漫画で読む「人間失格 現代版」人間失格 古屋兎丸 太宰治六文銭太宰治の「人間失格」が人生のバイブルと言って憚らない私ですが、行間やニュアンスなど、人によってとらえ方が異なると思うので、漫画化(ないしは映像化)は非常に難しいと思っていましたが、本作は素直にすごいと思える内容でした。 最初、作者は、葉蔵を自分に重ねているのかな?と思いましたが、そうでもないっぽいですね。 表現の仕方だけでなく、ネットで小説を発見し読み進めるという導入が、単純に原作をなぞるだけではない手法に、小説で夢中になったあの頃と同様ぐいぐい引き込まれてしまいました。(原作も手記からはじまるので、現代版のオマージュだと思いますが) 人間失格がもつ、そのもののパワーを摩擦なく表現しきっている感じです。 自分は、本作で描かれる人間の醜さ・弱さもですが、何より主人公の惨めさが際立って記憶にあるので、そこをこれでもかと描かれる感じがよかったです。 良かったというか、胸にクる感じが、懐かしかったです。 コミカライズは多々あれど、原作好きにもおすすめしたい一作です。密かに応援し続けてますネコノヒー キューライス六文銭ブログで全部読めるんだけど、応援の意味もこめて出ると読んじゃいます。 個人的にダメ可愛いの最高峰です。 1巻からどんどん丸っこく、そしてダメになっていって、それもまた愛くるしいです。 また、バディ?であるしっかりものの、うさぎのテテーンとの掛け合いもいいです。 突然でてくる、テテーンとヒーの友情的な話は、なんだかわからないのだけど涙腺が緩みます。 特に、海に遭難したヒーをテテーンが救出する話とか、最高に泣けました。 ぶっちゃけ、なんでこんなゆるい絵で泣いてんだろと、我に返ることもありますが、ゆるいからこそ哀愁がすごいので、このギャップにやられてます。 前述のとおり、作者のブログでも読めるのですが、本になると流れが一気によめるから新発見もあっていいですね。 何気に全ページフルカラーなのも、すごいです。 何も考えずによめる、ゆるい日常系の4コマが好きならおすすめしたい1冊です。 ヒーの可愛さをご堪能ください。これはよい年の差ラブコメ#1巻応援りんちゃんは据え膳したい 澄田佑貴六文銭年の差の幼馴染みで、女子高生と教師という設定。 女子高生のほうが強めに矢印むいている感じで、 教師のほうが大人的にかわしたり、時にタジタジしたりする流れ。 分類的には「うざ可愛い」に入るのだろうけど、全然うざくないです。 むしろ一途な感じでよいです。 ラブもコメも偏ってなく、ほどよいバランスなのもよい。 1巻の最後は出会い編もしっかりあって、これもまた良いです。 背景がわかるのはいいです。 徐々に先生のほうが意識しはじめるのかな?とか思うと、今後の展開に期待せざるをえません。 ラブコメ好きな人にはおすすめしたい作品です。お嬢様が激辛料理で自分を罰する激辛お嬢さまは自分を罰したい 小菊路よう六文銭ちょっと何言っているかわからないかもしれないが、本当にそういう話です。 学校生活で、ちょっとしたヘマやミスで罪の意識を感じたお嬢様が、激辛料理を食べて自分を罰し戒める。 禊みたいな感じ。 それ、ただ単に激辛料理を食べたいだけじゃね? という気持ちをグッとこらえるのが、大人というものです。 激辛料理の刺激で扇情的なシーンが多々あり、主人公とのかけあいが、ほんのり百合風味なのも特徴。 全3巻とさっくり読めて、よい感じです。 お嬢様×グルメ×百合 にピンときたらおすすめしたいです。 「麒麟がくる」ロスな人に捧げたい#1巻応援カンギバンカ 恵広史 今村翔吾六文銭大河ドラマ「麒麟がくる」が終わってしまいましたね。 イチ視聴者として、控えめにいっても最高でした。 「麒麟がくる」の中で個人的に名脇役といえたのが、吉田鋼太郎演じる松永久秀。 彼の松永久秀らしい豪胆な造反っぷりが実に素晴らしかったことは記憶に新しいと思います。 本作は、そんな梟雄松永久秀を描いた歴史小説「じんかん」をベースにした漫画です。 