ひさぴよ2020/11/18普通のOL4コマと思いきや・・・?4コマ王子こと小坂俊史先生による、普通そうで普通じゃないOL4コマ。 中途入社の主人公・志咲笑子(しざきえみこ)は転職元の会社がことごとく倒産することから「座敷わらし」の異名を持つOL。しかし、この座敷わらし設定は即座に捨て去られ、タイトルの意味はどこへやら、日々の仕事を”いかにサボるか”に話が変わっていきます。 ヒロインの体型も徐々に変化し、最初は気のせいかと思いましたが、どんどん太っていきます…ドラえもんの逆バージョンみたいな感じでしょうか。 そして、サボっていた仕事も次第にそこそこ出来るようになり、普通のOLへと変わるのですが…。これだけ話に変化がありながら4コマ漫画としての面白さは一貫して変わらないのです。普通のOLマンガを目指そうとした結果、普通じゃない漫画になってしまった感じがします。脇を固める同僚たちもおかしな人材ばかりで読んでいて飽きません。作者コメントで「会社勤めの経験が一度もない」というのは驚き。オフィスのあるあるネタは本当に共感できるものが多いかったので。 連載時期が2010年〜2011年頃という事で、リーマンショック後の時期のはずなんですけど、不況を感じさせない、ほのぼのと明るい気分にさせてくれる漫画です。オフィスのざしきわらし小坂俊史
ひさぴよ2020/11/17心温まる駄菓子屋マンガ1970年代に流行った駄菓子類や遊びがたくさん登場する全18話のショートストーリー。 自分と世代は違いますが、駄菓子に通ってた頃のオモチャや駄菓子が沢山出てきてとても懐かしい気持ちになります。 ミニコーナーのコラムも充実しており、駄菓子情報がぎっしり詰まった一冊です。 駄菓子屋のもう一つの主役といえば子ども達ですが、この漫画に出てくる子たちは、怖いくらい自然に描かれています。お小遣いをやりくりして、考えながら遊んでる様子など本当にリアルで自分の思い出の記憶そのままでした。 ちなみに、作中で駄菓子が大好きな「かよちゃん」という女の子が登場します。東元先生は「ほな、また明日!」とは別の駄菓子屋マンガ「かよちゃんの駄菓子屋」を描かれてますが(現在、週刊漫画TIMESで連載中) 主人公の名前と雰囲気が似てますので、この子がベースとなっているのでは?と思ってます。ほな、また明日!東元2わかる
ひさぴよ2020/11/17吉本浩二先生の幻の青春恋愛作イーブックジャパンのリニューアル前に読んだ覚えがあるのですが、今はもう公開されておらず読めなくなってますかね…。 一度読んだきりで内容はうろ覚えですけど、主人公を慕って後輩の子が上京してきて、イイ感じになったけど最後は…みたいなストーリーだったかと。たしか舞台は上野駅。信じられないくらいマジメで純情な青春漫画だった印象あります。何となくもう一度読みたくなりました。東京の兄貴吉本浩二
ひさぴよ2020/11/10異世界マンガ…なのか!?おじさんがファーストクラスのCAに転生してスケベ椅子の化身に出会う所から始まる異世界マンガ。 誰も見たことのない異世界モノというか、そもそも異世界って何だっけ…?と既成概念が崩れそうになります。 異世界モノが氾濫してる今の時代だからこそ面白いと感じる部分がありますね。 和田ラヂヲ先生には珍しいストーリー仕立ての長編作品でもあるので一見の価値アリです。 これが電書ストアで話売りされてる状況というのも何か面白い。 はたして単行本は出るのでしょうか。和田ラヂヲの異世界無双和田ラヂヲ
