さいろく
さいろく
11ヶ月前
フリースタイル 54号の「THE BEST MANGA 2023 このマンガを読め!」を読んでいて、本作は多くの選者がセレクトしていたのですごく気になっていたのだが、著者の自費出版しか存在していないというのが逆に面白くなってしまって通販購入させていただいた。 私はいしいひさいち先生を「となりの山田くん」と「ののちゃん」しか知らなかったが、特徴的な絵柄と抜群のデフォルメ力で「見りゃわかる絵」が描ける素晴らしい能力を持っていると思っている。 ROCAもその特徴的な絵で4コマで描かれている。 ただ、万人に理解できるようなギャグテイストは少し後ろに引っ込んでいて、冒頭に先生自身が書いていたとおりの物語だった。 「これは、ポルトガルの国民歌謡『ファド』の歌手を目指すどうでもよい女の子がどうでもよからざる能力を見い出されて花開く、というだけの都合のよいお話です。」 最後の最後でどう想像するのか、読者に委ねられるような形であるものの、とても読後感の良いものでした。 マンガを読みまくっているであろう猛者とも言える選者達がこぞってオススメする理由はわかった気がする。 例に漏れず、オススメしたい。
フリースタイル 54号の「THE BEST MANGA 2023 このマンガを読め!」を読んで...
かしこ
かしこ
1年以上前
・朝日新聞「ののちゃん」の連載内で描かれたものをベースに再構成して大幅に加筆修正したものである ・いしいひさいち先生が自費出版で出された ・ポルトガルの民族歌謡ファドの歌手を目指す女子高生ロカが主人公 ・どうやら百合要素もあるらしい ・すごく評判がいい 色んな情報を知って期待値が上がったまま読んだけど超えたと思いました。でも私が一番感動したのは「ロカがインストアライブをやったら客が13人しかいなかったけど、13人全員がサイン入りCDを買った」という回です。分かる人にしか分からないだろうものをやっていくことも本人にとっては幸せだと思うんですけど、でもそれ以上のことがあればもっと幸せなわけで。だからその場にいる全員が認めてくれるって心強いですよね。それが私の中でこのROCA 吉川ロカ ストーリーライブが自費出版で出されたことに重なったりして感動しました。いしい先生にはそんな切羽詰まったものとかないかもしれないけど(笑)。4コマ漫画は読者のその日その時のコンディションで刺さるところが変わるので、感動したポイントは人それぞれ全く違うんだろうな〜。 なんか複雑な気持ちになった時に「サウダージ サウダージ」と言っていこうと思いました。
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
1年以上前
『アフターアワーズ』『水野と茶山』と百合マンガを描いてこられた西尾雄太先生が、今なぜ男性主人公を?と思われるかもしれませんが、読めば納得の内容でした。 本作の主人公は古着屋の店主にして、大の服マニア。 古着屋稼業・店舗経営の裏側を見せ、古着への拘りを開陳しながら、主人公が出ていった彼女とヨリを戻すヒントを得るために、昔の彼女たちに会う物語が展開します……さあ、ダメな感じがしてまいりました笑 よく、人柄は悪くなさそうな男性が、パートナー女性にものすごい怒りを買っていて不思議に思う経験、ありませんか?本作の主人公も一見まともなので、「趣味に夢中になりすぎると愛想尽かされるのかなぁ」と、同じ趣味人としては不安になりかけますが、次第に彼の「本当に悪いところ」が見えてきます。なかなかに胸が痛い内容。 男性から女性へのDV、モラハラ、マンスプレイニングやマイクロアグレッションなどには、実はかなり根が深く、複雑で言語化しにくい「悪さ」があります。 そういった「悪さ」が作品のあちこちに描かれて(時にそれは従業員にも向く)2巻末までにその一部はかなりはっきりと言語化され、ハッとさせられます。 服のストーリーと目上の人の言葉は聞けるのにher storyに耳を傾ける気のない主人公と彼にうんざりしている彼女の物語は、恐らくあらゆる男性と女性に普遍的な物語。今後も自分ごととして、丁寧に読みたいと思います。 (1、2巻同時発売ですので1巻応援とします)