エクスタス・オンライン

文字通り命を削って描かれ(てしまっ)たVRMMOファンタジー

エクスタス・オンライン 鬼八頭かかし 久慈マサムネ 平つくね
mampuku
mampuku

 「たとえ灰になっても」の鬼八頭かかし先生と「魔装学園H×H」を手掛け小説家で脚本家の久慈マサムネ先生による豪華タッグで始まった、美少女VRMMOファンタジー小説のコミカライズ。他のクラスメートと敵対する魔王としてアサインされてしまった根暗主人公、という点には一見してそこまで目新しさがないかもしれませんが、自分を倒そうと向かってくるヒロインを催淫魔法で迎え撃つという悪魔的かつ心躍るストーリーに感嘆。(成年男性向けコミックスでは基本的に竿役は背景あるいは空気として描かれがちなので、男性主人公の、しかも魔王の一人称視点って珍しいんですよね) そんな感じで激化していくであろう闘いを楽しみに読んでいたのですが、作画担当の鬼八頭先生の訃報が飛び込んできてしまいました。。 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190227-00010000-huffpost-soci  「たと灰」も楽しく読ませていただいていたのでとてもショックなニュースです。エクスタス・オンラインの連載の今後についての発表はまだ無いようですが(2/27 14:25現在)未完のまま終了となる可能性が高いでしょうね。アニメ化なども視野に入るくらい人気になれば別の作画の人を立てて続行あるいは新連載というのも考えられなくはないですが、鬼八頭先生の絵ではこれ以上読めない喪失感を埋めることはできそうもありません。  最後になりましたが、鬼八頭かかし先生のご冥福をお祈りいたします。

不死の猟犬

「人が死なない」世界のガンアクションSF

不死の猟犬 八十八良
sogor25
sogor25

その世界では、人間は死なない。正確には、死んだ瞬間に体が元通りになり生き返る。人間は寿命以外で死ぬことはなく、故にその世界には病院も薬局もない。だから例えば風邪をひいたらその治療法はピストルで頭を打ち抜き文字通り『生き返る』という方法。 そんな世界で、"人間が死ぬようになる"謎の感染症「復活不全症(RDS)」が発生したーーーという物語。 というSF設定盛り盛りでかなり難解な設定の作品で、しかも上記のような設定なので戦闘になったら血しぶきマシマシという感じなので、かなり人を選ぶ作品ではあるし、文字だけで魅力を伝えるのは難しいんだけど、何よりあのハルタで「乙嫁語り」「ヒナまつり」「ハクメイとミコチ」に次ぐ長期連載(休載や不定期連載を除く)を続けているというのがこの作品の面白さを証明してくれるのではないだろうか。 1~6巻までは「不死の猟犬」というタイトルで、RDSの感染源となる人間「ベクター」を匿う「逃がし屋」という存在と、RDSの根絶のために逃がし屋を追う警察との対決構造を中心に物語が展開しするのでガンアクションがメイン。そしてその抗争の中で徐々に明らかになるRDSの謎。最終6巻でRDSの正体が明らかになった瞬間には思わず鳥肌が立った。 そして現在はナンバリングを1巻からに戻し「不死の稜線」というタイトルで連載中。こちらは前巻までで明かした謎をそのまま明示しつつ新基軸の物語を展開し、主に登場人物の人間関係、心情描写にスポットを当てている印象。構図としては例えるなら「不死の猟犬」が『PSYCHO-PASS』テレビ本編で「不死の稜線」が今やってる映画3部作という感じ。 なので、本屋で「不死の稜線」を見かけて気になってる人がいたらまずは「不死の猟犬」1~6巻までを読んでみてほしい。そこまでしてくれたら「不死の稜線」は間違いなく面白いから。 「不死の猟犬」全6巻、「不死の稜線」2巻まで読了