六文銭2024/02/18魔女を裁く魔女と呪われた少年の物語月からやってくる魔女。 彼女たちの能力によって人類は大いに発展したが、一方で悪事を働く魔女もいて人類と魔女の間で事故が絶えない状況。 そんな、悪事を働く魔女を裁く「執行人」として派遣されたナターシャと、魔女によって呪われてしまった少年・エリオットの話。 呪いをなおすためにナターシャと契約し、基本はいわゆるパシリみたいな生活をしているが、執行人としての依頼をもらえれば2人で解決していくという流れ。 強キャラでもあるクールビューティーな大人の女性と、従順な少年のバディもので、この手の組み合わせ大好物です。 エリオットに呪いをかけた魔女は、ナターシャとも因縁深い関係だったことも1巻内で判明して、なかなか熱くなりそうな展開。 エリオットの成長も垣間みえて、守られる側から守る側へと・・・こうなるといよいよ大好物なシチュエーションになりそうな予感。 今後が楽しみな1冊です。 魔女の執行人紅木春2わかる
六文銭2024/02/18「しなのんちのいくる」の作者による自伝的エッセイ「しなのんちのいくる」が控え目にいっても最高だったので、作者にも興味が出て読んでみました。 昭和なおっさんホイホイな内容を描いていただけに、わかってはいたが著者の年齢は40代。 まず、40代でも漫画家デビューできんだと驚く。 最近だと「王様ランキング」の著者もそうでしたが、年齢とか関係なく、SNS発信でうまくいけば、デビューにつながる時代なんだなと痛感します。(もちろん、並々ならぬ努力だと思いますが) なんとも夢がある。 本作は、そんなデビューまでの苦労を描いた・・・なんてことはなく、著者のなんでもない日常や、「しなのんちのいくる」のちょっとしたネタ出しの話などが垣間見えるだけで、あんまり漫画家になるために、脱サラした際の苦渋の決断的な話は出てこない。 重くならず、ライトに読めるのも特徴。これが著者の持ち味なんだと妙に納得できる。 「しなのんちのいくる」が好きだったら、ノリが同じなので、こちらも楽しめると思います。40代 脱サラして漫画家仲曽良ハミ3わかる
六文銭2024/01/31夢という呪い📷「夢なし先生の進路指導」も、そうだったのですが、やりたいことや夢を追うこと美化しすぎる昨今に、現実を突きつける作品です。 主人公は25歳でアイドルを目指している女性。 弱冠アイドルとしての旬は過ぎている感は否めないが、それでも過去、地下アイドルだった時の高揚感が忘れられずズルズルと夢を追い続けていまに至る感じ。 そして、さるオーディションで、主人公のアイドルを諦めない姿勢 「どこまでもしがみつく根性」 の点が、プロデューサーの目にひっかかり再デビューを果たす。 が、現実はそんな甘くなく、業界人や財界人とギャラ飲みやら枕営業などを強いられるという展開。 プロデューサーが目をつけた「しがみつく根性」には「何をしてでも」という枕詞が隠されていたってオチ。 まぁ、タイトルからしてそんな予感はしてましたが、それを知った上でもなかなかエグい。 プロデューサーのセリフも、わかった上でやっているんだから鬼畜そのもの(添付参照) また主人公のバイト先に、夢を追う主人公を現実路線で冷ややかな目でみる男子大学生の対比も良い感じです。 1巻の最後がなかなかのヒキなので、続きが気になる。 そして、この枕を強要された事実を武器に文◯砲をもって裁判で闘う元アイドル的な(現代風刺的な)展開になったら、歓喜します。君は武道館に立てない多田基生4わかる
