リイド社マンガの感想・レビュー362件<<1112131415>>剣術愛と人間愛に溢れ過ぎている剣術抄 新宿もみじ池 とみ新蔵マンガトリツカレ男表題作の「剣術抄 新宿もみじ池」は単純に書くかな仇討ち相手を探していたら、実は釣り仲間で剣術の師匠だったという内容。たださすがとみ新蔵という感じでいつも通りの剣術話と人間愛に溢れた短編だった。 ただ個人的には「虎vs人間」を書いた「孤高の虎」の方を強く推したい。虎に対して憐憫や尊敬を持ちつつも状況の変化で戦う必要が出てくる。まさかあのような戦い方で終わり感動的なラストになるとは思わなかった 美と実用の究極・日本刀水の剣 火の刀 あおきてつお 麻木遼 桜小路むつみ名無し人を殺すための道具、日本刀。 生殺与奪の究極の実用品にして美的な存在。 天下泰平の世を経て、武器としてよりも 侍の権威の象徴であり美的な存在になりつつあった日本刀が 幕末・維新の時代に武器として再評価された時代。 それは日本刀が最期の輝きを示した時代でもあった。 人を斬るために、命を守るために、 美の追求のために、金儲けのために、 様々な目的と思惑で日本刀が扱われた時代。 そんな時代に生まれた女性刀鍛冶師・お涼。 刀鍛冶師であった父が残した玉鋼・青玉砂の存在と 自身が刀を打つ意味、打ちたい刀の姿、 それらを自問自答しながらたどりついたのが 「水の剣 火の刀」 お涼は、その刀を打てるのか? 悩むお涼を追い越すように時代は流れ動き、 人は生きて死んでいく。 国語の教科書の記憶を刺激有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいのマンガで読む。 ドリヤス工場hysysk国語の授業で習ったものとか、有名すぎて敬遠してたものの話が大体分かる(分かると言えるのか?)。部分的に覚えてるけど、こんな話だったっけとなるのが面白い。『舞姫』で覚えていたのは「ウンテルデンリンデン」という地名だけだった。 10ページくらいという短さ、水木しげるテイストの画風により、全部シュールな話に読めてしまい、やはり原作を、行間を読まねばという気持ちになる。有名すぎる名作ほどきっかけがないと読む気になれないので、この作品がいいきっかけになると思う。鬱屈した日常で深呼吸の仕方を思い出させてくれる本don’t like this 鶴谷香央理名無しやや疲れた〜でも重めの漫画読むのも疲れる〜って時このくらいの漫画がちょうどいい! 何かをするってなったらエネルギー入りますけど、釣りって何もしない時間の方が長い。 この女の子みたいなこと、自分もしたい…。 あれって言うところでおわった運慶 さいとう・たかをマンガトリツカレ男運慶の一生を書くのではなく、東大寺の金剛力士像を作ったところで終了。 登場人物に仏師(坊さん)で丸坊主で区別つきにくいが、運慶/快慶だけはキャラがわかりやすくなっているので読みやすい 実際どれだけ史実に近いかは全く不明。気になった点が解明されずに終わるがそれもいい午前0時の主役 さいとう・たかをstarstarstarstarstar_borderマンガトリツカレ男「深夜警察」と呼ばれる薊警介が夜の街で問題を解決していく。回を重ねるごとに薊警介の過去が明らかになっていくが予想以上に話が大きくかっこよくなっていく 最終的にはしっかりと過去は解明されないまま終わるがまあそれはそれでいいかなと思う内容だった 午前0時の主役シリーズ全7編と短編2編が入っているが、どれもよかったがすげー文字が多い.... 予想以上におもしろかった音無し幻十 さいとう・たかをマンガトリツカレ男第一話から面白く一気最後まで読んでしまった。毎回のエピソードが二転三転しつつもいい感じで終わるので全く飽きない。 第一話の火付盗賊改メの幻十郎もいいがその後の事件屋として仕事を全うしつつちゃんと冷血に見せつつも人情っぽい良いところを見せる。いい短編だったが文字がすげー多いのででかい画面で読んだ方が良さそう。 iPhoneで読んだら目が疲れた いろんなところにもやもやした気持ちが残った漂流 さいとう・たかをマンガトリツカレ男さいとう・たかをのSFというなかなか冒険的な組み合わせで読む前から色々複雑な心境だったがその感は当たっていた。 