蒼天航路における曹操のように、歴史上の悪人=本当に悪なの?みたいな話になるのかな?と思いますが、まだ1巻なので生い立ちくらいの展開。 今後が楽しみなのですが、いかんせんターゲットが狭そう(松永久秀自体、一般的に結構マイナーすよね?)なので、麒麟ブームにのっかって売れることを願うばかりです!ただ、ただ癒やされる#1巻応援ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ ナガノ六文銭(読む前)なんか、落書きみたいな絵だなぁ ↓ (読んだ後)あぁあぁあああぁぁああ かあぁああうえええええ 齢30半ばにして、精神崩壊しました。 かわいいす。 可愛い絵柄なのに、鮭とばとかビールをかっ食らうシーンが出てくるので、おっさんかよと思うも、またよし。 1ページ完結が基本ですが、たまに あれ、オチてなくない? と不安になりますが、もはや気にならなくなってきます。 可愛いは正義です。 1日1ページずつ読むのをおすすめします。リア充になりたいかー!千歳くんはラムネ瓶のなか 裕夢 ボブキャ Raemz六文銭クラスカーストなるものがある。 いわゆるバラモン的な最上位がリア充といったところで、オタクや引きこもりは最下位みたいな。 本作は、主人公が最上位のリア充で、クラスメイトの引きこもりにリア充とはなんぞやを教えていく話。 まず、これはライトノベル原作で、しかも「このライトノベルがすごい」で今年1位になったということで、ラノベ界では一定の市民権を得ていることに驚いている。 つまり、 え、ラノベ読んでいる層の方々、リア充になりたいの? と驚いたのだ。 そもそもラノベを読んでいる層とリア充とは水と油みたいなもんで、双方相容れないというか、たぶん生態系としてお互い興味関心がないんじゃないかと思っていたから。 (すいません。多分に偏見があります。自分がそうなので。) 令和の学生たちは違うのかしら?と驚いた。 と、ここまで書いていて思ったのが、 こんな感じで相容れなかった二つの種族が歩みよっているのが新しいのかもしれないと考え直した。 今までは、理解されないもの同士、対立構造(ないしは交わらない平行関係)だったのが、本作は、リア充から陰キャに対して歩み寄りともいえるコミュニケーションが生まれているのが斬新なのかもしれない。 そう考えると、今までのカテゴリにない面白さがある作品なので、ぜひ一読をしてほしい。 そうでなくても、安定運用のラノベ原作の可愛い女の子が盛りだくさんなので、そのラブコメ要素でも楽しめると思います。 しかし、スクールカーストとか、リア充がどうとか、他人にどう見られているかとか、学生時代とはなんとも生きにくいもんですね。六文銭1年以上前「葬送のフリーレン」は色んなところで取り上げられているけど、大賞とか1位にはなれていない感じ。 今年、化けて欲しい。 自由広場「2021年にくる!」と思う漫画は?3わかるゲーム好き30代にはビシビシ刺さる若ゲのいたり ゲームクリエイターの青春 田中圭一六文銭マンガにしろゲームにしろ当たり前だけど人が創っているんですよね。 それを感じさせてくれる1冊でした。 しかも、FF7、ポケモン赤緑、バーチャファイター、プレステ、逆転裁判など自分の時代にドンズバだった作品の裏話が目白押しで、読んでいて純粋にわくわくしました。 こうして、あのヒット作はつくられていたんだという背景、特に当たり前ですが一筋縄でいかないことに対して、粘り強く(時に何年、何十年もかけて)解決していったのかは並々ならぬ情熱を感じて、勇気づけられます。 どうも外(消費者の観点)からみていると、突然出てきて、すんなりヒットしているように見えてしまいますが、そんなことは全然ないんですよね。 色んな障壁がありながらも、どうしてもやりたいこと・叶えたいことがあるから、アイデアをだし少しでも前進させる執念が、今日のヒットにつながったのだと痛感しました。 また、多くのクリエイターの方がその過程で「挫折」を経験していることも意外でした。 