィギュア。 年齢を感じさせない選書、大切に保管された本、個人の蔵書印。 2つの書庫だけでなく居間までが本に埋もれた部屋をみて「ゾクッ」とした店主は、約束の時間までにと査定を済ましていく。 古書店主というのは、蔵書を通じて持ち主の人柄に触れ続け、その愛おしい空間が壊される最後の瞬間を看取る人間なんだと、否が応でも感じさせられた読切でした。今までがそんなこと全く考えたこともありませんでしたが、本が好きであればあるほど辛い仕事ですね…。 タイトルを読まずに読んでも「この作品のタイトルはこれしかない」と思えるほど、テーマを克明に描いた素晴らしいお話でした。 アフリカ文学の『やし酒飲み』、読んでみようと思います。 https://www.iwanami.co.jp/book/b248495.html

機動戦士Zガンダム デイアフタートゥモロー -カイ・シデンのレポートより-

重厚なウラ話!!

機動戦士Zガンダム デイアフタートゥモロー -カイ・シデンのレポートより- 矢立肇 富野由悠季 ことぶきつかさ
酒チャビン
酒チャビン

一年戦争時代、ホワイトベースの乗務員としてがんばり、おもにガンキャノンのパイロットとしてご活躍の、カイ・シデンさんの視点から見たZガンダムとなっております!! Zガンダム自体はもうすでにアニメでしっかりとしたストーリーが決まってしまっているのですが、その範疇で、歴史の裏側をカイさんの視点で辿っており、原作を知っていればニヤリとするシーンや、「へ〜そんなことが裏側で・・」など感心するシーンが盛りだくさんです! 後半かなり重厚で難解なテーマが話されたりするので(ガンダム全般そういった部分がありますが)、ライトに読むにはしんどい部分が出てくるかもです。見せ方としても、コマ割りは4コマっぽくすごくシンプルになっていき、キャラの動きもそこまでではないので、主役は文章という趣になってきます。 ただ、そういう部分が好き!という方(私も体調が良ければそういうの好きです!)には、うってつけの本であるといえようかと思います。 めちゃおしゃべりなミライさんも見れます。