六文銭2024/01/31変態しかいない異能学園ギャグマンガ性的興奮を覚えると透明になる教師が主人公。 字面でおうと「やべー奴」っぽいが、実際は超がつくほどの真面目で、この能力を活かして学園内に起こるトラブルを解決していく展開。 「生徒の春を守る」 という、謎のミッションを掲げている正義漢。 このクソ真面目な顔と動機をしておきながら、透明になるためには当然、全裸になる必要があり、生まれたままの姿で学園内を徘徊する姿。 また童貞という特性もあって、ちょっとした刺激で興奮する滑稽さ。 ここにめっちゃハマりました。 生徒同士がいちゃこらする展開では、陰ながら全裸で見守り、随所に尻とか局部がでて、読み手が生徒の会話に集中させないのも、いとをかしです。 同じような能力をもつ人間(生徒とかで)も現れてきて、学園内の事件を解決する面もありますが、基本ギャグ路線なので、バカというよりはおバカな漫画が好きな人にはおすすめです。ハルスケルまえだたかひろ4わかる
六文銭2024/01/31『ヒナまつり』著者の新作は女子小学生と入れ替わった殺し屋の話『女子高生除霊師アカネ!』が別紙で連載していたので、てっきり移籍したかと思ってましたが、引き続きハルタでも新作が出てきたので作家ファンとしては歓喜しております。 おっさんと少女という構図は『ヒナまつり』同様だが、本作は殺し屋と家庭にトラブルを抱えた女子小学生。 それが、ある日、階段が落ちた衝撃で人格が入れ替わってしまい、女子小学生殺し屋が爆誕してしまう。 同時に、外面は強面の殺し屋だが、中身は女子小学生もできあがる。 といったように、外見と中身のギャップがすごく、全体的に絵面がシュールなのが特徴で、『ヒナまつり』同様、この作家独特の絶妙なクスリとした笑いを誘ってくれます。 (この作家さんでしか、摂取できない栄養がある気がする。) とりわけ、女子小学生のほうが、いわゆる毒親環境なので、中身が殺し屋になったことで、母親との関係をどう変化させていくのか?が気になる。 今後が楽しみな作品です。J⇔M ジェイエム大武政夫3わかる
六文銭2024/01/28流行りの異世界漫画と思って読むと火傷する1巻にして、超重厚。 異世界漫画によくあるテンプレ、読まなくてもなんとなくわかってしまう背景や設定とは全く無縁な作品。 おっさんな自分としては、 「あーこういうのが読みたかったんだよ」 と唸った。 なんというか、若年層向けな最強系や成り上がり系な異世界とは一線を画して、ハイファンタジーそのものな内容でした。 錬金術といえば、なんでもござれのご都合展開が出そうだが、そんな気配は全くなく、緻密な世界観と理論が非常に良かった。 読者置いてけぼりでもなく、丁寧に描いているのも好感触。 だからこそ、読み手を選ぶと思う。 (わかりにくい部分だけでなく、手足のないエルフの描写とか結構グロいのも多い) 惜しむらくは、個人的に弱腰な主人公が苦手なので、このあたりも今後変わってくれることを期待しちゃいます。 なんにせよ、ザ・ファンタジーな漫画を求めていたらこれをおすすめします。ニセモノの錬金術師うめ丸 杉浦次郎8わかる
六文銭2024/01/28懐かしいボンボン漫画を再読『OH!MYコンブ』でも書きましたが、コロコロよりもボンボン派だった、私ですが本作も子供の頃読んでいて懐かしくて、つい手にとってしまった。 車とかあんまり興味なかったのですが、喋る車ヘバルの可愛さと、主人公のライバル?的存在「神竜豪次」のポンコツ具合といった、全体的に子供でもわかりやすい、コミカルなギャグ展開が好きだった記憶があります。 ただ、子供の頃は ・千葉と茨城が大地震で日本から分離 ・その勢いで独立「チバラキ共和国」ができる ・チバラキ共和国の真ん中に油田がわいてでたので、大人も子供も免許がなくても車が運転できる車社会へと発展する という、設定を全く知らなくて、再読した時これが驚きでした。 茨城をフィクションの世界でチバラキとかにしているだけかと思ってました。 あと、意外と改造系や車の構造をしっかり解説しているのも驚いた。 なんにせよ、ボンボン勢には嬉し懐かしい作品。 電子書籍になっていることを全然知らなくて、そういう需要に届けば幸いです。 あと『爆風ドッジ』『ロックンゲームボーイ』あたりが電書化された日には、泣いて読みますわ。V8キッドもとはしまさひで5わかる