ひさぴよ2020/11/05本格派でエンタメもしてる諜報(スパイ)漫画の良作日本はスパイ天国などとよく言われてるそうですが、実は世界各国からの工作活動をギリギリのところで防ぎ、陰で日本を守り続けてきた一族がいたのです。(という設定) その名も「阿賀一族」。800年にわたり日本の諜報活動を担ってきた一族の末裔である、父とその娘が主人公。一族の誇りを持ちながら娘には手を焼いてる父親ですが、いざ政府から仕事の依頼を受ければ、各国のスパイたちを相手取り、情報戦や派手な戦いを繰り広げます。次第に娘の方もスパイの才能が開花して…。 原作は真刈信二氏ということで、設定やストーリー構成は言うまでもなく本格派。しかし落ち着いた展開ばかりでなく、映画のようなエンタメ要素(アクションやお色気シーン)もバランス良く盛り込まれています。作画も非常に洗練されていて、重厚感のあるストーリーにふさわしいカッコ良さがあるのです。 何かきっかけさえあれば、もっと人気が出たはずの作品だと思うのですが、6巻という微妙な巻数で終わってしまいました。せめて10巻くらいまで続いても良かったのに…。最新の情勢を取り入れて、いつか続編とか始まったら面白いと思うのですが。スパイの家真刈信二 雨松
ひさぴよ2020/11/03おすすめの短編集 #お買い得本ウチヤマユージ先生の短編集。2007〜2011年にかけてコミティアで発表された初期の5作品が収録されています。 「受賞歴なし、雑誌掲載経験なしのまま初単行本化」という売り文句が書いてありますが、同人誌でのみ発表されていた作品だけで、単行本を出すという事実が、この短編集の良さを証明しているようです。 表題作「夏の十字架」が全部で130ページあり、本の約半分を占めていて、短編としては少し長めですが、ストーリー構成が素晴らしく、あっという間に物語に引き込まれる面白さです。鬱々とした部分もありますが、読み終えたあとは何かモヤが晴れたような気分になる短編です。 他の4編も珠玉の作品ばかりで、時期によって作風・絵柄のバラつき等はありますが、単行本化にあたり加筆修正を結構されたそうで、全体を通して読みやすくなっています。 ちなみに本の価格ですが、紙の本より電子書籍(550円)で買うほうが大分安いのでお買い得です。夏の十字架ウチヤマユージ3わかる
ひさぴよ2020/11/03めちゃくちゃ可愛い小さな猫のものがたり親指ほどの小さな小さな猫が自然の中でほのぼのと暮らす漫画。セリフのない4コマ漫画で、どこか絵本のような雰囲気が漂っている作品です。 小さい生き物ってやたらと可愛く見えてしまうものですが、元から可愛い生き物がちっこくなると、これはもう反則級のカワイさになります。 小さな目に映る世界は、不思議と広い世界にいるかのように感じて、たくさんの動植物と出会いがあり、読んでいて飽きません。大人だけでなく、小さな子どもが読んでも楽しめる作品ではないでしょうか。なによりも自由奔放に生きるねこの暮らしを眺めているだけで、誰もがほっこりとした気持ちになってしまうと思うのです。 補足:「ふたまん」というサイトで連載されていましたが今でも全話が公開されてます。試し読みするのにどうぞ。 https://futabanet.jp/list/futaman/tag/%E3%81%93%E3%81%B3%E3%81%A8%E3%81%AD%E3%81%93こびとねこ相原コージ
ひさぴよ2020/11/02心あたたまる駄菓子屋マンガ週刊漫画TIMESで連載中の、とても心あたたまる駄菓子屋マンガです。たしか、連載開始は2016年頃からだったと思います。不定期連載なので、毎週読めるわけではないですが、たまに読むたびに子供の頃の駄菓子屋の思い出がよみがえってきます。東元先生の過去作「ほな、また明日」がベースになってます(そちらもおすすめ)が、今作では店番を小学生のかよちゃんが勤めています。子供が子供に駄菓子を売るというのも面白くて、しっかり者のかよちゃんの大人顔負けの発言にドキリとさせられっぱなしです。連載話は単行本化されていないので何とか本になるのを待ち望んでいます。 かよちゃんの駄菓子屋東元2わかる
