天沢聖司
天沢聖司
2020/12/31
イングランドの農村の小さな恋と友情物語
📷
先日、庄司陽子先生の『にいさまどなた?』を読んですっかり1970年代の西洋が舞台の少女漫画にハマってしまい、マンバの詳細検索で「1970年代 少女漫画」を眺めていたら見つけたのがこのセント=ブラウンの童話。 カンカン帽 ワンピース エプロンドレス 「明○のナージャ」じゃん…と、絵の癖はちょっと強いけど表紙がとても可愛くてひと目で気に入ってしまいました…! とか言って、自分はガッツリおジャ魔女世代なのでナージャが始まった当時は目もくれなかったんですけど。「赤毛のアン」といい、今見るとすごく可愛いですよねこのファッションって。 この物語の主人公の少女・マディケーンはセント=ブラウンという小さな村に住む女の子。13歳にもなってスカートを捲って川遊びをするようなお転婆で、弟のネッドと幼馴染で1つ年上の男の子・ジムと一緒にいつも遊び回り、ちょっぴり意地悪なロディとは勉強で競っている。 そこへ美人で優しいヴェア先生と、ロンドンから静養しにきた少女・セーラが加わり、マディの生活は少しずつ変わっていく。 セント=ブラウンの子供たちが3年間で少しずつ成長し、人間関係が変わっていく姿がすごく良かった。 恋のこの字もわからないお子様だったマディがジムへの想いを自覚して、それでも教師になるという自分の夢を叶えるためにロンドンへと旅立っていく…というエンディングが素敵だった。 やっぱ「19世紀イギリスの田舎に暮らす少女」っていう設定あまりによすぎるな〜。いくらでも読みたい。
天沢聖司
天沢聖司
2020/12/25
ネタバレ
クソ真面目国民的アイドル(幼馴染) vs AV女優! お触りNGラブコメ!
📷
想像以上に面白かった…!2人の設定が見たことない関係すぎてメチャクチャいい。弓月光先生や庄司陽子先生、海野つなみ先生のような、ひと目で分かる特徴的な絵柄がまた素敵。 なんとなくAV女優をやっている主人公・岬の隣に越してきた幼馴染のミドリくんは、なんと国民的アイドルになっていた! しかも「ファンが悲しむから女性には絶対触らない」という固い信条を持った今どき珍しいクリーンなアイドルで、恋愛経験ゼロの童貞なのだという。 そんなミドリくんが気になる岬は堂々と「ミドリくんとエッチしたい」と言い放つものの、ミドリくんに「いいよ――じゃあ今夜夢の中で待ってるね」とファン対応で受け流されてしまい本気で誘惑することを決意する…! ミドリくんのアイドルとしての職業意識の高さハンパなくて好きです。 AV女優とクリーンな男性アイドルの恋愛って「矛盾」の故事成語みたいですね…一体どっちが勝つんだ。 1話の中で何度も笑わされたのでみんな読んで…!! (▼「俺に触らないで ――あと外で会っても絶対話しかけないで 俺……」)
天沢聖司
天沢聖司
2020/12/25
ハンサムな三兄弟の中から実の兄を見つけるドタバタラブコメ♡ #完結応援
もうメチャクチャ最高のやつだった…!!マンバで1970年代の少女漫画を眺めていたらかわいい表紙と「にいさま」の文字が目に入り読んでみることに(兄キャラ大好きマン)。 孤児になった15歳のシシリーは、亡くなった母が貧しい時にルース家のお屋敷の前に捨てた息子のことを気に病んでいたことから実の兄を見つけることに。 シシリーはお兄ちゃんの可能性がある3人とともに暮らし始めるわけですが、このルース三兄弟がまぁ〜〜素敵…! https://i.imgur.com/5jxGPS8.jpg (『にいさまどなた?』庄司陽子) 美しいブロンドの長髪が似合う大学生で、毎日違う女の子とデートしているプレイボーイ長男のディンドン。 黒髪短髪、頭脳明晰で兄と同時に大学に入学する秀才でいつも難しい本を読んでいる次男のクルー。 ブロンド短髪で一番シシリーに年が近く、スポーツ万能で柔道クラブに入っている末っ子のアンディ。 全員実子として別け隔てなく育てられとても仲良しなうえに、イケメンで優しく特技を持っているんですよね。 イケメン兄弟が出てくる少女漫画やゲームなんて今どき山程ありますが、「兄弟仲がよく、格好良すぎずコミカルなところもあり、母親への愛情を隠さない」という親しみやすい温かみにあふれているところが最高でした。 朝に家を出る前にパパと息子たち全員がママにキスするところ…優しい世界で大好きです。 当然、この三兄弟を育てたルースご夫婦も素敵な方なんです。 