六文銭2024/01/26格闘も良いけど、家族愛も良い📷格闘マンガは正直あんまりな自分でしたが、本作は格闘シーンだけでなく主人公の家族愛が良くて、一気に読んでしまいました。 というのも、父親は事故で他界。 子供5人を母親が女手1つで育てる。 祖父は認知症。 そんな環境でも、主人公はそこその生活を維持するため学校でも家でも何かと穏便にすますよう、色々と耐えている状況。 認知症の祖父の介護を率先してみたり、学校でいじめられていても笑ってすます。 主人公の不憫さと家族思いの姿にグッときます。 ところがどっこい、実は、認知症の祖父はかつて「明日見流総合武術」をうみだした最強の格闘家だったようで、そんな祖父に密かに毎日稽古をつけられていた主人公。 最初はクラストメイトに誘われ見学しただけだった「MMA」のジムで火がつき、格闘家としてのセンスを開化していくという流れ。 そこから、同じく祖父に格闘技を教わるも、より強さに取り憑かれ家を出ていった兄と再会し、兄弟対決が行われる。 兄はプロの格闘家。しかもトッププロ。 2人の熾烈なバトルが描かれる、一方でそれは子供がやる兄弟喧嘩のようにもみえ、根底には兄、そして家族への思いがビンビン伝わってきて泣けます。(画像参照) 認知症の祖父を見限って、家を出たと思っている主人公。 兄は兄で、少しずつ壊れていく祖父に耐えられなかった様子は圧巻でした。 ただの格闘技マンガにはない兄弟愛・家族愛があって、そこがすごく魅力的な作品でした。 兄も主人公のことを思っている様子が随所にあって、悪いやつなんて1人もいなっかたんです。アスミカケル川田5わかる
六文銭2024/01/25『黒子のバスケ』著者の新作伝説の殺し屋の主人公が中学生になってしまい、その原因となった薬の製薬会社のお嬢様・蜜岡ノレン(同級生)から情報を聞き出そうとするも、彼女は大の男嫌い。 しかし、その製薬会社の社長(つまりノレンの父親)がノレンの婚約者に会社を譲ると発表したので学園内の男子から言い寄られる毎日。 それにゲンナリしたノレンが、中学生になる前は既婚だったこともあって、主人公に異性を感じないことから嘘のカレシになることをお願いし承諾。 結果、学園のあらゆる男子から狙われるという展開。 しかも、この学園には「ユニコーン」と呼ばれる勉強・運動・容姿、全てにおいてハイスペックな男子集団がいるらしく、彼らにも当然狙われる。 まとめると、学園バトルラブコメ的な話。 と、まぁ、ここまで書いて思ったが、まだ3巻なのに、なんとも全マシみたいな設定および展開にビビる。 『黒子のバスケ』単行本の著者コメントで「後悔ないように、最初に全部やりきってやる」みたいなこと書いていたような気がしたけど、本作もホントそれに近い。 何より、色々あるけど、ごちゃごちゃしてないのがすごい。 (文章にするとごちゃつくのに) そして、色々あるから、とにかく展開が早くて飽きない。 ショート動画に慣れて瞬間的に面白くないと判断されれば見向きもされない、この時代にあわせているのかな。 『黒子のバスケ』同様キャラづけは相変わらず秀逸で(家庭科部の部長とか)、ここも本作の魅力です。 キルアオ藤巻忠俊2わかる
