たか
たか
1年以上前
これはすごいww『海の向こうからきた男』や『ニクバミホネギシミ』みたいな純粋なホラー作品かな?と思ったら「怖い」と「笑い」が波状攻撃で襲ってくる新感覚の物語でした。 まず町全体が呪われているという規模のデカさが最高。 信じがたい方法、ありえない場所で何十人もの人々が首を吊り始めた井間町。その界隈では名高いという、町の神社「篠宮神社」で神職を務めるシズさん(ヒロインの祖母)が中心となり悪霊をなんとか退けていくのですが、シズさん曰く相手は129人の魂の集合体で「町の滅亡を臨んでいるから、町が滅べば悪霊は消える」のだとか。 これほどまでに井間町が祟られている理由…それは知れば納得の胸糞が悪くなる過去にあります。 **〜メッチャ好きなところ〜** **・悪霊が強力すぎて警察も医者も「こりゃ悪霊の仕業ですな」と秒で納得する** **・「(呪いの痕に)湿布出しときますね」** **・町全体が呪われてるから住民全員が被害に遭っていて震え上がりもはや神仏に縋るしかない** **・町の宗教団体、神社・寺・カトリック教会が早々に手を組み一枚岩になるスムーズさ** **・被害者は出るんだけど誰も足を引っ張らない** **・主人公のお母さんが古き良きおばちゃんパーマ(70年代が舞台)** **・シズさんが糸目(ゴリゴリの強キャラ)** https://i.imgur.com/ZxbfQ0i.png (原作:夜行列車/漫画:武者辰虎『首くくりの町 ~篠宮神社シリーズ~』第3話 後編より。ンフフwwwここすき)   「こんなの非科学的だ!」とか誰も言い出さないレベルで怨霊がヤバいため、話が早くて最高。 大人になって以来、「神様を信じる」という言葉や態度ににうっすら警戒心を覚えてしまっていたのですが、この漫画のおかげで子供の頃は神社とかその辺のお地蔵さんに素直な気持ちでお祈りしていたなぁ〜と思い出しました。 小学生4年生の主人公・ケイタが悪霊に取り憑かれたことから真剣に神道の修行に取り組み、神様を身近に感じられるまでになるところはまさに「小さい頃は神様がいて」だなと、スッと納得できました。 12月8日の1巻発売前のプロモーションで6話の前編まで無料公開されてます!読むっきゃない!読んでくれ…! https://kuragebunch.com/episode/14079602755514446246
兎来栄寿
兎来栄寿
1年以上前
『ただいまのうた』、『キラメキ☆銀河町商店街』、『シェアハウス金平糖北千住』などでお馴染みのふじもとゆうきさん最新作。 今回もまた、一際優しさが沁みる作品となっています。 長身で強面な主人公・寿々木薫(すずきかおる)は、見た目に反してお菓子作り、植物の世話、季節のてしごと、裁縫などが好きで得意な少年。 薫が高校入学の日に出逢った同じクラスの春名は、薫とは逆に小柄で美少女のようにかわいい容姿でありながら、柔道が得意で強い男子。仲良くなっていく対照的なふたりを中心に、薫の新しい希望に満ちた生活が始まっていきます。 薫は中学時代に自分の趣味嗜好を否定されハブられてしまっていた経験があり、自分のありのままを受け入れてくれることに新鮮な感動を得て行きます。そこが、何ともハートフルで読んでいてぽかぽかします。 私も思春期の頃にあまり他の男の子がやらないような花の水やりや料理や裁縫など家庭的なことをよくやっていましたし、好きなものを好きでいたら「キモい」と言われる悲しさもよく解ります。昔は今ほどオタクに寛容ではなかったですからね。 しかし、薫が同級生に外見に似合わない趣味嗜好をからかわれて家で凹んでいたときに ″「好きなこと」はこの先も薫を助けてくれる 絶対に大切にした方がいいよ″ と薫の母親が言葉をかけます。何と素敵な言葉でしょうか。好きを否定されて傷ついたことのある人には沁みるセリフでしょう。このお母さんだからこそ、優しい薫少年が生まれ育ったのだろうと思えます。 そして、好きを否定する人を否定してくれる新しい友も得ることができた薫。孫を見守る祖父母のような気持ちになります。 薫とは歳の離れた妹が通う保育園で働く桜子先生への恋や、その桜子先生も外見からでは解らない意外な面を持っているところ、またクラスメイトたちの恋愛動向など、これから面白く楽しめそうなポイントが他にもいくつもあります。 優しい世界の物語に触れたい方にお薦めの作品です。