「全員実の息子だと思っているから絶対に誰が養子か言わない」と最初に宣言し、シシリーを養子に取ることを申し出るけれどシシリーの気持ちを尊重し決して押し付けず、実の母への気持ちを考慮しつつ距離を縮めるために「エリザベスママ、セオドアパパと呼んでちょうだい」と頼む。 あの息子たちが育つのも納得の人格者で、あんな素敵な男の子に育ててくれてありがとうという気持ちになりました。 https://i.imgur.com/mhtkOM9.jpg (『にいさまどなた?』庄司陽子) ルース三兄弟がシシリーについて夜中話し合うシーン大好きですね…兄弟感がすごい。 結局シシリーを妹として扱うと決めてからは、ディンドンがお洒落と遊び担当、クルーが勉強担当、アンディが運動担当として面倒をみることになるのですが、その過程で無事順番に1人ずつシシリーを好きになってしまうのが微笑ましい。 そしてシシリーもまた、3人のうち1人に恋をすることになるのですが……結末はぜひご自分の目で確かめてください! いや〜〜もう、王道オブ王道な設定のはずなんだけど、新鮮にメチャクチャときめいてしまいました。庄司陽子先生すごい。
天沢聖司
天沢聖司
2020/12/18
ネタバレ
2020年の最推しはグレイス=憲三郎(52歳)! #1巻応援
ネットでバズりまくっていたので、ご存知の方も多いと思われるあの悪役令嬢転生おじさんの第1巻が発売となりました。どんな内容かと言うと、おじさんが悪役令嬢に転生するお話です。タイトル通りで助かりますね! ▼第1話 https://twitter.com/ueyamamichiro/status/1333711475932680193?s=20 子供を助けて交通事故に遭った屯田林憲三郎は、気がついたら娘がリビングでプレイしていた乙女ゲーの世界にいて、悪役令嬢・グレイスとなっていた。憲三郎は悪役令嬢という立場からこのゲームの主人公・アンナを誰かとくっつけようとするわけですが、中身が娘を持つ父親のためどうしても親目線で優しく接してしまうおじさんムーブが本当にかわいい!! 憲三郎さんは若い頃ゲームや漫画を楽しんでいた往年のオタクらしく、乙女ゲーや異世界といった最近の話題への順応力がやたら高い。 (悪役令嬢という概念について娘の說明を受けると、『キャンディ♥キャンディ』のイライザや『エースをねらえ!』のお蝶夫人を自ら例に挙げて秒で理解します) 流石は年の功というか、推しへの愛が強くてテンションが高い若い世代と比べてコンテンツ落ち着いて楽しんでる感じがまた素敵です。 そんな生来の憲三郎さんの物腰に加え、公務員として身についた丁寧な応対が自動的に公爵令嬢らしい気品ある振る舞いに変換される『優雅変換(エレガントチート)』なる能力のおかげで、憲三郎さんは平穏に異世界に馴染んでいきます。 https://i.imgur.com/r1UX2n7.jpg (△『悪役令嬢転生おじさん』上山道郎 第2話)     「人の名前が覚えられない」 「よく見える目と滑らない指が嬉しい(※普段は老眼&指先がパサパサ)」 「そろばんでの計算が得意」 などなど、散りばめられたおじさん要素にキュンが止まらない…! そしてこんな紛うかたなきおじさんが主人公・アンナと第1王子の好感度を知らぬ間に爆上げしてるのがホント面白い。 あとがきで知ったのですが、著者の上山道郎先生は2度の打ち切りを経験。これではいかんと今流行りの異世界ものを勉強したところ悪役令嬢ものにハマってしまい、自分が読みたい作品を描いてみたらバズった…! という流れだったのだそう。 ▼プロトタイプ版 https://twitter.com/ueyamamichiro/status/1196835037993299969?s=20 ベテランの先生がこういう風に最新のジャンルで活躍されているのを見ると、本当に漫画家ってすごいなと思わされます。     【※以下、Pixiv版のネタバレ】 ちなみに上山先生は、2020年3月にアワーズGHで商業連載が開始する以前よりPixivにてプロトタイプ版を掲載しています。憲三郎さんは子供を助けてトラックに轢かれ転生することになったわけですが……実は、現世で死んでないんです!妻と娘を遺して死んでしまった父親はいないのでぜひ安心して読んでください! ▼Pixiv版 https://www.pixiv.net/user/53823/series/68278
天沢聖司
天沢聖司
2020/12/16
ネタバレ
やっぱ侍女って最高〜〜〜!
