toyoneko
toyoneko
11ヶ月前
根本尚先生は、秋田書店系の雑誌にギャグマンガを執筆している漫画家です。 週刊少年チャンピオンを長年読んでいた方でしたら、「現代怪奇絵巻」は印象に残っていることと思います。 なお現代怪奇絵巻は単行本化未了でしたが(厳密には、一部の話のみ、シーモア限定で読めます。ただし携帯電話用のものなので、パソコンからは読めない。)、連載終了後の書下ろし部分は、最近kindleにまとまりました。 https://manba.co.jp/boards/196294 長らく不遇の時代が続いていたのですが、趣味で描いてコミティアで売っていた本格ミステリの「怪奇探偵・写楽炎」シリーズが、ミステリマニアとミステリ作家にウケて、非常に高く評価されたことから(具体的には、芦辺拓・有栖川有栖・二階堂黎人)、文春デジタル漫画館のラインナップに加わることとなりました。 https://manba.co.jp/boards/102998 …が、私が語りたいのは、「それ以外の作品」の話です。 まず私が好きなのは、「札幌の六畳一間」シリーズ。 https://manba.co.jp/boards/177553 エッセイ漫画です。具体的には、貧乏漫画家である主人公(根本先生)が苦労する様を赤裸々に描くコメディエッセイです。 皆さん好きでしょう、漫画家が貧乏生活を送るエッセイ! 「札幌の六畳一間」「続・札幌の六畳一間」「札幌の六畳一間 無料編」などがありますが、アンリミ又は無料で全部読めます。 ここから派生して、「競売物語」もあります。これはツイッターでそこそこバズってました。 https://note.com/nemotosho/n/nd6099a76df12 根本先生のエッセイ漫画は非常に面白く、「90年代ミステリ漫画講座」も良くできています。私はこれを読んで「監察医SAYOKO」を買いました(でもまだ読んでない。)。 https://note.com/nemotosho/n/n576e649d2598 https://note.com/nemotosho/n/nd98daacdbcd6 次に、「タイムスリップ・コレクター」。 https://manba.co.jp/boards/196295 初出はコミティアらしいのですが、最近電子化されて普通に読めるようになりました(これもアンリミで読めます。)。 根本先生は古書が趣味らしいのですが、「過去にタイムスリップして、現在ではプレミアがついている本を入手できたら…」という着想から生まれたと思われる作品です。 アイデアそのものはそれほど革新的というわけではないのですが、「実際にそうなった場合に直面するであろう苦労」が様々に描かれていて、楽しい作品です。 そして最後に、今回何より紹介したかったのが、「人形紳士」です! https://manba.co.jp/boards/196296 もともとは、今年の3月ころ、根本先生が272頁を一気に書き下ろして(ただしサインペン一発書きでネーム状態)、noteに発表した作品なのですが、私は存在自体を知りませんでした。 知るきっかけとなったのは、以下のツイートです。 https://twitter.com/mysteryEQ/status/1725849354626613601 ミステリ好きが選ぶ年間ランキングで、この作品が1位(ただし非小説作品内での1位)に選ばれた、という内容です。 へーそうなんだあ、しかも無料なんだ読んでみるか、と手を出してみたのですが…いやあ… 傑作でしたよ!! 根本先生の「怪奇探偵・写楽炎」シリーズはですね、マジで「本格」なんですよね。 つまり、トリック重視で、ある意味で、ドラマ部分はそれほど重視されない。まぁ変な犯人はいますが、主人公側のキャラクターは弱い。 これに対して、「人形紳士」は、トリックも良いのですが、それよりもとにかくドラマ部分、特に、主人公たちの関係性が良いんですよ。まさかの青春ミステリ!エモい! 根本先生がこういう作品を描けるというのは本当に新鮮な喜びなんですが、贔屓目なしでも名作であり、是非もっとたくさんの人に読まれてほしい作品です。 noteでも、kindleでも無料で読めますので、皆さんガンガン読んでください! なお、発表当時のツイッターでの反応が以下にまとまっています。 https://togetter.com/li/2099294 ぜひまたこういう方向性の作品を発表してほしい(なおそのときには普通にお金を払わせてほしい。)。 なお、サインペン一発書きで、ちょっと読みづらいところもありますので、ぜひ別の人の作画で読んでみたい作品でもあります。 どこかの編集部の方、よろしくお願いします!
兎来栄寿
兎来栄寿
11ヶ月前
台湾人の作者が描く、台湾を舞台にした日常系美少女マンガがやってきました。 父親の転勤によって日本から台湾に移住した杏奈(あんな)が、アニメやマンガが好きで日本語が解る隣の席の美鈴(メイリン)に助けられ台湾やその文化を案内されながら高校生活を送り友情を育んでいく物語です。 美鈴の幼馴染で原住民女子のヌワを始め、物語が進むにつれてかわいいキャラクターたちも増えていきます。杏奈の母親(自称・20歳の姉)のレイカや父親の一樹(いつき)などは一部から熱い支持を得そうな造形です。 読んでいるだけで、日本とは違った台湾のいろいろな文化を知ることができて楽しいです。たとえば、 ・朝は外食が一般的な台湾は学校内にも朝食屋がある ・学校の昼休みに昼寝の時間がある ・アイスのお茶は砂糖入りが普通 などなど。 『千と千尋の神隠し』の舞台として有名になった(※ただし舞台説はガセネタであると作中でも解説されます)九份、そしてそこのお茶屋さんも登場。台湾に行ったら個人的にも行ってみたいと思っていた場所ですが、またひとつ聖地になりました。また、台北101などその他の観光名所や見どころも紹介されます。グルメについてもいろいろと紹介されるので、台湾に行く予定があれば読んでおくと参考になるかもしれません。 日本のマンガやアニメのパロディネタ(『ハルヒ』、『BLEACH』、『DEATH NOTE』、『ラピュタ』etc...)がそこかしこに散りばめられているのも、作者の日本文化愛を感じます。マンガやアニメに親しんで、自分でも創ってみたいと思って努力し、こうして遂に世に出る。最高に素敵な連鎖です。この文化の素晴らしさを世界中に広めていきたいと願い、活動している私にとっては応援せずにはいられません。 台湾の文化や台湾の方が描いた美少女日常系に興味がある方、手に取ってみてください。