各エピソードの根本になるものはあるが、なんかいろんな方面に話が広がっていて「えっこれで終わり」という気持ちになった。 一番面白かったのがマッドサイエンティストが娘を模して作ったアンドロイドが成長して子供を産むシーン。 何を言っているかわからないと思うが本当なんだな... 現代物と時代劇の短編集TVジャック ラスト・ファイト さいとう・たかを霧兵衛良かった点 ・表題のTVジャック ラスト・ファイトは最初から最後までタイトルになるまでの流れを書いてあり良かったが救いがない内容でもあった。 総評 ・劇画座招待席シリーズは何読んでも面白いなゴルゴ13とは別のプロフェッショナルな仕事人劇画ホーキング さいとう・たかをstarstarstarstarstarマンガトリツカレ男自分自身の復讐のために18人を殺して、無関係な3人も殺すというまさしく「目的をためには手段を選ばない」男が死刑執行をされる直前から始まる。 ギロチンのかけられる寸前にEDSという組織に救われ主人公はEDSからの依頼であらゆる仕事を受けて解決する。 この主人公の好きなところは、どんなトラブルや予想外なことあってもジョークを言いながら意地でも依頼を遂行するところだな さいとう・たかをの劇画で一番好きかも 最初の2ページ、そこで心を掴まれるか否か。児玉まりあ文学集成 三島芳治sogor25文学部部長にして唯一の部員である児玉さんと、そんな文学部に入部しようと試みる笛田くん、2人の文学部の活動記。文字数の多い会話劇+モノローグが中心で絵の表現は最小限に抑えられており、限りなく文学に近い作品なんだけど、読めば読むほどこれはマンガなんだという印象を強くする。 これは多分最初の2ページで心を掴まれるかどうかっていう作品のように思う。私はがっつり掴まれたし、そこからはほぼ会話劇のみで繰り広げられる現実とも非現実ともつかないこの物語を読むのが楽しくて仕方なくなる。 冒頭から児玉さんの発言の文学的な雰囲気に圧倒されるけど、よく見ると笛田君のモノローグもかなり独特で、それ自体も文学性を感じる独特な印象を感じる。話が進むにつれて徐々に児玉さんに認められているような様子だけど、最初から笛田君は文学部に入部するに足る人物だったように思う。 一応巻数のナンバリングが付されてるけど、個人的にはこれで完結でもいいと思えるような美しい幕引き。というかこれで終わらせてるほうが"文学性"が高い気がする。 ともあれ続きがあるのならばこれまでとはかなり違った児玉さんの表情が見られると思うので、それはそれで楽しみ。 1巻まで読了全特撮ファンが読むべき作品カムヤライド 久正人ANAGUMA2019年2月現在、本作と古代戦士ハニワットが 「ハニワで変身するマンガ」界のツートップだということに異を唱える者はいないでしょう。 ハニワ変身マンガが2作も読める平成の終わりに感謝! さて見てくださいこの表紙の完璧なライ○ーキックを…。 マンガなのにニチアサだよ…? 全編こんな感じで鬼スタイリッシュに特撮ライクなアクションが繰り広げられるため 「に、日曜の朝に見たやつだ〜〜〜〜〜!!」と心の中の5歳児がアガること必至! 変身から決めゼリフ、必殺技まで燃えポイントは全部押さえてあるので安心して読んでください。 ちなみに僕は足でジャッ!!!て線引くところでやられました。トーチが推す期待の新人蓬莱トリビュート 中国怪奇幻想選 鮫島円人mampukuhttp://to-ti.in/product/hourai ここで連載してます。 中国の昔話が漫画化。どれも極めてシンプルな短編ではありますが、可愛くキャッチーに描かれています。チャイナ情緒溢れてます。 第3話「狐の掟」がとても辛く悲しい話で衝撃的。日本の「ごんぎつね」や「鶴の恩返し」などの昔話も、辿れば中国にルーツがあったりするのかななんて思います。 父性に目覚めそう本田鹿の子の本棚 佐藤将まくらいえ私、未婚なんですけどね。 