mampuku
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2019/11/29
優しさを学べる漫画
一巻読了。 不器用でいわば「ちょっと足りない」女の子のもどかしい片思いと、友情と成長のお話。 新人さんかな?絵の完成度が非常に高い(博、成家慎一郎、オジロマコト、ゴトウユキコあたりを連想しましたが、そのどれともまた微妙に違う感じ) 頭の回転が鈍く、いつも上手く立ち回ることができず失敗してばかりの主人公。そんな彼女の人格を仲のいい親友たちは「天然」と称して可愛がってくれるが、本人にとっては死活問題で、ついには思いつめて家出してしまう。 極寒の北海道で野垂れ死にかけていたところを、水商売で生計を立てる一人の女性に拾われ、命を助けられるだけでなく「人生」において大切なことを教わる。一巻おわり。 主人公の少女はたしかに「足りない」がちではあるものの、それはこの社会に属する全ての人が多かれ少なかれかかえている普遍的なテーマだ。 「他人に好かれたい、良く思われたい。でもそのためにどう振る舞うべきかわからない。言葉選びが上手くいかない。なぜか傷つけたり怒らせたりしてしまう。」 逆説的だが、負のスパイラルから抜け出すためにはまず「他人によく思われるためにどうすべきか」と考える癖自体から脱却する必要がある。「言葉を発する自分」ばかり可哀想がり労るのをやめて、「言葉を受け取る相手」を慮る。それこそが、信頼関係の第一歩なのだ。 「ありがとう」、信頼関係の初歩の初歩、第一歩の言葉を一巻の最後で水商売のお姉さんから教えられ、感謝あるいは後悔か堪えきれず涙を流す主人公の少女。 とてもシンプルだが芯のある美しい話だ。2巻以降の展開にも期待したい
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2019/11/10
天才小説家・野崎まどが放つ極上の絶望
 伊藤計劃や虚淵玄、冲方丁らに比肩しうる「天才」野崎まどが放った"読む劇薬"こと超問題作『バビロン』シリーズ。原作小説は現在3巻までリリースされています。極めて理性的な論理展開によって人類・社会に「問い」を投げかけ、しかしその裏では巧みな伏線や布石によって読者の感情を手玉に取りやがて絶望と恍惚へと引きずり込んでいく。  地獄のような物語を書く、悪魔のような作家です。  とりわけバビロンのヒロインにして悪役(ヴィラン)である「曲世」は、これまで出会ったことのあるあらゆる悪役の中でもとびきり極上の絶望でした。 「だれでもいいから、早くこの化け物を撃ち殺してくれ」と願わずにはいられない。 【上巻読了時点の感想】  コミカライズ版もよくできてはいるけどもともと上下巻に収まるようなスケールの話ではないので結果的にはやはり超駆け足です。  原作小説を読み、賞賛し、胸糞悪くなり、反芻し、後悔し、やがてまた身体が「バビロン」を求めだすのでそうした頃にコミック版を手に取るのをおすすめします。 ※追記 ↑やっぱりおすすめしません。下に続きます
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2019/09/23
メカも人も上手い神絵師が漫画を描いたらやはり凄かった
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 「このラノ」でも高い評価を受けたライトノベル原作のサイエンス・ファンタジー作品です。なんと原作のイラストレーター本人が漫画を手掛けています。イラストを描く能力と漫画を描く能力はまったくの別物とはよく云われます。それだけ聞くと「イラストレーターが漫画なんて描けるの?」と思われるかもしれませんが、この「エイルン・ラストコード」では神絵師にしか描けない神作画が実現しています。  精緻な絵で紡がれるギガンティックなメカアクションももちろん大きな魅力ではありますが、私が推したい一番のポイントは「女性キャラの美しさ」です。線や塗りがシンプルなスッキリとした絵柄にもかかわらず滲み出る色気が凄い。 ■神絵師ならではの正確無比のデッサン ■アニメーター顔負けの表情豊かさと演技力 ■白黒の漫画に描かれる美少女にしては珍しくメイクがキマっていていい匂いがしそう ■顔が可愛かろうが極限状態では白目剥くわ鼻水垂らすわ鼻血垂らすわ、平時とのギャップがえげつない と、他ではなかなか見られないみことあけみ先生の魅力を挙げればキリがない。。同じく人気イラストレーターであるヤスダスズヒト先生やokama先生による漫画にも、近い魅力を感じます。