ひさぴよ2020/11/01名作を超えてしまった漫画浅田次郎の短編小説「鉄道員」「ラブ・レター」の2作品を、ながやす巧先生が漫画化して1冊にまとめた作品。 究極的に美しい表現、真に迫った人物描写により、原作や映画以上の感動があります。(小説版は良くも悪くも、いつもの浅田次郎節で読んでしまって、そこまでの感動はなかったのと、映画版はもちろん良い映画なのですが、高倉健さんの存在感が強すぎるのと、広末が苦手だったのでちょっと…) 巻末あとがきにて、浅田次郎氏から作品への惜しみない賞賛が送られており、「芸術観が覆った。神ですらこれほど美しい風景は容易に造れぬであろう。」と芸術性の高さを論じています。また、「後世に残るとすれば漫画作品の方であろう」とまで言わしめてしまうから凄い。そして後年、「壬生義士伝」でもタッグを組むことになります。 電子書籍になっていない為、読むなら手に入りやすい文庫本を買うのが良いですが、できることなら単行本サイズで読みたい作品です。 鉄道員/ラブ・レター ながやす巧 浅田次郎3わかる
ひさぴよ2020/10/30×××の部分が知りたい「血だるま剣法」がずっと読みたかったのだけど、古本価格がやや高いため、なかなか手が出なかったのだが、三軒茶屋の漫画喫茶ガリレオに行った際にお店に置いてあるのを見つけたので、そこで読ませて頂いた。 実際に読んでみると凄まじく面白い作品だった。 主人公・猪子幻之助が、剣術道場で師匠を殺害するシーンから始まり、門弟たちに次々と復讐をしていく話。その理由は、幻之助の生い立ちにより差別を受けていた過去にある。 中盤までセリフには「×××」で伏せられた箇所が数多くあり、ほとんどバツで埋まっている場面もある。「×××」の部分は差別問題を表現する上で、読者に伝わらなければ理解も及ばないと思うのだが、なぜこういう事態が起きてしまうのだろうか…。 その疑問に対しては、呉智英さんによる監修&解説文が答えてくれた。時代背景や出版事情に関して、網羅的かつ切れ味鋭く説明がなされており非常に読み応えがある。Wikipediaを読んで理解した気になってたが、普通にこちらの文章を読んだ方があらましを理解しやすいと思う…。 また、山上たつひこが「血だるま剣法」のパロディをやったのが「鬼刃流転」という漫画。興味のある方はこちらも読んでみるといいだろう。 鬼刃流転―孤高の天才剣士柳左近 山上 たつひこ https://www.amazon.co.jp/dp/4838701454/ref=cm_sw_r_tw_dp_0ztcGbC84DN7K @amazonJPより 血だるま剣法・おのれらに告ぐ平田弘史1わかる
ひさぴよ2020/10/25王道の風格を感じる面白さタイトルで内容はぜんぶ説明されてますね。あらゆる人間の能力パラメーターが見えてしまう「鑑定スキル」を用いて、優秀な人材をスカウトしながら領主を目指すというお話です。 主人公は、領主を継ぐまでに優れた人材を掻き集めなければなりません。鑑定スキルを使えば楽勝〜♪と思いきや、闇雲に鑑定しても良い人材が見つからない、見つけても簡単に自分の部下にすることなどできないし、対人間同士の関係性を構築しないといけない、といった苦労があります。この人材獲得までの過程がとにかく面白いわけです。 普段あまり読まないジャンルですが、なぜここまで面白いのだろうと考えると、原作に加えて、作画の井上菜摘先生の力量が大きい気がします。 逸材”が持つポテンシャルの描き方、互いの心理描写など細かな感情表現が本当に上手くて、なによりも説得力があります。 単なる”異世界系”で括るにはもったいない、王道マンガの風格漂う作品です。転生貴族、鑑定スキルで成り上がる ~弱小領地を受け継いだので、優秀な人材を増やしていたら、最強領地になってた~JIMMY 井上菜摘 未来人A
ひさぴよ2020/10/23ユルく切れ味鋭く #完結応援童話や昔話をモチーフにして新しい解釈を加えたショートストーリー集。柘植文先生の絵のタッチがテーマによくハマってます。 こういう風に、昔話をサンプリングっぽく再構築するやつ大好きですね。 シニカルな笑いと変なオチばかりなので、タイトルの通り「子供に読ませなくてもいい」漫画なのは間違いないですが大人に限らず、おませちゃんな子供が読んでもいいと思いますね。 昔話のおかしな点をツッコんだり、現代人の生活に置き換えたりと話のバリエーションがとても豊かです。ただ、各原作のオチを意識しながら読まないと、漫画のオチの意味がわからなくなる回があったり…。その場合は最後の、”このお話のポイント”を読めば「ああ、そういうことか」となるので安心。 2巻の最後には、おまけ昔話「桃太郎と犬」が収録されていて、これがまた秀逸なお話なのでした。むか~しむかしの 子供に読ませなくてもいいお話集柘植文