娘の可愛がり方を模索するベクトルがねじ曲がるのがわかりながらも、自分に正直にあけっぴろげな姿を鹿の子に見られまいとする建前が可愛らしくて、父性と娘性(造語)が私の中で葛藤するように生まれました。 これが母性なの…?サザンと彗星の少女感想サザンと彗星の少女 赤瀬由里子名無しwebで見たことある気がしましたがコミックス手に取りました。全フルカラー…! すごい好きが溢れている!! 好きなこのためなら宇宙間でも追いかけていくサザン、いいですね! ちょっと懐かしい感じもする絵柄と話がさらに好感持てます。上巻読了!スペースオペラの歴史に新たな1ページがサザンと彗星の少女 赤瀬由里子ANAGUMAすべてが懐かしいのに新しい…。キャラのあったかい感じがたまらねえ。 ボーイミーツガールとスペースオペラのどちらかが好きなら 平成の最後にアップデートとして絶対読むべき一作です。 描き下ろしなんでしょうか、上下巻勢いが途切れることなく 一本の映画を観終わったときのような満足感があります。 ぜひ一気読みを! 頭おかしい(誉め言葉)本田鹿の子の本棚 佐藤将mampuku1話目からいきなりぶっ飛び過ぎてて頭おかしいです。 読書好きの高校生の娘・鹿の子(かのこ)を少しでも理解しようと、部屋に忍び込み彼女の奇怪&マニアック極まる蔵書を読み漁り、それをお父さんの脳内映像としてマンガで読ませてくれるという斬新すぎるオムニバスなのですが、もっとも注目すべきは鹿の子の読む本たちの恐ろしくバラエティに富んだマニアックぶり。 それに加え、お父さんの脳内映像がしばしば今昔の有名マンガのパロディ風になっているのはお父さんの趣味が反映されているのでしょうか??とにかく色んな意味でオタク心が刺激される作品です。 とことんぶっ飛んだ内容で毎回読んでて頭がおかしくなりそうですが、毎回娘との距離をうまく縮められずに終わる安定のオチが安心させてくれるので気づいたら止まらなくなっています。超絶的な冒険マンガがここにあった。FANTASTIC WORLD ひらのりょう兎来栄寿 未知の世界。 見たことのない景色や生物。 知的好奇心から来る「冒険」というものへの憧憬は、人間の奥底に根ざしています。そして、物語はその冒険の興奮を疑似体験させてくれます。『指輪物語』や『地底旅行』、『エルマーの冒険』などを読んで、夜眠れなくなるほど心踊らせた子供の頃のあの想い。 『ファンタスティックワールド』は、そんな感覚を再び呼び起こしてくれました。 トーチWebで読んでいた時から様々な面で普通のマンガとは一線を画した作品でしたが、紙の本になってそれは更に加速しました。何と豪華な装丁! 実際に手に取った時にその素晴らしさに感激しました。 表紙をめくった部分にある、異文化の文字による手稿。全く読めはしないのですが、図解で何となく概要は掴めます。もうここだけで最高にときめき、わくわくします。 小口や天地が表紙と繋がる一枚絵になっているなど、なかなかこのような贅沢な装丁のマンガはありません。 WEB掲載時にはなかった冒頭部のイントロダクションとタイトル見開きも、それだけでこの作品のスケールの大きさを雄弁に語ってくれます。圧倒的に広大で、明らかに既知の地球上にはない光景。この見開きを見せられて胸が高鳴らないわけがありません。 大判サイズで、これだけ美麗なフルカラーのビジュアルで見せられると圧巻です。極彩色の世界に陶酔します。これは紙で持っておきたくなる一冊。 内容については「地球の内部に存在する地表とは別の文明圏で、少年が歯を相棒に旅をしていく」という、あらすじだけ字面だけで見ると若干意味不明なものです。キャラクターの造形が独特過ぎると共にシュールな部分も多々あるが故に、最初は取っ付き難さを覚える方もいるかもしれません。しかし、そんなものはこの本の中の広大な世界と遙かなる奇想の数々に比べれば瑣末なことです。 ファンタジーだとかSFだとか、そんなジャンル分けをすることもこの作品に関しては無粋に思えて来ます。ただただ、ひらのりょう先生によって紡がれていく独特の世界を、読むというよりは体全体で浴び続け深く味わうような感覚に陥ります。そして、それが非常に心地良いのです。