📷
マンガが上手い…!! こういうマンガらしくて可愛いデフォルメ大好きです。紙面いっぱいに描かれた薔薇の花やふわふわのドレスが素敵…! 最近マンガアプリ広告などで異世界なんちゃって王宮ものを目にする機会は多いですが、大半は線が適当で魅力に乏しいものばかり…。そんななかでこの作品の絵は本当に素晴らしく、「リボンとフリルかわいい!お花素敵!! ドレス綺麗〜〜! つやつやふわふわの髪の毛かわいい〜!」と心の女児が目覚める可愛さがたまりません。 https://twitter.com/tanatete/status/1337313112794431492?s=20 主人と仰ぐ可愛らしい姫が今後悪役令嬢になってしまうと気づいた主人公の侍女・ユリアが、真心を込めてお仕えすることで悪堕ちを回避しようとするお話。 侍女っていうのがもう最高。主人を支える有能で慎ましい女性…ほんと大好きです。 ユリアを「ユリアお母様」と呼び慕う姫が尊い…🥺 ユリアの姫に対する愛情深さが美しく、侍女としての職業意識の高さは見ていて清々しい。 普段の地味で慎ましやかな姿と社交家デビューしたときの華かな姿のギャップもすごく良かった。真面目な女の子がメガネとひっつめた髪の毛を解放するのって萌えますよね…最高…。 1巻だけ読むつもりがまんまと3巻まで買わされてしまいました。ユリアとアルダールの関係が気になりすぎるので原作も読んでみたくなりました。
天沢聖司
天沢聖司
2020/12/09
ネタバレ
栃木の右だよ! 魅力度ランキングドベ常連茨城ご当地マンガ #1巻応援
📷
先日新刊ページで見つけた作品。パワーワードすぎるタイトルに惹かれて買ったら無茶苦茶よかった!「茨城?……海があるよね」くらいの知識しかなかったのですごく楽しめたし勉強になった。 牛久大仏の年越しカウントダウン「10・9・8・7・南無阿弥陀仏!」は面白すぎる…! こういうご当地モノだとキャラの郷土愛が過剰だったり、わざとらしいまでに訛ってたりするけど、そういうありがちな方法で無理に個性出そうとしてない自然体な感じが読んでてすごく心地よかった。 一見山を舐めているように見える鈴子(都民で銀座から通勤)が実は健脚で筑波山スイスイ登っちゃうみたいな、安易なステレオタイプを押し付けてないとこもすごく好き。 そもそも物語の中に上手いこと東京都民と栃木出身者が溶け込んでるのもすごい。 あと劇中劇の都道府県擬人化キャラクターたちが普通にメッチャ可愛い。おまけマンガとかでガッツリ読んでみたい。 鈴子の 「世間は茨城をバカにしてるわけではありません!!」 「興味が! ないだけです!!」 は名言。 「自分が住んでない地方の知識ってみんなあやふやだよね」って優しく肯定してくれたので、いい大人なのに地理が曖昧な自分はホッとして読むことができました。茨城の県庁所在地は水戸です(再確認) おめでたいことに2020年、ついに茨城は都道府県魅力度ランキングで7年連続最下位から脱出しましたし、この調子茨城には盛り上がってほしいです。
天沢聖司
天沢聖司
2020/11/30
雑用に励む騎士見習いくんの中世ほのぼの日常マンガ!