六文銭2024/01/25ジャンプ少年マンガのど真ん中!と、言えるくらい、少年漫画然としている作品。 異形のキョンシーと戦うため、3人の仲間とともに道士を目指す主人公たち。 しかし道士試験は、3人の中から1名しか選ばれず、しかも一度落ちれば二度と受けられないという過酷な設定。 試験の中で3人が下した決断は・・・と、ここまでで1話。 この1話だけで「努力・友情・勝利」が見事に表現できていて、往年のジャンプ名作たちと多少の既視感はあるものの、すっごいワクワクさせてくれた。 その後のストーリーも巨悪が出てきたり、涙あり、成長ありで、決して飽きさせない展開が続いたのだが・・・今年に入って、まさかのあと4話で終わりだという。 絵も万人受けしそうな感じで、キョンシーとのバトルシーンも圧巻なのに。 残念すぎる! なんでだろうか? 主人公にクセがなさすぎたのか、ヒロインが不在だからなのか(ちなみに上記3人とも野郎。2巻から九天様がでてくるよ!)原因不明なのだが、久々に残念と思える作品でした。 いずれにせよ著者自身のファンになったので、最後まで追いきりたいし、次回作にも期待です! キョンシーX倉薗紀彦3わかる
六文銭2024/01/15幼なじみはつくれる📷「私の幼なじみになってください」 と、愛の告白のごとく関係がはじまる、主人公・相田航平と転校生・柚木楓の2人。 席も隣、家も隣というおまけつき。 この距離は、もうよくある幼なじみフラグでしかないので、あくまで「幼なじみ」として関係を深めていきます。 朝起こしにいくとか、部屋の窓ごしに会話するとか。 だけど、朝起こしにいこうとするも航平の親御さんが気になるのでいけなかったり、また意外と家と家の間が微妙に離れていて思ってたのと違うことに戸惑い、失敗することも多々。 だけど、この「幼なじみとしてのテンプレ」をこなそうと頑張る2人がとにかく可愛くて・・・良いラブコメです。 幼なじみなら、間接キスも余裕だろとジュースを交換し飲もうとするも、2人して口をつけないで飲む様に自分はやられました(添付画像参照) 『からかい上手の高木さん』が完結してロスってましたが、本作で補充されている気分なので、高木さんが好きな人はハマると思います。(萌えポイントと関係性は違いますが) 今日から始める幼なじみ帯屋ミドリ2わかる
六文銭2024/01/14サンレッドよりもヴァンプ将軍が主役っぽいアニメ化もされた本作。 タイトルが天体戦士サンレッドとあり、戦隊ものっぽくみえるが全然違います。 どちらかというと、サンレッドの敵であるヴァンプ将軍率いる「フロシャイム」の怪人がメインな作品。 というのも、サンレッドはただヒモであり、彼女からお小遣いをもらってはパチ屋で溶かし、怪人が現れれば理不尽にボコすようなチンピラみたいな存在。 一方で、「フロシャイム」は世界征服を望んでいるわりには、ヴァンプ将軍筆頭に常識人ばかり。 手紙を送って決闘申し込んだり、子供を人質にとったはいいが、夜に塾があるとわかれば親御さんに電話して送る始末。 怪人も、バイトだってする。(どうやって面接通過したのか…) 常識人というよりは、一般庶民っぽい。 ここが面白い。 怪人なのに、隣の住人の騒音に悩まされたり、悩みがほんと小市民っぽくて笑える。 一人暮らし(えてして貧乏っぽい)あるあるも多い。 だから怪人側のほうが親しみやすくて妙に憎めない。 戦隊バトルものを期待していたら残念だが、ギャグ漫画として楽しめる1冊です。 また、気に入った方は、同著者の『GOGO!ぷりん帝国』も、似たようなテイストなのでこちらもおすすめです。 天体戦士サンレッド 完全版くぼたまこと1わかる
