スーパーの裏でヤニ吸うふたり

こういう関係もいいね#1巻応援

スーパーの裏でヤニ吸うふたり 地主
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主人公はブラック企業の社畜中年・佐々木。 日々の癒やしは仕事帰りに立ち寄るスーパーの女性店員山田さん。 ある日、いつもの通りスーパーにいくも山田さんはおらず意気消沈。 タバコを吸おうにも喫煙所がない。 そんな中、「ここなら吸える」と従業員専用の喫煙所を案内する、少しイカツイ謎の女性・田山。 そんな感じで、佐々木と田山のタバコを吸いながらの交流がはじまるという展開。 察しの良い人はわかると思うが、佐々木の癒やしである山田さんとこの田山は同一人物。 ただ、佐々木だけはそれに気づいていない。 まぁ、ツッコミどころはさておき、この二人の関係がなんかいいなぁと思いました。 喫煙所というゆるい関係のゆるいやり取りもさることながら、正体は佐々木の想い人という仕掛けが良い感じでストーリーにメリハリをつくって、普通の日常系にはない面白さがありました。 いつもニコニコの山田さんの本性が、ちょっとヤンキー入っている田山なのもいいです。 こういうタバコミュニケーションが、減ってきましたよね。 喫煙所も、どんどんなくっていくし。 時代と逆行しているかもですが、こういう関係も改めていいなと思いました。

39歳の免許合宿 - ストーリーは自分(てめぇ)で創れ -

免許合宿の思い出

39歳の免許合宿 - ストーリーは自分(てめぇ)で創れ - ごめたん
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自分も、免許は合宿でとった口なので、タイトルから懐かしくて読んじゃいました。 またgroup_inou のファンだったので、imai氏が出ているということも動機の1つです。 免許合宿・・・経験したことある人ならわかると思いますが、異様な空気なんです。 まず、その話をさせてください。 自分は安いだけが取り柄の田舎の某県に1人で行ったのですが、なかなかのカオスでした。 まずそこにいる層が、今まで出会ったことがない人種ばかり。 特に自分はタイミングがアレだったからか、ヤンキーみたいなイカついヤバげな人達と、リストラされたのかわからないが大型免許(バスとかトラックとか)をとりにきたおじ様方、加えて、冬にいったので、ちょうど卒業間近の高校生もとりにきてたから、基本この3属性でごった返していた。 ヤンキーと初老と高校生。 そんで察しの良い方なら想像できると思いますが、そのヤンキーが女子高生に手を出したり何やりして、とにかく騒がしい。 でもね、まぁ、これは最低限わかる。 青春っぽいし。ヤンキーもいうて20代?くらいだし。 ビビったのは初老も女子高生に手を出していて、これにはさすがに白目むいた。 初老というか、もうジジイだ。 ジジイの冷水である。 そんなわけのわからん、人材交流が行われている中で、どこにも属せないパッとしない学生1人の自分が気まずい思いをしながら過ごしたのが私の免許合宿だ。 (余談だが、合宿中に学生証を1度落としてしまい、自分が東京からきたことが田舎特有の情報網で知れ渡って、女子高生たちの注目を浴び(ド田舎なので東京が珍しいから)、結果ヤンキーに無駄に絡まれたのは、また別のお話。) 前置きが長くなったが、免許合宿とはこういうところである。 本作もそんな教習所という、多種多様な人種が集う異様な空間を生々しく描いていて個人的に共感しかなかった。 特に、教官のよくわからない威圧的な態度とか、教え方のクセとか、あーあるあると思ってしまった。 どこもそうなのだろうか。 それとも教習所という多様な人間が受けにくる環境に存在し続けると、性格もああなってしまうのだろうか。 そんなことを考えてしまった。 今まで経験したことない人と環境だっただけに、何年経っても、不思議と鮮明に覚えている。 本作を読んで、懐かしさとともに、もう2度行きたくないと思いを馳せるのであった。 田舎の免許合宿いったことある人なら、わかるネタが多い作品だと思います。 行ったことない人、こういう場所なのって知りたい方は読んで損はないと思います。概ねこういう場所だと思います。 しかし、imai氏の仮免と卒検の結果がアレ(詳細は本編で!)で、それもたまげました。

みちかとまり

田島列島先生 待望の新連載!