メンバーが集まらない、能力不足でディレクターをおろされる、メーカーに拒否られる、企画を全駄目出しされる、就職に失敗したからゲームメーカーに・・・などなど。 こうした挫折を経験しながらも、腐らず、むしろそれを糧にしている姿は勇気づけられました。 良いも悪いも、全部が人生なんです。全部つながってます。 ヒット作の裏側を知るのもそうですが、そうしたものを生み出せた人間のマインド的なものも垣間見える良い作品でした。設定にやや違和感ありますが、こういう人もいるというのを知るきっかけにはなる東京貧困女子。 中村淳彦 小田原愛六文銭センセーショナルなタイトルで思わず読んでしまいました。 コロナ禍や今の世情とマッチしているかもです。 ただ、どうも登場人物の設定が嘘くさく感じました。 国立医学部にいくようなご息女は私立の中高で豊かな教育を受けている人が大半だし、しかも実家から通っているのに貧乏ってのに違和感ありました。 なにより、医学部だったらどうとでもなるだろうって。 というのも、ウチの兄が、社会人になってから医学部に入り直した人間で、わがままでやっていることだからと親も一切の援助をしませんでした。 それでも、遠く九州の地で学費+生活費(学業に専念するためという理由で借りられるらしい)で1000万近くの奨学金を借りて通った経緯があり、弟として、 アニキ、そこまで医者になりたいんだ・・・ と、感動した覚えがあります。 そんな兄も卒業して、5年経ちました。 奨学金全額返済して、今では元気いっぱいにレクサスを乗りまわしてます。 医者ってすごいなぁと思いました。 そんな感じで、医学部ならどうとでもなるし、貧困は無理があるなぁと感じました。 要は、 学業が大変な学生=医学部 →効率の良いバイトをしないといけない →風俗しかない という流れかと。 これが暇そうな学部の大学生なら「スキマでバイトしろ」と言われて終わりそうですもんね。 極端だとは思いますが、伝えるための脚色ととらえて読むと面白いかもです。 実際、学生時代、急な家庭環境の変化で清貧にあえいでいる人も周囲にいたので。 これからの日本を背負うような学生が、学びたいのに学べない状況は是正すべきだと思いますし、そのためのライフラインはあらゆる面で整備すべきだと思います。 (もっとも借りても返さない輩もいるので、一定の判断が必要ですが) 同じように「貧困男子」も取り上げてほしいですね。10巻読んで、ますますハマる血の轍 押見修造六文銭※ネタバレを含むクチコミです。甘酸っぱい青春×サスペンス青年少女よ、春を貪れ。 山田シロ彦六文銭青春時代恋愛カースト最下位みたいな男はすべからく初恋こじらせ系男子だと思っているのだが、かくいう自分もその類で、本作が語る初恋とは?の内容がビシビシ古傷をえぐってきます。 年食ってくると青臭いものが、気恥ずかしさと慣れ(その悩みはすでに自分にとって1万回目のループだ、的な)で、飽きも含めて受けつけなくなってくるのですが、本作は久々に良い感じに共感をえました。 また、青春群像劇だけでなく、ヒロインの謎の死を追う感じで、サスペンス的な要素がまたそうさせるのだと思います。 初恋も、謎といえば謎ですからね。 あの時の熱狂とかは、今思うとなんだったのか?と。 事件とともに、自分の初恋を再認識していく過程は、なかなかおもしろい試みだと思いました。 はやくも、続きが楽しみです。 « First ‹ Prev … 36 37 38 39 40 41 42 43 44 … Next › Last » もっとみる