六文銭2023/12/31エモい漫画読みたいならこれ率直にそう思いました。 エモいとか、正直、何か言っているようで何も言ってない感じがあるのですが、伝わりやすい表現なのであえて使わせていただきます。 短編集って音楽アルバムみたいなもんで全体で完成させているから、 この曲は個人的にイマイチだなー って思うようなものがあるんですが、本作はどれも外れなし。 ベストアルバムみたいな感じ。 それくらい、本当にどの話も素晴らしかった。 思春期の苦悩や葛藤とか、子供だからどうにもできない環境、それに対する稚拙なアプローチ。これらの表現が、とにかく秀逸。 しかも、そんな閉塞感だけで決して終わらせなくて、読後感はどれも最高に良い。 だから、読んでいて感傷的になったり、ノスタルジックな気分にさせてくれます。 最後の「迷子犬とわたしたち」が、自分の好きな要素(幼少期の冒険、初恋、打算のない友情など)が盛りだくさんであり、個人的にすごい好きでしたが、作者のあとがきで 「あの3人は中学に上がったらほとんど会うことはありません」 と、リアリティを突きつけられて、取り残された気分です。 まぁ、特に、小学校の出会いってそんなもんですよね・・・ その時にしかだせないからこそ、眩しく映るのでしょうから。 天国 ゴトウユキコ短編集ゴトウユキコ3わかる
六文銭2023/12/31勝つための料理を追求した男ジャンもう28年前?の漫画のようですが、めっちゃ面白かった。 タイトルに記載したとおり、当時のグルメ漫画って『美味しんぼ』や『中華一番!』など、より美味しいものを競ったりや食べる相手を満足させるための要素が強かったと思うのですが、本作はそれらとは一線を画す。 中華料理界において偉大だった祖父の教えを叩き込まれ、とにかく料理とは勝負で、彼が追求するのは勝つための料理。 美味しいとかではなく、勝つためなら何でもするということ。 ここが他の料理漫画とは違う。 最初のうちこそ、祖父のライバルだった男の店「五番町飯店」へ修行にいき、祖父から仕込まれた料理の腕を発揮して、他の料理人を圧倒したり、時に挫折したり、といったオーソドックスな少年漫画的な展開なのですが・・・・ 1巻からすでに、マジックマッシュルームを使って審査員を撹乱させるようなこともはじめていきます。 他にも上げればキリがないのですが、特に最高なのが、若手料理人選手権大会の予選課題「チャーハン」の回の時。 火力がほしいからとガス管潰して自分のところに集中させたり、あげくスプリンクラーをまわして他の料理人のチャーハンを水浸しにするんです。(自分はラップまいて、さっさとその場から逃げる) 基本的に上記であげた料理漫画で出てきたら 「絶対悪役だったろ!」 と言わんばかりの悪行がでてきます・ 料理マンガのダークヒーロー的な存在。 顔つきもドンドン悪くなっていく(気がする) 料理=幸福を与えるもの というのが、ある意味定説になっていただけに、勝つためなら何でもする、主人公の潔さが斬新な作品でした。 鉄鍋のジャン西条真二 おやまけいこ4わかる
六文銭2023/12/30激アツ漫画家マンガ久しぶりに漫画家漫画でアツイ!と思えた作品でした。 デビュー前の奮闘をリアリティたっぷりに描いたとかではなく、ひょんなことで、メジャー作家とアシスタントの肉体が入れ替わってしまう、ちょっとファンタジーが入った作品。 これがまず面白い。 そのアシスタント・深山忍は「カメレオン」の異名のとおり「模倣」が得意。 だから、入れ替わったとしても、元々の作家と近しいものができてくる。 なのでメジャー作家と入れ替わったとしても、ソツなくこなしていく。 かたや、メジャー作家・花神臥龍は、無名の漫画家に成り「下がって」しまい、知名度も実績も失った中から這い上がっていくしかない状況。 ここで大抵の凡人なら意気消沈しそうですが、 自分のヒット作に挑戦できる、そして、それ以上のヒットをつくる と燃える姿が、純粋にアツイです。 また、編集者もカッコよい。 カメレオンが、入れ替わってから再デビューしようとしている花神臥龍を同じ雑誌に掲載させないよう、いわゆる「潰し」を働こうとしたとき、いつもの展開だと、大御所作家の言い分に編集がコビうる感じになりそうだが、 「作品を活かすことが編集の仕事」 と、休載や他誌への移籍をちらつかされようとも屈しないシーンがめっちゃカッコよかったです。 漫画を読んだ時の感動の脚色とか、わかりやすい敵対構図、底抜けに明るい主人公が、THE少年漫画という感じで、自分にとって斬新でした。 (漫画家漫画って、どちらかというと人生の酸いも甘いも表現できる青年漫画が多い印象なので)龍とカメレオン石山諒5わかる
