さいろく
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2021/12/06
ジョークと思うことなかれ、真剣に恐ろしいショートショート
奇才うめざわしゅん先生のとんでもないショートショート。 ただ「恐ろしい」というのは全てには当てはまらず、解釈次第である。 趣味趣向の偏向でオタク文化を切り分けたまま極端に育てたらどうなるか、といったような第一話。 ©、いわゆるコピーライト。それはその人名あるいは団体名が保持する著作権物である事を示すが、全てが著作権(IP)に守られていたらどんな未来かを揶揄しながらもさらに捻られまくった第二話。 そして一人の人間として認めるのはどこから?人権って何?というのをもしこうだったらどうなるか?というめちゃくちゃ考えさせられる第三話。 最後に、エピローグ。これも皮肉りまくってて面白い。 余談というかアレだが、自分自身これまで社会で生きてきて、「ただ声がデカいだけの人」というのが10年ほど前までは本当に大手を振っていたが、徐々にそういった社会が変わりつつあることを実感している。 未だに偏った人たちによる意見というのは目立つものだが、よーく考えてみるとそれらの意見は非常にマイノリティなもので、要するに普通じゃないですアピールであったりかまってちゃん的なアピールとなんら変わらないという解釈も出来てしまう。私がそう思っているとは言わないが、そういう事だろう。 うめざわしゅん先生の作品は割とそういった風刺が効いたものが多く、皮肉ってるだけではないものの、読者はある程度「自分でモノを調べる事が出来る」ぐらいの能力(教養?)を必要とする。 また、あえてやってるのにそのまま一本描ききっちゃうから途中から自然すぎて忘れてしまうが、多くは模写から始まる。北条司、藤子・F・不二雄のようにわかりやすいものから最近の漫画家のものまであって、それはそれでわかると(これはリスペクトだと思うが)とてもおもしろい。 本作はとにかく最高である、というのは言えよう。ショートショートは得てしてこういう不気味さが必要だ。
さいろく
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2021/12/06
ヒューマンとチンパンジーのあいの子、ヒューマンジーチャーリー
こりゃー事変だ。 3巻まで一気に読了。 すごい漫画だ、そしてすごくアメリカだなぁとつくづく感じる。 かといってこの題材で日本だと現実味はないとわかっててアメリカなんだろう、想像してみりゃわかる自然さと、リアルすぎる文化が入り交ざっている。 どうなっていくんだろう、どうするんだろうという期待も含め、これまで自分の読んできた短い名作たちと同じ短めな物語になってしまうのを想像してしまう。 ただ、自分の感覚ではこの時点ですでに名作だ。 自由の国では何を主張してもいい、みたいな風潮はあるけど主張したことで起こるその後の事については誰も守ってなんかくれない。 例えば(この漫画でも序盤に話題に出てくるが)私はヴィーガンはある種の宗教のようなところがあると思うけど、多数の人が集まるとそうなってしまうもんなんだろう。 ヒューマンジーであるチャーリーは唯一無二だが、この世界において生を受けたという意味ではただの一人でしかない。ONEであることはひどく難しい、というのがよくわかる。 なんか色々言いたくなる漫画でもあるなー、とにかくすごい漫画。 単行本派なので次号で終わってしまいそうな心配も少しあれど、それはそれで仕方ないとも思う。 うめざわしゅん先生の知識や想像力がいかんなく発揮されているので、この後の目を瞠る展開を楽しみに待ちたい。
さいろく
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2021/11/26
爆音の虜になる奴ら
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地雷震、スカイハイ、ヒトヒトリフタリ、鉄腕ガール、blue heaven、SIDOOH… 90年代後期のアフタヌーンで自分にとって1番魅力的な絵を描くマンガ家だった高橋ツトムの、まるで自伝のようだと思える漫画(勝手なイメージです。でも族上がりのマンガ家は多くはないと思うので貴重ですよね) 振り返って読み直したところ、ヨンフォアの値段に愕然とする。新車がこんなもんだったんだ、あのバブルの時代に、と。旧車の中でもHONDAでは1番人気と言えるであろう主人公が乗るこの「ヨンフォア(cb400f)」は今やプレミア付きまくりで250万ぐらいしてしまうのです。 そのぐらい憧れの単車だったし、名機だということですね。 ちなみに特攻の拓のマー坊くんが乗ってるのと同じ、だと思う(たぶん) 連載自体が90年代だったはずなのでバイクの価値としては当時もすでにちょっぴり貴重になってたはずなんですが、やはりそれでこそ憧れるわけで、少年達がなんとかして手に入れようとする様には共感を憶えます。 爆音列島も例に漏れず、奔る事に命をかける少年達の物語。 ヤンキー漫画としては意外とメジャーじゃない?と思うんですが、個人的には好きな作品。ギャグ要素が全くないのがホンモノの当時の学生ヤンキー達にウケなかったのはあるかも(あとアフタヌーンだったから月刊だしちょっと高いし?とかあったのかな) ヤングキングで復刻連載したぐらい名作ではあるんですが、それは割と最近(2016年だった…)なので、今の時代から見ると「懐かしい」「あの頃は良かった」みたいな感想になりがちで少し勿体ないですね。 あ、男子は必読だと思います。
さいろく
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2021/10/26
犬飼いである私に猫も飼いたいと思わせるチカラがある
よく「チワワはうるさいよね」「トイプーは懐っこいよね」みたいに種類で偏見的な意見をお持ちの方がいらっしゃいますが(当てはまることが多いのは事実だけど!) 犬も猫も個性があり、表現があり、一つの個体・生命体として千差万別なのです。 一般的にチワワはよく吠えるし大人しくはないと(病院とかで大暴れしたり噛んだりする子はよく見る)いう印象ですが、うちのチワワは驚くほど大人しくて吠えないし家族以外が大の苦手の引っ込み思案です。 世の中のすべての犬猫も個性に溢れていて、家族として迎えることはそうかんたんなことではないのですが、松本ひで吉先生は「迎えることが出来たらこんなに幸せなんだよ」というのを本作で存分に教えてくれてます。 犬も猫も誇張表現があるであろうけれども、本当にこういう子なんだろうなーというのも想像しやすくて萌え死ぬ。 先生の描く猫のツンデレぶりやドジを誤魔化す様がたまらんです。 犬は無償の愛をくれるよねーそうだよねーうんうん、ってうなずきまくり。 本当にタイトルの通りでそれ以外の何者でもないんだけど、それが素晴らしい。 そんな作品です。