漫画で読む「人間失格 現代版」人間失格 古屋兎丸 太宰治六文銭太宰治の「人間失格」が人生のバイブルと言って憚らない私ですが、行間やニュアンスなど、人によってとらえ方が異なると思うので、漫画化(ないしは映像化)は非常に難しいと思っていましたが、本作は素直にすごいと思える内容でした。 最初、作者は、葉蔵を自分に重ねているのかな?と思いましたが、そうでもないっぽいですね。 表現の仕方だけでなく、ネットで小説を発見し読み進めるという導入が、単純に原作をなぞるだけではない手法に、小説で夢中になったあの頃と同様ぐいぐい引き込まれてしまいました。(原作も手記からはじまるので、現代版のオマージュだと思いますが) 人間失格がもつ、そのもののパワーを摩擦なく表現しきっている感じです。 自分は、本作で描かれる人間の醜さ・弱さもですが、何より主人公の惨めさが際立って記憶にあるので、そこをこれでもかと描かれる感じがよかったです。 良かったというか、胸にクる感じが、懐かしかったです。 コミカライズは多々あれど、原作好きにもおすすめしたい一作です。密かに応援し続けてますネコノヒー キューライス六文銭ブログで全部読めるんだけど、応援の意味もこめて出ると読んじゃいます。 個人的にダメ可愛いの最高峰です。 1巻からどんどん丸っこく、そしてダメになっていって、それもまた愛くるしいです。 また、バディ?であるしっかりものの、うさぎのテテーンとの掛け合いもいいです。 突然でてくる、テテーンとヒーの友情的な話は、なんだかわからないのだけど涙腺が緩みます。 特に、海に遭難したヒーをテテーンが救出する話とか、最高に泣けました。 ぶっちゃけ、なんでこんなゆるい絵で泣いてんだろと、我に返ることもありますが、ゆるいからこそ哀愁がすごいので、このギャップにやられてます。 前述のとおり、作者のブログでも読めるのですが、本になると流れが一気によめるから新発見もあっていいですね。 何気に全ページフルカラーなのも、すごいです。 何も考えずによめる、ゆるい日常系の4コマが好きならおすすめしたい1冊です。 ヒーの可愛さをご堪能ください。これはよい年の差ラブコメ#1巻応援りんちゃんは据え膳したい 澄田佑貴六文銭年の差の幼馴染みで、女子高生と教師という設定。 女子高生のほうが強めに矢印むいている感じで、 教師のほうが大人的にかわしたり、時にタジタジしたりする流れ。 分類的には「うざ可愛い」に入るのだろうけど、全然うざくないです。 むしろ一途な感じでよいです。 ラブもコメも偏ってなく、ほどよいバランスなのもよい。 1巻の最後は出会い編もしっかりあって、これもまた良いです。 背景がわかるのはいいです。 徐々に先生のほうが意識しはじめるのかな?とか思うと、今後の展開に期待せざるをえません。 ラブコメ好きな人にはおすすめしたい作品です。お嬢様が激辛料理で自分を罰する激辛お嬢さまは自分を罰したい 小菊路よう六文銭ちょっと何言っているかわからないかもしれないが、本当にそういう話です。 学校生活で、ちょっとしたヘマやミスで罪の意識を感じたお嬢様が、激辛料理を食べて自分を罰し戒める。 禊みたいな感じ。 それ、ただ単に激辛料理を食べたいだけじゃね? という気持ちをグッとこらえるのが、大人というものです。 激辛料理の刺激で扇情的なシーンが多々あり、主人公とのかけあいが、ほんのり百合風味なのも特徴。 全3巻とさっくり読めて、よい感じです。 お嬢様×グルメ×百合 にピンときたらおすすめしたいです。 「麒麟がくる」ロスな人に捧げたい#1巻応援カンギバンカ 恵広史 今村翔吾六文銭大河ドラマ「麒麟がくる」が終わってしまいましたね。 イチ視聴者として、控えめにいっても最高でした。 「麒麟がくる」の中で個人的に名脇役といえたのが、吉田鋼太郎演じる松永久秀。 彼の松永久秀らしい豪胆な造反っぷりが実に素晴らしかったことは記憶に新しいと思います。 本作は、そんな梟雄松永久秀を描いた歴史小説「じんかん」をベースにした漫画です。 蒼天航路における曹操のように、歴史上の悪人=本当に悪なの?みたいな話になるのかな?と思いますが、まだ1巻なので生い立ちくらいの展開。 今後が楽しみなのですが、いかんせんターゲットが狭そう(松永久秀自体、一般的に結構マイナーすよね?)なので、麒麟ブームにのっかって売れることを願うばかりです!