六文銭2023/12/30痛みを感じない運び屋ある時から痛みを感じない主人公イヌイ。 彼が営むのは運び屋という、ある人をあるところまで運ぶというもの。 その運ぶ人も大抵、裏社会系のやばい人やわけありの人だったりするので、当然何らかの抗争に巻き込まれていくというのが基本展開。 作中にも出てきた 「痛みを感じないからこそ躊躇がない」 という点が、妙に納得した。 確かに、多少の良心というか、相手の痛みに対する想像力というかが働くと、無意識に手加減をしてしまうものだが、全力でフルスイングできてしまうのも自分が感じないからできることだというのが、面白かった。 ある意味、最強の特性なのかも。 ただ、当然人間なので、出血が一定以上になると機能停止とかは普通にあるので、そのあたりも計算しながらバトルしていく感じ。 運び屋として依頼され、1000年に1人の美少女と噂されている女子高生ココアと出会い、彼女のおかれている環境やどういう思いでAV業界に自らいくのかの強い意思を目の当たりにし、無感情だったイヌイも変わっていく。 強い女性と朴訥な男、この手のパターンも、自分はわりかし好きなのでハマりました。 痛みを感じないので、バトルシーンの流血とかすごく、特に内蔵でたりとか結構グロい描写が多いので苦手な方は注意が必要かも。運びの犬清水ヤスヲミ2わかる
六文銭2023/12/22「銀の匙」の原体験的な作品『銀の匙』の著者であり、『銀の匙』→本作という流れで読んだ身としては、漫画がリアルになった感じです。 『銀の匙』のエピソードって一部脚色ありのフィクションかな?程度で読んでいたのですが、どっこい、本作を読むとリアルのほうがもっとキツイ&生々しいのにたまげました。 あ、あの話マジなんだ と、謎の説得力が増す。 そんな副読本として読んでも面白い作品でした。 農業、畜産の過酷さ。 特に、家畜を動物ではなく食料としてとらえて処理していく姿は、そんな感情はエゴだとわかっていても、胸にクルものがある。 時に面白おかしく、あっさりと書いているけど、だからこそ、読んでいて行間に残るものがある。 ただ切々滔々と農業の過酷さやエグさを語られるよりも、よっぽど残る。 普段の食卓にのる食材はすべて、農家の方々のおかげなんだとあらためて感謝したくなる、そんな本でした。 読みやすいし、小さい子供の食育にもいいんじゃないか?と思いました。百姓貴族荒川弘5わかる
六文銭2023/12/21これぞ王道ラブコメモテまくる美女モナちゃんだが、クラスメイトの黒岩メダカだけはまったくなびかない。 仏門の身で修行中だからとか、そんな理由なのだが、煩悩に翻弄されないよう目つき悪く睨むことで耐えている。 誰も彼もに、ちやほやされていた彼女にとって、その態度が気に食わないから、彼女の心に火が点いて・・・という展開。 どんな男からも惚れられたいという神経は全く理解できず、むしろイヤなキャラになりそうなものだが、なぜか彼女だけは許せちゃうから不思議。 心の声が関西弁なのが、面白おかしくなっているのも理由なのかも。 あざといし、お色気作戦もやったり、なんでそこまで?と思わなくもないが、奮闘して基本失敗していく様は可愛い。 ライバルなんかもでてきて、別に好きでもないと言い張りながらも、焦る様も可愛い。 黒岩メダカも、男版ツンデレともいえる、時折デレて距離感が縮まっていく様もいいです。 もう好き同士でしょ? と野暮ったいことも言いたくなるが、そんなツッコミは抜きにして、ラブコメはこれくらい軽いほうが、個人的には好みだったりします。 THE・少年漫画のラブコメという感じです。黒岩メダカに私の可愛いが通じない久世蘭2わかる