脳の普段使わない部分を活性化させられます。 これは、ただ単純に絵が魅力的であるというだけではなく、マンガとしてのコマ運びや静と動の緩急が上手く行われている所に起因しています。この作品がマンガとして表現されている意義を、読んでいて十全に感じます。 一見すると荒唐無稽な世界観に思える箇所もいくつかありますが、一方で現代社会や人類史上の現象や問題、哲学的なテーマを掬って解体し提示する面も見られます。 未知の世界のもたらすわくわく感を純粋に楽しむのも良いですし、創作的な刺激や思考の材料にもなる優れた物語です。 主人公の少年、ビコの以下の言葉に共感するなら、ぜひともこの唯一無二のファンタスティックな世界を体験してみて下さい。 > 「色んなヒトや知らない景色と出会える… > もっと見たくない? > この世界の先を…」 果たして、ビコと歯ちゃんの旅はどこまで達するのか……。続きと結末が非常に気になります。 読み進めることに確実に心のざわつきが増していくパンダ探偵社 澤江ポンプsogor25体が徐々に変化していき最終的に完全に動物になってしまうという「変身病」というものがある世界。絵柄も含めた軽妙さは作品全体に共通してるけど、そこからは想像できない深い設定とドラマ性。各話ごとは間違いなく面白いんだけど、読み進めることに確実に心のざわつきが増していく。改めて考えるとかなり救いのない設定ではあるのだけど、この絵柄と雰囲気、あと動物園の園長のような軽めのキャラ、この辺りが上手くバランスを取って入り込みやすい作品に仕上がってるのが凄い。 というか冷静になって見ると園長の設定も直視できないよ正直。 1巻まで読了。 気づいたら読み終えていた水の剣 火の刀 あおきてつお 麻木遼 桜小路むつみ霧兵衛良かった点 ・主人公の刀鍛冶としての成長部分と歴史上の人物との絡みが良かった ・刀と刀鍛冶に詳しくなれる 総評 ・あおきてつおの漫画はどれを読んでもそこそこ面白い 女の子が釣りを始める話なんだけどdon’t like this 鶴谷香央理かしこメタモルフォーゼの縁側の作者が描いたマンガ。2巻と一緒に書店に並んでたのに、何となくスルーしてしまっていた私はバカだった。めっちゃ面白いです。ひとことで言えば女の子が釣りをするマンガなんだけど、決してそれだけじゃない。この子がどんな家に住んで、仕事をして、人と出会って、という人の営みをないがしろにせず描いてるのがいい。そこのリアリティーがこの作者さんは群を抜いてすごい。メタモルフォーゼの縁側を読んでる方はこちらも必読だと思います。タイトルが「don’t like」だけど、主人公は嫌いなものを拒否するのではなく、いつの間にか受け入れて自分の世界にできている。どうにかしようとしちゃダメなとこは釣りの感覚と似てる気がする。ほぼやったことないけど。本編/後書きも含めて感動的な傑作腕KAINA~駿河城御前試合~ 森秀樹 南條範夫霧兵衛良かった点 ・ベストバウトは「被虐の受太刀」次点で「石切り大四郎」 ・後書きの文章がこの劇画をかけるのは、この人だけだなと思わせる名文 総評 ・多少原作との違いもある ・世間的には同じ「駿河城御前試合」を元にしたシグルイの方は知名度は高いが個人的にはこちらの方が面白い 笑いと感動と成長の物語サヨナラコウシエン 天久聖一フルカワレベルの高いギャグマンガというだけじゃなく、主人公の成長や おじいちゃんの優しさに、何度読んでも泣いてしまいます。後半はちょっと展開が早い気もするが一読の価値がある名作戦国自衛隊 森秀樹 半村良starstarstarstarstarマンガトリツカレ男※ネタバレを含むクチコミです。<<1112131415>>
表題作の「剣術抄 新宿もみじ池」は単純に書くかな仇討ち相手を探していたら、実は釣り仲間で剣術の師匠だったという内容。たださすがとみ新蔵という感じでいつも通りの剣術話と人間愛に溢れた短編だった。 ただ個人的には「虎vs人間」を書いた「孤高の虎」の方を強く推したい。虎に対して憐憫や尊敬を持ちつつも状況の変化で戦う必要が出てくる。まさかあのような戦い方で終わり感動的なラストになるとは思わなかった