人間不信の冒険者たちが世界を救うようです

正直ラノベ版の方が好きだが

人間不信の冒険者たちが世界を救うようです 川上真樹 富士伸太 黒井ススム
ピサ朗
ピサ朗

美麗な絵が付くとやはり読みやすいし、短くされているとはいえ冒険者たちのダメダメな表情が実に愛おしい。 ストーリーを言うと中堅どころの冒険者PTに所属していたニックだが、細々とした裏方仕事をウザがられて追放されて…といういわゆるなろうの「追放物」のテンプレっぽく、実際なろう版も存在するのだが この作品の実に面白い所は、そうして身を堕としたダメ人間描写が一々説得力と生命力にあふれまくっている所。 メンバーが落ち込んだ時に出会ってしまった趣味がアイドルオタク、キャバクラ好き、賭博好き、食い歩きなのだが、小説版ではここがまあ実に生き生きとしたダメな趣味に出会ったダメ人間を軽妙な筆致で描いていて、感心した物。 漫画版ではこの部分が、主人公ニックのアイドルオタクになる部分しか描かれていないが、実に残念。 とはいえ人間不信なりに仲間との絆を作っていく姿、その為のルール作りなどは所謂ぼっちの人には中々共感できそうな部分も有り、何だかんだ仕事と生活が充実して、現実から逃げるようにハマったダメな趣味が、健やかに自分の生きがいとなる健全な趣味になっていく様なども中々読ませてくれる。 戦闘部分は小説版ではそれ程しっかり読んでいなかったのだが、作画担当の絵が上手いのでここも楽しめる物になっていて、コレは漫画版ならではの利点と言える。 タイトルからするとこの後は大きなヤマにぶち当たるのだろうが、なろう版を読んでも世界を救うのはだいぶ先になりそうである。

はなものがたり

キラメキ高齢女子! #1巻応援

はなものがたり schwinn
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

おばあさんがカワイイ。なんてこった、マンガでこんな体験初めてだ! ほうれい線やまぶたのたるみなどは最低限描きながら、シャンとして涼やかな描写は、ちょっとあり得ないと思われるかもしれない。でも、これは見ていて楽しい! 思えば若い女性の漫画表現だって、現実はあんなに目は大きくないし巨乳じゃないし腰は細くない。「カワイイ」は作者=読者の欲望の果てに作られた、実はあり得ない描写だと思えば、この「カワイイ高齢女性」表現もまた、作者=読者の欲望なのかもしれない。 ではその欲望とは……「年老いても輝いていたい」だろうか。 凛とした化粧品店の女性と、彼女に憧れる夫を亡くした主人公、二人の高齢女性に恋が生まれるかもしれない物語。それはオシャレと吉屋信子『花物語』を挟んで進んでゆく。 時々主人公の心に生じる、楽しく生きることを阻む夫の声。幸せだと思わされてきた自分に、本当は抑圧があったのだと気付かせてくれる女性同士の交流に、胸熱くなる。 そしてどんどん美しく、しなやかになってゆく恋する主人公。老いてからだって変わってゆける、というメッセージは、男性の私の心も明るくしてくれた。

聖剣伝説 レジェンドオブマナ 新装版

ゲームをプレイした方に怒られること間違いなしの内容でお届け!(作者談)

聖剣伝説 レジェンドオブマナ 新装版 天野シロ
サミアド
サミアド

TVゲーム『聖剣伝説 レジェンドオブマナ』のコミカライズ。今は無きファミ通ブロスで連載していました。 作者はキングダムハーツのコミカライズでおなじみ天野シロ先生。 単行本5冊で綺麗に完結後、修正・描き下ろしモリモリの新装版2冊が発売。 続編が多くて全体のストーリーを把握するのが大変なキングダムハーツに比べると読み易いです。 最初から雰囲気やテンポが原作ゲームと大違いでギャグも多かったのですが、途中からストーリー自体が大幅に改変され最早スピンオフの別作品。お怒りの原作ファンが多数いらっしゃるのもよくわかります。 ただ、作品やキャラに対するリスペクトが感じられ天野先生の作風とも合っていて個人的にオリジナル展開は正解だったと思っています。長文は最低限で漫画らしく絵や間でキャラの感情やストーリーを伝えています。ゲームとは違った魅力があり『これはこれで!』が素直な感想です。 ファミ通ブロス休刊の影響で終盤が駆け足になったと言われていて 本来の形で読みたかった気持ちもありますが、ゲームとは全く違うこの作品らしいラストがとても好きです。 画像は新装版に収録されたカラーイラストです。猫耳ダナエ好きです。

筋トレ社長

筋肉はこの世の99%の問題を解決する

筋トレ社長 たむらあやこ Testosterone
六文銭
六文銭

タイトルは、本作に登場する社長が放った言葉。 ホントにそう思う。 とにかく筋肉があれば、体力がつくだけでなく、スタイルもよくなるし、何より強さを手にすれば余裕が生まれる。 そう余裕。 本作の言葉を借りれば「狩る側」の余裕だ。 イヤな職場の上司に罵詈雑言をうけても、筋肉があれば 「ゆーて、こいつワンパンだしな」 と思えて、小言もさえずりに聞こえる。 おやじ狩りの心配もない。 本作は、そんな筋肉の素晴らしさ、そのための筋トレの仕方を教えてくれる名著である。 それだけでなく、筋トレを通した人生哲学的な金言に溢れているので、筋トレにとって一番の課題であるモチベーションの維持にも役立つから最高である。 自分も今謎に筋トレにハマっている(2年ぶり110回目)ので本作がとても有効になりました。 筋トレを始めたい、体を鍛えたいという方はぜひ! 余談ですが、 なんで筋トレやるの? という質問についても、本作の中では画像のような回答をしていて、首がもげるほど共感しました。 ホントに、わからない・・・でもやらねばならない使命感がわく感じ、きっとわかってくれるはず。