📷
表紙の美しさとあらすじが気になってためし読みしたところ、「これ嫌いな人居ないでしょ…!」っていう最高のやつでした。説得力のある細かな描写と解説、中世ヨーロッパ風世界の日常が柔らかい線で丁寧に緻密に描かれていてワクワクがとまらない…!! https://comic-gardo.com/episode/13933686331610129034 乙嫁語り、カイニスの金の鳥、月と金のシャングリラなど、ある時代の暮らしを丁寧に切り取った作品はそれだけでウットリと世界に浸ってしまいますが、これもまたそれらの作品に連なる素晴らしい作品でした。 物語は貴族の師弟で騎士を目指して下働きをしているロサくんが朝目覚めるところから始まります。 もうこのシーンが最高。ラピュタか世界名作劇場か…といった素晴らしい生活感。 ロサくんが暮らす高い塔の狭い1人部屋、馬房、騎馬訓練場へと次々に場所が移っていくのですが、途中に巻物(スクロール)っぽいコマや、アール・ヌーヴォーっぽい枠が登場し、日常で使われている道具や部屋についての解説が行われるのがとにかく素敵。 あとがきによると本作は「騎士(見習い)が主人公なのに、バトル無し日常漫画」とのこと。 も〜〜〜そういうの大好きです…!! そしてこの主人公のロサくんにはある大きな秘密があって、それがまた今後どう物語に関わってくるのか続きが楽しみです!
天沢聖司
天沢聖司
2020/11/27
ネタバレ
読み終わったあとの胸の温かさが異常…! 2020年のベストBL(仮)
「表紙はエモい感じなのにあらすじすごいエロいなぁ…」と読んでみたら、物凄い作品でしたこれ。読み終わってこんなに胸がじんわり温かくなったBLは初めて。まるで重松清のジュブナイル小説を読んだかのよう…。 まずとにかく絵が上手い!柔らかくて繊細なふわふわした質感がビンビン伝わってくるし、エロいシーンが無茶苦茶エロい。 https://i.imgur.com/jJDEfVy.png 舞台は関西で(方言からなんとなく三重っぽい気がする)、出てくる高校生たちみんなのやり取りがナチュラルに関西のノリなのがいい。メインの2人も喧嘩の最中でも口が減らないため漫才のよう。 ひょんなことから出戸(デト)がゾノの家庭事情を知ってしまってからの、2人の心の動きが良すぎて最高だった。 主人公は2人ともそれぞれに家庭に事情を抱えている。 デトは実家が経済的に豊かでなく、購買で半額パン争奪に命を賭けていて、通学カバンとして小学校の時に家庭科で作ったナップザックを使用している。 ゾノはゾノで、最近になって自分の性指向・服装の趣味に気づいたばかり。家の中で自分らしい姿でいると、そのことを受け入れられない父親から酷すぎる暴力を振るわれている。 https://i.imgur.com/nAlLFa9.png ゾノが自分の性指向に気づいたばかりという設定はすごく「ありそう」で現実味を感じる。(能町みね子さんの著書で「ずっと自分は女の子が好きだと思っていて大学生の時に無理だと気づいた」という話を読んだことがあるので、なおさらそう感じるのかも) こういう、記号的にただ「貧乏」や「ゲイ」いう属性が付与されてるキャラを描いている訳じゃなく、いち人間を描いているのが感じられてすごくいい。 貧乏なデトと暴力を振るわれているゾノ。 2人ともあと少しで、高校を卒業すればここから自由になれる。 喧嘩っ早いわりにピュアで素直で相手を労る気持ちを持っている2人が、互いを思い支え合う姿にどうしようもなく尊くて胸がいっぱいになります…。 (このエゲツないまでに残酷な状況で心から信じられる存在を見つける…というところが重松作品ぽいのかも) 後半のゾノの告白シーンは今まで見たBL作品全部合わせて一番美しく、何度も何度も反芻してしまいます…。 最後まで読んで「幸せになってくれてよかった…!」と心から喜び、ほわっと胸が温かくなったBL漫画は初めてです。個人的2020年のベストBL(仮)です…!
