兎来栄寿
兎来栄寿
1年以上前
『三体』の劉慈欣さんが原作。 『三体』の劉慈欣さんが原作。 『三体』の劉慈欣さんが原作。 最初に『神様の介護係』の存在を知ったとき、驚きのあまり三度見してしまいました。そして、同時にこうも思いました。 そんなの、絶対面白いじゃあないですか……。 皆さんは『三体』は読まれていますでしょうか。今世紀を代表するSF小説で、『火の鳥』を髣髴とさせるほどの超大なスケールの物語。『三体』自体も中国国内ではコミカライズされているようですが、日本でも可能なら『アフタヌーン』辺りで本気のコミカライズをして欲しいですね。 この『神様の介護係』で気になる作画を担当するのは『 午後9時15分の演劇論』の横山旬さん。この組み合わせを考えた方が誰かは分かりませんが、英断だと思いました。劉慈欣さんの原作に対してどんな絵を当てるかと考えると、結構ハード目で青年誌寄りのタッチの方を選ぶのが自然な気がします。しかし、そこであえて少年マンガ系の横山旬さん。これがピッタリとハマっています。 1話を試し読んでいただければ解る通り、開幕からバリバリに独自世界の色を出してきます。濃密な作画と設定によって倍くらいのページを読んでいるような感覚に陥るほど情報量が多いです。それは、松井優征さんも授業で行っていた通りマンガとしては非常に優れている状態です。 横山旬さんの絵は、アクションや表情も気持ちいいんですよね。少年誌的テイストで間口の広いエンターテインメント色を出しながらも、そこは劉慈欣さんの世界ということでセンスオブワンダーを与えてくれます。 1冊完結で、非常にコンパクトですが満足感の高い仕上がりとなっています。SF好きの方は、押さえておいて損はありません。 そんな今夜、漫勉新シーズンが手塚治虫さん回放映なのは因果を感じますね。
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
1年以上前
猫一匹と暮らすイラストレーター女性が、その猫が大好きな友人と同居を始める、というエッセイ……女性同士、すわ百合!?と騒ぎたくなるのは百合好きの悪いところですが(自戒)、これは百合ではないけれどもとても良いです。 そもそも作者は「一人暮らし寂しいけれど恋愛はしんどい」というところから始まり、「寂しい時にちょっと話してくれたり側にいてくれる」相手を求めて友人に同居をもちかけます。これ、実現すれば理想的ですが、そうはいかないからみんな苦労しているやつですが、この二人は見事その理想的な関係になっていて、こんな現実があっていいの!?と驚きながら幸せな気持ちになれます。 内容としては食4:二人の関係4:猫2くらいの割合。未知の調味料に好奇心が膨らみます。 そしてべったり一緒にいなくても、相手の気配に安心したり、辛い時に話したり、同じ食を共有したりすることで、寂しがりな作者が穏やかに満たされるのを見ていると、恋愛がなくても満たされる可能性に私も救われる気がします。 恋愛じゃなくても満たされる関係……「クワロマンティック」や「ロマンシス」という在り方の可能性を、ここに感じるのは私だけでしょうか? (上下巻同時刊行だったみたいなので1巻応援と完結応援にしました)
かしこ
かしこ
1年以上前
ふと寝る前なんかに自分が年を取った時のことを考えて不安になる事がありました。老後に必要な2000万円なんか貯金できる気がしないし、このまま身寄りがなくて孤独死するかもしれない…なんて考えちゃうと眠れなくなるくらい不安でした。でも「ぼっち死の館」を読んでからは私もなんとかなるんじゃないかと平気で構えられるようになりました。 今まで年を取るって暗くて悲しいことだと思ってたんですが、齋藤なずな先生の目を通して描かれる老人達ってとてもユニークですよね。どこにでもいる普通の人達ばかりですが、みんなそれぞれに歩んできた何十年分の人生が濃くて、団地の住人の噂話をしているのですらもなんだか楽しそう。そしてFacebookとかリア充とか現代のカルチャーにも思ったより馴染んでる(笑)。私もこの一員になりたい!なれる!だから大丈夫かも…と思ったんです。 齋藤先生の漫画は細かいところまで色々と描かれているんですがコマ割りに無駄がなく読みやすいです。とても漫画が上手いんです。これを読んで他の作品を読んでみたいと思った方には「夕暮れへ」に収録されている「トラワレノヒト」をオススメします。高齢の母親を看取った時のお話です。これもすごい。