みちかとまり 田島列島
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『水は海に向かって流れる』が、すごく好きで、自分としては数少ない著者縛りをしている作家さんだけに、この新連載は純粋に嬉しかったです。 しかも一挙2話掲載。(モーニング・ツー2022年10月号) まだイントロ段階ですがすでに面白そう。 竹やぶで生えてきた?女の子を拾った主人公。 その女の子は、なんだか普通じゃない感じで、主人公に化けたり、同級生の目玉をくり抜いたりする。 と思ったら、瞬時に場面が変わり「夢」だったのか?と感じさせるも、いや、やっぱり現実なのか?という展開が続いて揺さぶってくる。 この夢なのかファンタジーなのか、わからないまま話が進むのが、たまらないです。 同じように竹やぶに生えてきた女性もでてきて、 「人間になるのか、神様になるのかは、最初に拾った子が決める」 といったところで終了。 ぞくぞくしながら、あっという間に読んでしまいました。 特に最後、竹やぶの女の子が、人間か神かを主人公が決定させるというところ。 個人的に著者の魅力は人物描写だと思っていて、特におかれている環境(誰もが抱えているどうしようもない現実)を受け入れたり、ときに受け入れなかったりしながら、登場人物たちの変化や成長の描き方が巧みだと思っているんですね。 だから、この竹やぶから生えた女の子が、この状況下で何を感じてどう変わっていくのか、そして人間か神になるのか、楽しみでしかたないです。 おとぎ話風味なのも、絵柄とマッチしていて、すごく好きです。 今後が楽しみな作品です。

ある日突然9キロ痩せた。診断名:統合失調症

こんなことあるのかと驚きしかない

ある日突然9キロ痩せた。診断名:統合失調症 千里唱子
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表紙の衝撃から思わず手に取った本作。 統合失調症という名前は知っていたが、単純にやる気が起きないとか幻聴・幻覚とかだけかと思ったら、体重まで激減することにまず驚いた。 しかも著者曰く、食べても食べても痩せるという状況。 吐いているとかではなく、本当に食べているのに徐々に減っていく。 言い方悪いが、ちょっとしたホラー。 しかも、医者とのやり取りも、生々しくて 著者「眠れないんです」 ↓ 医者「じゃ睡眠薬だしますね」 著者「関節がイタイんです」 ↓ 医者「痛み止めだしますね」 といった流れで、アレよアレよで、1回21錠飲むはめに。 え、何この対応、と思うかもですが、実際医者なんてそんなもので著者の扱われ方に同情しかなかったです。 また、医者って原因を「ストレス」にしがちだと思うんです。 何かあるとストレス、ストレスをなくすように、とか。 著者が言うストレス減らすために「じゃあ100億くれよ」って発言は、ホントに共感しかなかったです。 ストレスがないところで悠々自適に暮らしますわって。 それができないから困っているのに、ストレスのせいってどうにもならないですよね。 といった感じで、統合失調症を軸に著者の病気との付き合い方は読んでいて思うところがたくさんありました。 最後は 無事に治った! とかではなくあっさり終わってしまったので、著者さん大丈夫なのか心配にはなります。元気であってほしいです。

おじさん、ドル活はじめました!

いくつになっても好きなものがあるっていい

おじさん、ドル活はじめました! シバタヒカリ
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純粋にそう思いました。 作品はタイトル「おじさん、ドル活はじめました!」のとおり、妻子もちのおじさんがアイドルにハマったという話。 しかも、KPOPアイドル。加えて、男性アイドルというから、ファンの中でも珍しいタイプ。 そして、同じアイドルにハマっており、その道も長いギャルのマミコを師匠として沼にハマっていくという展開。 おじさんが男性アイドルってのも少し違和感ありかもですが、何かハマっていく様は共感そのもの。 すごくいいです。 自分自身、何か強くハマったことがないので、そういう対象に出会えたこと自体羨ましいと思うし、何より推しを軸にした生活ってすごく充実してそうで憧れます。 主人公を中心としたキャラクターもすごくいいんです。 ハマっているものを隠しもせず語るという姿もなんか眩しいし、 マミコや家族との関係もすごく良い。 好きなものにハマれて、それに共感してくれる人たちがいるって、最高に幸せなんだと痛感します。 お金では絶対変えないものだと思いました。 何かにハマっている人もそうじゃない人も、ぜひ読んでほしい作品です。 自分も何か夢中になれるもの探したくなりました。