六文銭2023/12/20追放された不遇主人公が最強になるまでの話いわゆる、勇者パーティーに追放されたけど、実はすごいスキルの持ち主だった的なお話。 元々は、剣を使うアタッカーだった主人公。 勇者パーティーでの構成を考えて付与術師という支援系のジョブにコンバートしたが、能力があまり認められず追放されるという流れ。 剣も魔法もそこそここなせる器用貧乏的な立ち位置で、何か特化していないことが扱いにくく、途中からのジョブチェンジによる能力も微妙だったとか、そういう感じ。 ソロで活動していると冒険者の教育役の依頼を受け、そこから冒険者のギルド的な組織との派閥争いなども展開されて、持ち前の能力で立ち回っていく。 最初のほうに色々伏線があって、気になりながらも、ストーリーがわかりやすくすすむのが個人的によかったです。 これ系の話って、世界観の話とか、冒頭にごちゃごちゃしがちなので、そういうのもなくスンナリ読めたのがよかった。 キャラも可愛いし、バトルも意外とアツイ。 大きなくくりでは、ゲームの世界に類似した異世界ものですが、バトル・ラブコメ的なものとしても楽しめる作品だと思います。勇者パーティを追い出された器用貧乏 ~パーティ事情で付与術士をやっていた剣士、万能へと至る~よねぞう2わかる
六文銭2023/12/18イケメン女子とのイチャラブ幼馴染の高身長なイケメン女子 学園内でも「王子」として女子にモテる彼女。 このイケメン女子に、幼馴染という距離関を使って冴えない主人公がモテる秘訣を教わるという流れ。 だけど、このイケメン女子は、実は主人公のことが好きで、教えると言いながらも、教えたことを実践する主人公にテレて終わる展開。 結局、イチャラブかよ! と憤死するのをグッとこらえて、読みすすめると、これがなかなかかわいい。 最初、主人公が奥手かと思うが、イケメン女子も中々の奥手で、特に好きな人を前だと普段のイケメンが出ずに赤面する様もグッドです。 主人公も、幼馴染だから女性として意識しないとかはなく、思春期の情動をダムと称して毎度決壊していく様も、いとをかしです。 ただの可愛いじゃない、イケメン女子とのイチャラブをぜひお楽しみください。王子様の友達すけろく1わかる
六文銭2023/12/15自炊からはじまる再生の物語長年連れ添った料理上手の彼女。 その料理に対して、褒めつつも、余計な一言をいつも言う主人公。 全体的に茶色いとか、顆粒だしはありえないとか。 そんなこだわる割には、自分では料理なんてしたことすらないという体たらく。 この時点で昭和なオヤジでモラハラ感が満載なんですが、記念日に狙ったかのようにプロポーズをするも、彼女から 「んー無理」 とフラれる。(当然) そこから、自分の何が悪かったのか? を同僚のアドバイスを通して、変わっていこうとする話。 手始めに自身の好物である筑前煮をつくってみると、その難しさに発狂。 いつも彩り豊かに手際よくつくっていた彼女の偉大さに気づく。 そこから思い出を頼りに少しずつ自分でも料理をはじめていく流れ。 今まで自分の価値観で空気の読めない発言ばかりしていた主人公が、他者の価値観に触れて自分を見つめ直し改めていく姿が純粋に尊敬した。 年食うと、変わるのってホント大変だから。 また彼女がフッた理由も、主人公のモラハラだけではなく、意外と深い。 自分らしく生きたいと思いながらも、他人と折り合いをつけるのって難しいだけに、そこで誰もが悩むんだと思う。 読んでて自分自身も考え直すきっかけになった。 タイトルから最初読んだときは、ただのモラハラ男の別れ話かと思ったが、大事なもののために自ら変わろうとする人間の葛藤を描いていて、素晴らしかったです。じゃあ、あんたが作ってみろよ谷口菜津子11わかる