ひさぴよ2020/10/23第29巻 ネコが表紙の<動物虐待編> 📷カバチ!!! -カバチタレ!3- (29) https://manba.co.jp/boards/10905/books/29 29巻は動物虐待編ということで、なんとネコが表紙に! 表紙に動物がいること自体、カバチシリーズ(というか東風孝広作品)では非常に珍しくないですか?中身的にも、ネコ好きにとって関心の高い内容なので、とてもナイスな表紙だと思います。また、東風孝広先生の描くネコが不思議なカワイさがあって、何とも味わいのある表情なのです。 今作では、ネコ好き女子高生・根子亜衣(ねこあい)と、重森さんのコンビが虐待犯を追い詰めるという、私立探偵のような展開。田村は脇役になっちゃいましたが、普段は堅物キャラの重森さんの奮闘が光り、意外な優しさが垣間見える回でした。 例によって相手側には、胸糞悪い性格の人物が登場するわけですが、動物虐待を防ぐには、器物損壊罪・動物愛護法といった法律を知らなければ、一筋縄ではいかないことが分かります。ネコ好き・動物好きの方は、興味があればこの巻だけでも読んでみてはいかがでしょうか。 カバチ!!! -カバチタレ!3-東風孝広 田島隆
ひさぴよ2020/10/05「Y氏の隣人 完全版」に期待作品のクチコミは以前こちらで書いた通り。 https://manba.co.jp/topics/25396 「幸福ノ學習社 完全版」と同様、通常版と収録内容は変わりません。 次々と吉田ひろゆき先生の作品が復刻されていますが、集英社版の「Y氏の隣人」など電子書籍ストアから消えていってるので、これはいずれ新たに完全版が出るのでしょうね。 ※もし出すなら表紙絵の色使いを何とかしてほしい所です…。 だるま心療譚 完全版吉田ひろゆき1わかる
ひさぴよ2020/10/05通常版との違いはほとんどなし紙の単行本も通常版の電子書籍も持っているので見比べてみましたが、完全版との違いは特になく、収録内容は同じでした。 価格設定は440円とお買い得です。また、KindleUnlimitedに対応しているので、そちらで読むのも良いでしょう。 作品のクチコミはこちらに書きました。 https://manba.co.jp/topics/24603 幸福ノ學習社 完全版吉田ひろゆき
ひさぴよ2020/10/03忘れてたけど、また読みたい良作思い出せない漫画コーナーを見て、「そういえば一度読んだけど忘れていて、また読みたいなぁ…」と最近思い出したのがこちらの作品。 2019年だったか、Dモーニングの連載獲得マッチにて勝ち上がり、Dモニのアプリで連載されてた漫画です。なので読んでた人は殆ど見かけないですが…。 タイトルの通り、西東京の地方新聞社を舞台に新入社員・飯盛光(いさかりひかる)が体当たりで仕事に挑む、新聞記者のお仕事を描いたマンガです。 全国ニュースになるような大事件を扱うわけではなく、地元で起きた事柄を地道に取材して記事にするのですが、取材を重ねる中で次第に地方の新聞が担っている役割を意識するようになります。 地域密着というのはこれからの社会において重要なテーマだと思いますので、そこに対しても真面目に取り組まれている漫画なのです。 「西東京」が舞台というのも良かったですね。西東京のおだやかな雰囲気がとても良く出ていました。まるっきり田舎というわけでもなく、ひたすら発展し続ける都心に近いようで遠いので「東京」と一括では語れない問題があると感じます。 主人公が何かと世話になる警察のお兄さんや、渋い上司のオジさんなど、脇を固める人物たちも記憶に残る人ばかりで、ふともう一度読みたくなる魅力がありと思います。 単行本はいまのところ出てませんが、WebサイトのコミックDAYSで読めます。 https://comic-days.com/episode/10834108156689989899むさしの新聞日記春田りょう1わかる
