雨夜の月

聴覚障害者と心通わす百合 #1巻応援

雨夜の月 くずしろ
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

女子高生が聴覚障害者のクラスメイトと心を通わせる過程を描くこの作品。ライトなノリの台詞の遣り取りの中に心の揺れを幾重にも描いて、ハッとさせられる事の多い内容となっています。 聴覚障害の描き方がステレオタイプで無く(参考文献の多さからも窺えるのですが)一人の「その人固有の障害という特性を持つ」女性のリアルが見えてくる様です。そしてその特性故に周囲と壁を作り、入学早々孤立する彼女に、懸命に、悩みながらもきちんと意思を確かめながら接する主人公。 彼女固有の障害についてストーリーの流れで分かりやすく描写されていて、孤独を深める理由が心に響く。それ故に真摯に関わってくる主人公に、彼女が少しずつ心を許す描写にも説得力が生まれるのです。 しかしここで、一つの謎が生まれます。 なぜ主人公は、彼女に関わろうとするのか。 正義感や同情ではない。ただ相手を知りたいと強く願う主人公の動機は……私は誰かと仲良くなりたいと思う時、実はその人に理由無く、目を惹かれてはいなかったかと思い返す。 彼女との出会い、習いに行っていたピアノの女性教師の結婚……そう、これは間違いなく、百合の物語なのです。

ALL NUDE

読めばハイになれる

ALL NUDE すぎむらしんいち
かしこ
かしこ

今まですぎむらしんいち作品をちゃんと読んだことなかったので、まずは短編集から!と思って読んでみました。めっっっっったくそ面白いですね!!!!今日はこれを読むまでイマイチな一日だったのですが、おかげさまで超元気になりました。あらすじにも「気持ちよくなるのに、ヤボなドラッグなんていらねぇ!」とありますが本当に効きますね(笑)。悪寒がしたら葛根湯の代わりにこれを読めば風邪をひかないんじゃないかな? どの短編も面白かったけど「小林君」「少女カメラ」「パパが地球人を辞めた日」が特に好きでした。「小林君」は今までクラスで一度もしゃべったことない小林君が転校するからと言って宝の地図をくれる話なんだけど、子供が上手く描けてる漫画は自分も子供になった気持ちで読めるんだなぁって思いました。「少女カメラ」も子供の話だけど、最後に女の子がその日に撮った写真がズラッと出てくる演出がかっこよくてシビれた…!「パパが地球人を辞めた日」はただただ爆笑です。もしかしたらこれが一番好きかもしれない。 「タクシードライバー」は映画をそのまま現代日本風にオマージュ?していて、なんか読んでて目からウロコって感じだった。令和になってから見なくなったけど漫画に出てくる元日本軍のじいちゃんって面白いですよね。そんなじいちゃんから上京する時に護身用にもらうことでピストルを手に入れるってのは、これぞ日本版「タクシードライバー」の正解だと思いました。 巻末に「RANGAI★バラエティbyけらえいこ先生」と書いてあるけど、これは「BUN BUN BUN」の欄外にあるイラストエッセイのことなのだろうか。言われてみるとけらえいこ先生のタッチな気がする…。意外な交友関係だ。