筋トレ社長

筋肉はこの世の99%の問題を解決する

筋トレ社長 たむらあやこ Testosterone
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タイトルは、本作に登場する社長が放った言葉。 ホントにそう思う。 とにかく筋肉があれば、体力がつくだけでなく、スタイルもよくなるし、何より強さを手にすれば余裕が生まれる。 そう余裕。 本作の言葉を借りれば「狩る側」の余裕だ。 イヤな職場の上司に罵詈雑言をうけても、筋肉があれば 「ゆーて、こいつワンパンだしな」 と思えて、小言もさえずりに聞こえる。 おやじ狩りの心配もない。 本作は、そんな筋肉の素晴らしさ、そのための筋トレの仕方を教えてくれる名著である。 それだけでなく、筋トレを通した人生哲学的な金言に溢れているので、筋トレにとって一番の課題であるモチベーションの維持にも役立つから最高である。 自分も今謎に筋トレにハマっている(2年ぶり110回目)ので本作がとても有効になりました。 筋トレを始めたい、体を鍛えたいという方はぜひ! 余談ですが、 なんで筋トレやるの? という質問についても、本作の中では画像のような回答をしていて、首がもげるほど共感しました。 ホントに、わからない・・・でもやらねばならない使命感がわく感じ、きっとわかってくれるはず。

アオのハコ

ラブもスポーツもいい塩梅

アオのハコ 三浦糀
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最初に自分語り申しわけないですが、小生、高校まで運動部でした。 なので、スポーツ漫画大好きなんですけど、そこに恋愛要素がゴリゴリ入ってくると、当時灰色の部活ライフだったもんで、もう羨ましくて悔しくて怨嗟で憤死しかねないんです。 なんで、スポーツ漫画で恋愛が入ってくると苦手、むしろ嫌いな部類でした。 こっち(スポーツ)は遊びじゃねーんだとか思っちゃう。 そんな自分にとって、本作はとても良い塩梅でした。 さてその内容ですが、体育館でいつも見る憧れの女子バスケ部の先輩。 ひょんなことで同居することになるのですが、ラッキースケベもなく、ごく淡々と生活は続く。 その生活の中で、先輩の人となりがわかり、より真面目に恋を意識する流れ。 憧れの人との恋心を原動力に部活を頑張る。 約束を守るためたゆまぬ努力をする。 そして結果を出し始める。 なんか、すごく青春ですよね。 下心からの努力なんて不純だと思うかもしれませんが、主人公のまっすぐな思いと、部活(バトミントン)の姿勢は、読んでいてとても清々しいです。 この手のジャンルは、ラブ要素が多かったり、スポーツ要素が多かったり偏りが気になるのですが、本作はちょうど良い塩梅でした。 憧れの先輩だけでなく、幼馴染みの娘もいい感じに入ってきて、ますます面白くなってきたので今後も楽しみです。 (部活も来年インターハイでれるのか、その点も気になる。)