ひさぴよ2020/10/02ネタバレハッタリだけじゃない侠気のある勝負師ヤンマガで2006年頃に連載していた、幕末の江戸を舞台にした博打マンガ。歴史×ギャンブル漫画という感じでしょうか。勧善懲悪でスカッする作品が好きな方におすすめの漫画です。 勝負事はサイコロ、双六といった単純な勝負が多いので、細かい心理戦などは気にせず読めます。この漫画における勝負は、一にも二にもハッタリがすべてと言ってもいいほど重要なのです。 主人公の麒麟は、実に粋で気持ちの良い男で、飄々としていながら、熱い義侠心があり、命を賭けた勝負に大胆かつ冷静なハッタリを仕掛けます。麒麟がなにか仕込んでると判っていても、勝負をひっくり返す瞬間は何度見ても面白いです。終始、ドスの利いた関西弁で相手をまくしたてるのも痛快。 「人はビビッたそのときから 何が正しいかわからんようになりますねん」 という麒麟のセリフには、博徒としての生き様だけでなく、幕末という混迷の世における人間心理をも捉えているように感じます。 江戸時代の背景もきっちり描かれており、劇画ほど濃い描き方ではないものの、薄くもなく絶妙な上手さの絵柄で、そこも好きな理由の一つですね。 途中までは非常におもしろかったですが、最後の方は麒麟の良さがやや薄れてしまったのが残念でした。5巻で唐突に<第1部完>として終わります。第2部へ続くと書いてありますが…。諸刃の博徒 麒麟土屋多摩 村尾幸三
ひさぴよ2020/09/24ネタバレ完成度の高い世界観だっただけに1巻完結は勿体ない!ーーーーーーーーーーーーー以下ネタバレーーーーーーーーーーーーーーーーー 少しでも踏み込むとネタバレ感想になるので最初に言ってしまうと、神の塔=猿の惑星的なアレだったというお話です。原始世界と思わせつつ1話目から感じさせる違和感の謎が徐々に解けて、崩壊後の世界として認識した途端に終わってしまうもの悲しさ。シオミヤイルカ先生の作品は原作付きが多い中、「原始乙女と神の塔」はオリジナル作品なだけに、これはもう少し続きが読みたかったところです。あと、Kindleだけでなく他のストアでも配信してほしいです。原始乙女と神の塔シオミヤイルカ
ひさぴよ2020/09/21ご年配の方にもオススメできる漫画ですY氏の隣人以降に発表されたY氏フォーマットをそのまま受け継いでる漫画です。今作では謎の鍼灸師・だるま氏が、謎のアイテムを使って患者に治療を施し、その後の経過を見るという流れになります。 謎アイテムの出どころは不明で、もはや詳しい説明すらないのですが、訓練された吉田ひろゆきファンにとってはさほど問題ではありません。笑 一つ発見があったのは、作中に星新一の「おのぞみの結末」という本が小道具で出てきたところ。吉田ひろゆき作品には星新一のようなショートショートの影響や、アンチ・ユートピア的な要素が見られると改めて気付かされました。 「だるま心療譚」7篇の短編は、吉田ひろゆき作品としてはめずらしくバッドエンドの話が無いので悩みが解決してスッキリした気分になれます。 普段あまり漫画を読まないようなご年配の方にもオススメしやすい作品なんですよ、コレ。実際に以前わたしが整骨院に通っていた頃、ご年配の方にこの漫画を貸したことがありましたが、たいそう気に入ってくれていました。 だるま心療譚吉田ひろゆき
