ルックバック(読切)

感動は原体験に基づくことを知った

ルックバック(読切) 藤本タツキ
六文銭
六文銭

魂が震えるほど感動した。それほど良かった。 藤本タツキ先生を、自分はどこかちょっと引いて見ている点があった。 というのも、「ファイアパンチ」のインタビューを読んだとき、計算高い感じを受けてしまったからだ。 こうすれば読者はびっくりしたり、感動するんでしょ? みたいなのを狙ってやっています、みたいな雰囲気をプンプン感じてしまい、とりわけ「ファイアパンチ」の1話で興奮していた自分は、その打算さにがっかりしてしまった。 続く「チェンソーマン」も、どこか薄目でみている感じがあった。 だが、もうそれを撤回する。 本作を読んで、全力で先生を追いたくなった。 それほど感動した。 この感動は自身の過去の思い出とリンクしたからだ。 本作を読んで久しぶりに思い出し、そのことで人生で初めて泣いた。 本作の主人公・藤野と自分が重なったのだ。 そして、京本のような人と出会い、同様に亡くなった経験があったからだ。 本作を読んで、感動とは、こういうことなのかと魂レベルで理解できました。 原体験に基づくとより強力なんです。 この思い起こさせてくれた体験だけで、 作品に対して、ただただ感謝し、 描いてくれた作家さんの一生ファンでありたいと思いました。

ルックバック(読切)

藤本タツキのまんが道は辛くて愛しい #読切応援

ルックバック(読切) 藤本タツキ
たか
たか

最初の扉絵に143ページとあってあまりの長さにビビリつつ読んだらすごかった。なんで藤本タツキの書く少女ってこんなに純粋で愛しいんだろう……胸が苦しい。 超画力の京本とセンスとスピードの藤野。 藤野がクラスメイトに言った「5分で描いた」はフカシではなく本当で、よそんちの廊下でサラッと一瞬で4コマを書き上げる。が、うっかりそれが京本の部屋に滑り込んでしまう。 尊敬する先生の見たことない描き下ろしが突然部屋に現れたときの京本の気持ちを考えるとたまらなくなる。 そしてあの事件のあと、今度は藤野の元に京本が描いた藤野の作風をリスペクトした4コマ「背中を見て」が届く……。 京本の背中には小学生のときに描いた藤野のサインがあり、藤野の背中は、ずっと京本が見ている。 ……。 ……。 話の大筋は「田舎の小学生2人がお互いの才能を見出し漫画家を目指す」というまんが道スタイルでありながら、キャラの造形・演出・話の展開は完全に藤本タツキ味に仕上がっているものすごい作品。 2021年一番心に残った読切でした。 【追記】 京本が家にいるときに鍵を掛けてなくて、藤野が鍵開いてるな〜中に人いるんじゃんって玄関まで入っちゃうとこ田舎あるあるで笑った。自分が子供の頃(20年くらい前)はこんな感じだったけど今もそうなんだろうか。 あのコンビニはあるにはあるけど雪深いところとか、窓から山が見えるところとか……自分の地元と重なる部分が多くて、だからこそ2人が出会えたことの得難さを噛み締めてしまう。 たとえどれだけ辛い別れになったとしても、2人が唯一無二の関係としてともに時間を過ごすことが出来て本当に良かったなと思う。

みやこウォッチ~金沢独日記~

レポ漫画なんだけど…

みやこウォッチ~金沢独日記~ 銅☆萬福
さいろく
さいろく

金沢のレポ漫画、というところがディープですよね!っていうわけじゃなくて、ノリが独特すぎて正直ちょっとどうなんだこれ。 ヤンジャンで連載してたのか… みやこダッシュという名前の自分が作り出した影の自分をお供に金沢をレポートしていく漫画なのだが、正直レポートはほとんど出来てない。 書いてはあるのかもしれないけど魅力を伝えようという意味では成功していない気がする。 起承転結も弱いし、本来黒い部分担当のはずのみやこダッシュはずっとサポート・フォローに回っているぐらい本体がダメ女で見ててイライラするという… でも不思議と読んじゃうのがレポ漫画なのかもしれない(あともしかしたら1回ぐらいいい感じの内容で納得させてくれるかもしれないという期待を込めて次を読んでしまうのかもしれない) 決してつまらなかったりはしないんだけど、すごくなんというか腑に落ちないところがある、1巻序盤は特にそういう感じで始まるのだが、金沢に慣れてきたのか1巻後半からはちゃんとレポ出来てきている。編集さんにアドバイスでもされたのかもw そもそもは銅☆萬福センセの線がスキだったのが読み始めたキッカケだった(Twitterとかにあげてるてきとーな漫画がスキ)ので、単行本を探したらこれともう一つしかなかったのでレポ漫画の方を先に手を出してみたのだけど、なんだかんだ3巻まで買ってしまうのであった。