恥じらう君が見たいんだ

表紙に偽りなし

恥じらう君が見たいんだ 甜米らくれ
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エチエチな作品かと思ったら、その点だけでなく、映像制作の観点でも謎に学びが多かったというのが最初の感想。 内容としては、ヒロインである夏帆(表紙の女性)は、誰かに見られていないと興奮しないある種の露出狂で、ひょんなことで主人公白沢が彼女を撮影することになる。 映画監督を父親にもつ白沢は、映像に対しても強いこだわりがあり、表面的なものでは満足せず、より彼女を淫らに興奮させるべく試行錯誤するという感じ。 歪んだ関係というか、倒錯的な愛情表現ですが、ノーマルにはないまた別の魅力があります。 途中、二人の間に女教師も現れて、ジャマをするかと思いきや色々とサービス旺盛なのもグッドです。 特に、私4巻の表紙で買ってしまったのですが、4巻の表紙可愛すぎだろと発狂せずにはいられません。(1~3巻は露骨すぎて、ちょっと) 題材に負けないくらい、画力が高いので、その点もご安心ください。 ただ上述の通り、エチエチなシーンよりも、映像制作の過程の葛藤も多いので、期待していた人はそこらへんが野暮ったく感じるかもですが、個人的には興味深く読めました。 映像とるのに、前段階で色々考える必要があるんだなぁと(バカ)

打ち切り漫画家(28歳)、パパになる。

どんな状態でも父親になるという覚悟

打ち切り漫画家(28歳)、パパになる。 富士屋カツヒト
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『しょせん他人事ですから』が控えめにいっても最高だったので、同じ作家さん縛りをしたら、『19番目のカルテ 徳重晃の問診』もこの方だと知って驚く。 両方とも、現在進行系で、今私が好きな作品。 さぞ売れっ子作家さんなのだろうなぁと思ったら、なんとこんな作品があった。 え、打ち切りマンガ家だったんだと。 タイトルの「パパになる」という部分も、気になり読んでみましたが、同じ父親として、ものすごく勇気をもらえました。 特に上記作品にある、作者の現在の活躍をみると、男は家族を背負い父親になると強くなるのか、とうなります。 さて内容ですが、主人公(=著者)は漫画家として鳴かず飛ばずななか、子供ができてしまう。 生活のために、いったん漫画家を諦め大工になるも、全く使い物にならず罵られる日々。 漫画家としての道も、数少ないチャンスはあるが一向にモノにできない。 そんな生活を詳らかに描いた実録エッセイ作品。 上述しましたが、現在の漫画家としての活躍を知らなければ胸が苦しくなる展開ばかりなのですが、知っている私は、逆にここから復活できたことに本当に勇気づけられます。 人間、何があっても、何度でも這い上がれるんだと自信を与えてくれます。 実録エッセイなだけにリアリティはさることながら、 最終話のお子さんへの思いは純粋に涙しました。 そうそう、そうなんだよ。って私は、なりました。 子をもつ父親の人は共感できる&勇気づけられる内容だと思います。

しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~

SNSの闇を知れる

しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~ 左藤真通 富士屋カツヒト 清水陽平
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SNS上の誹謗中傷によって自殺まで発展する事件をみると、他人事でありながら得も言われぬ不快感を覚えます。 実際、すごいですよね。 会ったこともない人間に対して「死ね」だの「消えろ」だの直接伝えられるとか。 恐ろしいです。 本作は、そんな被害者と法的措置をサポートする弁護士の話。 なんとも今っぽい題材で、内容自体、非常に興味深いです。 特に、誹謗中傷を書きこんだ人間の情報開示までの流れの、困難さは度肝抜きます。 また、名誉毀損にあたるあたらないなども、世間一般(というか私の尺度)よりも大分厳し目なのがびっくりしました。 そりゃ、ネット上の書き込みが何でも名誉毀損になったら裁判所はパンクするでしょうから、なんでもかんでもそうしないのはわかるのですが、どうも釈然としない。 加害者が 皆やっていることだから全く悪気がない むしろ被害者は言われて当たり前だろ みたいな態度をとる感じが、ホント胸糞悪い。 もっとも、ジャンルとしては「もやスカ」な題材なので、最終的にはきちんと成敗されるので、その点も魅力です。 読んでいてスッキリします。 ただの主婦だったり、会社員だったりが、ふとしたストレスのはけ口でしてしまう感じはSNS、現代社会の闇だなと痛感します。 余談ですが、開示請求されれば、いつどこで書き込んだかバレるようなので、会社PCでSNSとかはやめしょう。そう心に誓ったのでした。

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