ひさぴよ2020/09/21とにかくカツシン話はやたらと面白い!『ブラック・ジャック創作秘話~手塚治虫の仕事場から~』を始めとした吉本浩二ノンフィクション作品であり、他の作品郡と同様、関係者の証言を元に構成された漫画。座頭市の誕生エピソードに始まり、バルテュス、篠山紀信との交流、原田美枝子、渡辺謙、松田優作などの俳優としての顔、そして中村玉緒とその家族がそれぞれの勝新太郎の思い出を語る。 カツシンの大ファンである吉本浩二氏の昭和タッチな絵柄が、勝新太郎の世界では見事にマッチしています。カツシンが好きだからこそあの作風になったのではないかとすら思えますね。あまり知られていない勝新太郎の「さみしがりや」な部分は、この漫画でしか味わえない貴重な一面ではないでしょうか。寝ても覚めても映画と芝居が大好きで、作品創りに凝りすぎたあまり制作費を膨大に使ってしまい、会社を倒産させて多額の負債を作ってしまうあたりは手塚治虫と似た所があります(苦笑)。撮影事故、大麻パンツ事件なども僅かですが触れられています。この作品だけでは語りきれないほどのエピソードがあると思いますが、晩年までの出来事が全2巻でまとまっているので読みやすい長さかと。映画好きの方にもおすすめです。カツシン~さみしがりやの天才~吉本浩二1わかる
ひさぴよ2020/09/19なんてしあわせな家庭てんかちゃんよりも、てんかちゃんを溺愛するパパとママにホッコリしてしまいました…。とにかく両親がいい人たち過ぎる!こんな幸せな家庭があって良いのか…と思いましたが、カワイイ盛りの子を持つ親って皆そういう風に見えるものかもしれません。どこにでもある家庭の、人生で最も幸せな時間を見せて貰ってる感じがします。かと思いきや、後半にやや重たいテーマも控えてたりするので、カワイイだけでなく僅かな毒もある作品です。てんてんてんかちゃん大澄剛
ひさぴよ2020/09/19異説・巌流島の決闘やっと読みました、ヤンマガ40周年読切<我漫>の永井豪回。この作品は電子版ヤンマガには収録されていないため、紙雑誌のヤンマガ読むしか方法がなむ、コミックDAYSで購読している者としては、読む機会を奪われた状態でしたので「それなら絶対に読むものか!」と半ば不貞腐れ気味な態度でいましたが、結局読まずにはいられなかった。 ”吉川英治“史観とも言うべき従来の宮本武蔵観と異なる永井豪ならではの〈鬼〉宮本武蔵。佐々木小次郎の子孫、佐々木小太郎(女性)との決闘に至るまでの異説を交えた件がこれまた面白い。 やっぱり永井豪は凄い、この読切は永久保存しなければと思った次第でした。剣の鬼永井豪 ダイナミックプロ4わかる
ひさぴよ2020/09/07怪盗パルクールじいさんやや近未来の怪盗モノ漫画。 70歳の爺さんなのにやたら足が速くて、安いモノしか盗まない泥棒、ハープが主人公です。 都会の中を縦横無尽に駆け回り、随所にパルクールのような動きが取り入れられています。 盗みを働いては刑事に追われつつも、市中の人達を助ける、言うなれば人の心を盗んでいくタイプの怪盗です。 と言っても、1話目の万引きエピソードにはややドン引きでしたが。そこ以外はハートフルな話ばかりなので、安心して読めます。爺さんのとぼけた演出がなければ、もっとスタイリッシュで格好良い漫画になってたと思います。ジジジイ GGG小山宙哉
ひさぴよ2020/09/05STONeワールド文明崩壊後の世界で生きる人類の末裔たちの海洋SFロマン。STONeの世界の海というのは、戦争によって変わり果ててしまった海が舞台になります。むさい男達ばかり登場する中、キュートな少女・ジジの活躍が光ってました。前史文明の遺物の設定や、巨大兵器、主人公ジジの生い立ちなど、ちょっと風の谷のナウシカを彷彿とさせる部分があって、アレを凶悪にしたようなダークな世界観に近い感じがしますね。おそらくヒロモト森一作品の中では一番スケールがデカくて、壮大なストーリーだと思うのですが、たった2巻でこの漫画は完結します。クライマックスまで怒涛の勢いが続き、後半は駆け足な展開になるものの、次から次へと見せ場があるので大作映画を観ている感覚で読み進められます。言わずもがなですが、作画に関しては圧倒的すぎるほど上手い。筆のような線の荒々しさだったり、迫力あるイメージボードのような見開きに、どこを切り取っても凄まじいレベル。凄すぎて、海が砂なのか水なのか最後までよく見分けがつかなかったのはここだけの話です…。STONeヒロモト森一