天沢聖司
天沢聖司
2020/11/18
BL…?奇妙な三角関係が癖になる男3人の人間模様
オフィスコメディだと思って読んだのでこの3人の関係の奇妙さにとにかくびっくりした! 主人公は顔がよくて仕事のできる性格のいい次長で、日頃から支店内で女房役を務め、仕事が円滑に進むよう絶妙なサポートを行なっている。 恋愛よりも「人を育てるのが大好き」という少し変わった人物で、態度の悪さで皆が手を焼いてる3年目の新人を喜んで指導することに。(ちなみに既に大学生の男の子のお世話もしてる) 次長が手塩にかけて大切に大切にお世話するうえに、「えっ、この人俺のこと好きなんじゃね…!?」とドギマギさせる思わせぶりな態度をとるせいで、タイトル通り大学生と新人くんの2人から好意を寄せられ狙われることになるという話。 あの態度をマジのガチの素でやってんのか、それとも意識してやってるのか今のところ言及がないので謎で、読みながら「えっ…なにこれ…? どういうこと? え…?」と戸惑わされそれが面白かった。 2人とも思いを寄せてるんだけど、それは普通に恋してるというか、初めて自分だけに注がれる愛情に舞い上がっちゃってるだけの気がする。2人とも家族からの愛が足りていないところがあって、次長から無償の愛をバンバン注がれて嬉しくなってしまい脳が「恋」と誤作動してるみたいな。 とりあえず今のところ恋(?)は新人くん&大学生→次長の一方通行で、次長がどう思っているのか感情が全く見えず、BがLになるのか全く予想がつきません。 レーベルはエレガンスイブなんですね。なるほど、わからん…。 加賀谷次長は一体どうなってしまうのか続きが気になります! https://souffle.life/manga/kagaya-jichou-nerawarete-masu/20200306-2/
天沢聖司
天沢聖司
2020/11/13
ネタバレ
スラムの少年が美女と遺跡を攻略するスタイリッシュハードSFアクション!
📷
昨日の夜にバナー広告で見つけて知った作品。普段自分が読まないタイプの作品だったのですがハマってしまいました。スラムの少年・アキラは生き延びるため化け物のうろつく旧世界の遺跡から異物を持ち帰る「ハンター」となるが、初めて訪れた遺跡で自分にしか見えない美女、旧世界の拡張現実であるアルファと出会い契約を持ちかけられるというお話。 https://twitter.com/kirihito_13/status/1167699679523459074?s=20 超高度文明の崩壊後の世界というのはやはり良い…! 画力がメチャクチャ高いのがまた良さを引き立ててるんですよね。ガンガン系のスタイリッシュな絵柄で、キャラだけでなく激しい戦闘やメカメカしい武器も超カッコよく描かれていて圧倒されました。 主人公のバディである拡張現実のアルファは、ほとんど服を着てないおっぱいの大きいお姉さんなんですよね。 こういうエロエロしいキャラって基本的に鼻白んでしまうんですけどアルファは別でした。どんなにエロかろうと決して触れることは出来ないということや、まだまだ計り知れない恐ろしさがあること、アキラのアルファへの興味が薄さなどが合わさり、自分にとってバランスのとれたお色気キャラでした。 そして恐ろしさでいうと、1巻の最後の契約シーンは最高…! 今までの感情豊かなアルファが一変、拡張現実らしく無機質になり見開きで確認事項を並べ立てるのゾクゾクしました。 **「アキラに対するより高度なサポートの実施を円滑に行うために事前の説明承諾なしに多種多様な操作をアキラに対して実施してもよろしいですか?」** **「口頭説明による規則内容及び個別概要の把握に要する推定時間は約120年になります」** SNSアカウントを外部サービスと連携させるときに表示される利用規約みたいで妙なリアリティと「これ『はい』って言ったらどうなっちゃうの…」という怖さがいい。 