ただ、ただ癒やされる#1巻応援ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ ナガノ六文銭(読む前)なんか、落書きみたいな絵だなぁ ↓ (読んだ後)あぁあぁあああぁぁああ かあぁああうえええええ 齢30半ばにして、精神崩壊しました。 かわいいす。 可愛い絵柄なのに、鮭とばとかビールをかっ食らうシーンが出てくるので、おっさんかよと思うも、またよし。 1ページ完結が基本ですが、たまに あれ、オチてなくない? と不安になりますが、もはや気にならなくなってきます。 可愛いは正義です。 1日1ページずつ読むのをおすすめします。リア充になりたいかー!千歳くんはラムネ瓶のなか 裕夢 ボブキャ Raemz六文銭クラスカーストなるものがある。 いわゆるバラモン的な最上位がリア充といったところで、オタクや引きこもりは最下位みたいな。 本作は、主人公が最上位のリア充で、クラスメイトの引きこもりにリア充とはなんぞやを教えていく話。 まず、これはライトノベル原作で、しかも「このライトノベルがすごい」で今年1位になったということで、ラノベ界では一定の市民権を得ていることに驚いている。 つまり、 え、ラノベ読んでいる層の方々、リア充になりたいの? と驚いたのだ。 そもそもラノベを読んでいる層とリア充とは水と油みたいなもんで、双方相容れないというか、たぶん生態系としてお互い興味関心がないんじゃないかと思っていたから。 (すいません。多分に偏見があります。自分がそうなので。) 令和の学生たちは違うのかしら?と驚いた。 と、ここまで書いていて思ったのが、 こんな感じで相容れなかった二つの種族が歩みよっているのが新しいのかもしれないと考え直した。 今までは、理解されないもの同士、対立構造(ないしは交わらない平行関係)だったのが、本作は、リア充から陰キャに対して歩み寄りともいえるコミュニケーションが生まれているのが斬新なのかもしれない。 そう考えると、今までのカテゴリにない面白さがある作品なので、ぜひ一読をしてほしい。 そうでなくても、安定運用のラノベ原作の可愛い女の子が盛りだくさんなので、そのラブコメ要素でも楽しめると思います。 しかし、スクールカーストとか、リア充がどうとか、他人にどう見られているかとか、学生時代とはなんとも生きにくいもんですね。六文銭1年以上前「葬送のフリーレン」は色んなところで取り上げられているけど、大賞とか1位にはなれていない感じ。 今年、化けて欲しい。 自由広場「2021年にくる!」と思う漫画は?3わかるゲーム好き30代にはビシビシ刺さる若ゲのいたり ゲームクリエイターの青春 田中圭一六文銭マンガにしろゲームにしろ当たり前だけど人が創っているんですよね。 それを感じさせてくれる1冊でした。 しかも、FF7、ポケモン赤緑、バーチャファイター、プレステ、逆転裁判など自分の時代にドンズバだった作品の裏話が目白押しで、読んでいて純粋にわくわくしました。 こうして、あのヒット作はつくられていたんだという背景、特に当たり前ですが一筋縄でいかないことに対して、粘り強く(時に何年、何十年もかけて)解決していったのかは並々ならぬ情熱を感じて、勇気づけられます。 どうも外(消費者の観点)からみていると、突然出てきて、すんなりヒットしているように見えてしまいますが、そんなことは全然ないんですよね。 色んな障壁がありながらも、どうしてもやりたいこと・叶えたいことがあるから、アイデアをだし少しでも前進させる執念が、今日のヒットにつながったのだと痛感しました。 また、多くのクリエイターの方がその過程で「挫折」を経験していることも意外でした。 メンバーが集まらない、能力不足でディレクターをおろされる、メーカーに拒否られる、企画を全駄目出しされる、就職に失敗したからゲームメーカーに・・・などなど。 こうした挫折を経験しながらも、腐らず、むしろそれを糧にしている姿は勇気づけられました。 良いも悪いも、全部が人生なんです。全部つながってます。 