六文銭2023/12/13転生しても元の世界とつながる復讐劇転生ものって大体、現実世界がうまくいかなくて、リセットされた異世界で心機一転の生活を送るものだと思ってましたが、本作は違い、そこが新しく感じました。 タイトル、豚の復讐とあるように、学校で「豚」として同級生から凄惨ないじめをうけていた主人公が、ある日転生して異世界へ。 容姿がオークに似ていたことからか親しくなり、オークの村で平穏な生活を送る。 ここまではいつもの異世界モノ。 が、しかし、その平穏を壊したのは、なんとかつての同級生。 彼らもまた異世界にきており、しかも転生の際に得た特殊能力で「勇者」としてたたえられ好き放題している感じ。 そこから主人公とオークの復讐がはじまる、という展開。 (ちなみに主人公の能力は?となっている。) 結構グロい描写も多々あるので、その点は読む際にご注意ください。 どうやってクラスメイトたち、特に黒幕である安田に立ち向かっていくのか?だけでなく、主人公がいじめられた背景・理由がなんだったのか?とか、ちょっとした謎もあって気になります。 あとクラスメイトが絵に描いたようなクズばかりなので復讐される様は、スカッとします。 転生しても、前の世界の因縁と繋がっており、単純な現実逃避になっていない、むしろ異世界でできた仲間と立ち向かっていく様が個人的によかったです。豚の復讐黒田高祥 仁藤砂雨6わかる
六文銭2023/11/30寺門ジモンの見方が変わるダチョウ倶楽部のメンバーの1人寺門ジモンにこんな側面があったなんて全然知らなかった。 それが知れる唯一の作品です。(そんな需要があるのか、わかりませんが) タイトルにネイチャーとあるように、とにかく彼は自然をこよなく愛し、グルメ的な側面でも(主に肉を)ウンチクとともに食べるシーンがもりだくさん。 ウンチクがとにかくスゴイ長い。 特に、データとかで裏をとっているわけではなさそうだが、妙に説得力があるのも特徴。 肉の描写もワイルドかつ美味しそうで、食べたくなるのも本作の魅力です。 総じて、おっさん向けの内容だと思います。 常日頃、趣味や好きなものを追求している人って魅力的だと思っていたので、寺門ジモンの魅力を再発見しました。 永く愛される(?)理由はここにあるのか?と思うぐらい、寺門ジモンの人間としての濃さを感じれる1冊です。ネイチャージモン刃森尊 寺門ジモン4わかる
六文銭2023/11/28ドラマ的展開にハマる非常に読みやすい作品でした。 というのは、 ・設定が複雑ではない ・けれど謎があって次が気になる展開 ・わかりやすくエロい の3点があって、飽きることなくスイスイ読めた。 内容は、冤罪で自暴自棄になった主人公が、ふとテレビに映った蟹に思いを馳せ、蟹を食べてから死のうと決意。 とあるセレブな人妻を襲い、なぜかその人妻も蟹を食べることに同調し、北海道まで一緒にいくことになる・・・という流れ。 この人妻の真意が物語のキーになっており、蟹を食べること、また本作のタイトルについても徐々に明らかになっていきます。 この謎多き人妻の美女に、引き込まれます。 主人公はダメ男なのですが、それも妙に愛嬌があって良いです。 ドラマ?になったようですが、映像映えするようなシーンも多々あって、非常に実写向きな作品だとも思いました。 ぜひ一気ヨミ推奨です。 雪女と蟹を食うGino08083わかる