最初に読み始めるときに表紙に著者の名前が多いなぁとびっくりしたのですが、原作者、コミカライズ担当の漫画家の他に、担当世界観・キャラデザ・メカニックと、それぞれにイラストレーターさんが付いてるってすごい力の入りよう。 カクヨムの原作も読んでみたくなりました。 貧しく凶暴性を秘めたスラムの少年とバブみの深いお姉さんの組み合わせ。そして「意志と覚悟はアキラがなんとかする。それ以外の全てはアルファが万全に補う」という2人の関係性が心地いい。SF、バディ好きにおすすめです。 【第1話】 https://sample-books.kadokawa.co.jp/00/321908000469/?utm_source=gdn
天沢聖司
天沢聖司
2020/10/29
アウトロー系男女の殴り愛TL!! 〜異世界転生を添えて〜
またとんでもない漫画に出会ってしまった〜〜! すごい!!! これを読んで初めて「あっ、自分ってこういう漫画が読みたかったんだな」と気づきました。こういう漫画大好きです!!!(大声) U佳先生のPixivのキャプション曰く「強い女子が強い男子とバチボコ対等にやり合うケンカ漫画」。女性向けのTL作品ですが、男性でもこういう男女の関係好きな人って結構いると思うので読んでほしい…! https://twitter.com/u_kkaa/status/1278294421910417409?s=20 もう表紙からしてすごく最高ですよね。これでTLですよ? そしてなにより、 ・アウトロー ・ボコり愛 これらの要素をTLにブチ込むという発想がまず半端ない…! これをTLでやるって「抹茶小倉スパゲッティ」くらい奇抜に感じますけど、でもよく考えれば「アウトロー」も「ボコり愛」もBLでは根強い人気のあるジャンルなんですよね。 それを固定観念に囚われず男女で描いてみようと思ったのは、水兵の着るセーラー服を女子の制服にしようと考えた人くらい天才的な発想じゃないかと思います。天才です…! そもそも、ジブリ映画やハリウッドのアクション映画に出てくる『精神的・肉体的にタフな女性』ってみんな大好きなはずなのに、なんで世の中にはそんな彼女たちを主人公にした恋愛漫画は少ないのか……あらためて考えると無茶苦茶不思議ですね。 ゲーム内で最強の男・鷲崎は、サブタイトルの「凶暴な獣」という言葉に偽りなしの野獣ぶり。(しかもテストステロンばりばりの野獣なのに、照れたり恥ずかしがったりするピュアな部分もあって「なんだこいつ無敵か?」という感じ) そんな最強・鷲崎と主人公アンナは互角に拳でやりあっていくのが爽快…! 以前、BL研究家の金田淳子先生が「コワすぎ!」に登場する工藤Dと市川ADの関係性を「男女のやおい、男女のブロマンス」と説明していたのですが、この作品もまさに「男女BL」だなと、しみじみその良さを噛み締めてしまいました。 ちなみに、言うまでもなく自分はまさに主人公・アンナのような女性が好きなので、「スパダリや獣人とドラマチックな恋愛を繰り広げるのが“普通”のTLレーベルでよく載せられたなぁ…!」と感激しつつ読んでいたのですが、実際編集さんには「主人公に感情移入できない」と言われたそう。 ▼Pixiv【商業お知らせ】BeastGamer(女性向けオリジナル) https://www.pixiv.net/en/artworks/82688809 「これ異世界転生の意味あるか…?」と、ただでさえニッチな関係のところへ異世界要素を加えることに首を傾げていたのですが、そういう理由だったんですね。なるほど…。 ということは、異世界転生というエクスキューズさえあれば、普通のTL読者これ受け入れてくれるってこと!?!!! ならバリバリ転生してこういう作品ガンガン描いてほしいです! 男女BL増えて〜〜!