ヒット作の裏側を知るのもそうですが、そうしたものを生み出せた人間のマインド的なものも垣間見える良い作品でした。設定にやや違和感ありますが、こういう人もいるというのを知るきっかけにはなる東京貧困女子。 中村淳彦 小田原愛六文銭センセーショナルなタイトルで思わず読んでしまいました。 コロナ禍や今の世情とマッチしているかもです。 ただ、どうも登場人物の設定が嘘くさく感じました。 国立医学部にいくようなご息女は私立の中高で豊かな教育を受けている人が大半だし、しかも実家から通っているのに貧乏ってのに違和感ありました。 なにより、医学部だったらどうとでもなるだろうって。 というのも、ウチの兄が、社会人になってから医学部に入り直した人間で、わがままでやっていることだからと親も一切の援助をしませんでした。 それでも、遠く九州の地で学費+生活費(学業に専念するためという理由で借りられるらしい)で1000万近くの奨学金を借りて通った経緯があり、弟として、 アニキ、そこまで医者になりたいんだ・・・ と、感動した覚えがあります。 そんな兄も卒業して、5年経ちました。 奨学金全額返済して、今では元気いっぱいにレクサスを乗りまわしてます。 医者ってすごいなぁと思いました。 そんな感じで、医学部ならどうとでもなるし、貧困は無理があるなぁと感じました。 要は、 学業が大変な学生=医学部 →効率の良いバイトをしないといけない →風俗しかない という流れかと。 これが暇そうな学部の大学生なら「スキマでバイトしろ」と言われて終わりそうですもんね。 極端だとは思いますが、伝えるための脚色ととらえて読むと面白いかもです。 実際、学生時代、急な家庭環境の変化で清貧にあえいでいる人も周囲にいたので。 これからの日本を背負うような学生が、学びたいのに学べない状況は是正すべきだと思いますし、そのためのライフラインはあらゆる面で整備すべきだと思います。 (もっとも借りても返さない輩もいるので、一定の判断が必要ですが) 同じように「貧困男子」も取り上げてほしいですね。10巻読んで、ますますハマる血の轍 押見修造六文銭※ネタバレを含むクチコミです。甘酸っぱい青春×サスペンス青年少女よ、春を貪れ。 山田シロ彦六文銭青春時代恋愛カースト最下位みたいな男はすべからく初恋こじらせ系男子だと思っているのだが、かくいう自分もその類で、本作が語る初恋とは?の内容がビシビシ古傷をえぐってきます。 年食ってくると青臭いものが、気恥ずかしさと慣れ(その悩みはすでに自分にとって1万回目のループだ、的な)で、飽きも含めて受けつけなくなってくるのですが、本作は久々に良い感じに共感をえました。 また、青春群像劇だけでなく、ヒロインの謎の死を追う感じで、サスペンス的な要素がまたそうさせるのだと思います。 初恋も、謎といえば謎ですからね。 あの時の熱狂とかは、今思うとなんだったのか?と。 事件とともに、自分の初恋を再認識していく過程は、なかなかおもしろい試みだと思いました。 はやくも、続きが楽しみです。
太宰治の「人間失格」が人生のバイブルと言って憚らない私ですが、行間やニュアンスなど、人によってとらえ方が異なると思うので、漫画化(ないしは映像化)は非常に難しいと思っていましたが、本作は素直にすごいと思える内容でした。 最初、作者は、葉蔵を自分に重ねているのかな?と思いましたが、そうでもないっぽいですね。 表現の仕方だけでなく、ネットで小説を発見し読み進めるという導入が、単純に原作をなぞるだけではない手法に、小説で夢中になったあの頃と同様ぐいぐい引き込まれてしまいました。(原作も手記からはじまるので、現代版のオマージュだと思いますが) 人間失格がもつ、そのもののパワーを摩擦なく表現しきっている感じです。 自分は、本作で描かれる人間の醜さ・弱さもですが、何より主人公の惨めさが際立って記憶にあるので、そこをこれでもかと描かれる感じがよかったです。 良かったというか、胸にクる感じが、懐かしかったです。 コミカライズは多々あれど、原作好きにもおすすめしたい一作です。