あうしぃ@カワイイマンガ2022/06/22援交と強請りと"正しさ" #1巻応援成績二位の女子と一位の風紀委員女子の物語は、風紀委員の「援交(女性相手)」をネタに二位の主人公が強請る、というかなりダーティーな始まりで、最初はあまり気持ちの良いものではない。 しかし読み進めてゆくうちに、次第に二人のバックグラウンドが分かり、二人が少しずつ関わり会話をするうちに、互いを知り、理解し合う。そんな真っ当なやり取りは、次第に心地良いものになってゆく。 二人の言う事は、どちらもある程度正しい。立場の違いが二人を遠ざけ、境遇の違いが理解を阻害し憎しみを掻き立て、挑発し軽蔑をぶつけ合う。しかし関わるうちに、二人とも己の「正しさ」に歪みがある事に少しずつ気付く。歪みを知り素直になる瞬間、目が覚める心地良さがある。 どうやら二人とも、苦しい境遇があるようだ。風紀委員の内実はなかなか見えてこないが、どこか投げやり。彼女の真実に近づいた時……その切実さに触れた主人公は踏み込んでしまう、そんな予感がある。「踏み込む」の中には、きっと身体的接近も含まれるのだろう。スピカをつかまえて織日ちひろ2わかる
あうしぃ@カワイイマンガ2022/06/19ポリアモリーと嫉妬 #1巻応援本作の重要ポイントとして「ポリアモリー」がある事は、明言しておきたい。何故なら、まだあまり知られていないこの恋愛の形について、きちんと知られて欲しいから。 ポリアモリーとは「複数人数の間で結ばれる恋愛関係」の事だが、二股・不倫と違うのは、全ての関与者に関係をオープンにして、全員の合意を得る事を重視する点。 本作はウェディングプランナーの女性が、式場見学に来た新婦と恋に落ちる物語。この新婦が、実はポリアモリー的恋愛指向の持ち主。 既に夫を含めたポリアモリー関係を築いている新婦。彼女は「嫉妬」という感情を知らない。彼女と繋がる人達も、関係には同意しているが、内心はそれぞれのようだ。そして主人公は、彼女に恋する事で、嫉妬心も抱く。 1巻を読み終えて、全身がこわばっている事に気付く。否応無く落ちる恋、複雑な嫉妬心、職業倫理の間で揺れる主人公に、平穏が訪れる感じがしない。その先にあるのは、破壊か創造か……とにかく私の感情などどうでもいいので、続きが、結末が気になる。 ポリアモリーの実践者にとって「嫉妬」のコントロールは重要らしい。既に嫉妬している主人公は、それと折り合いをつけてこの関係に入っていくのか、それとも……いや、これはとても予測がつかない。イベリスの花嫁秋山はる4わかる
あうしぃ@カワイイマンガ2022/06/17笑顔×笑顔のロマンシス #1巻応援笑顔の人に、癒されたい。いつも同じ笑顔で、何を言っても動じず受け止めて慰めてくれる、そんな人に相談事をしたい……勝手な願望だって分かってる。受け止める人にも色々あるから、なかなかそうはいかないですよね? でも、もしその「笑顔」が二人いたら……? 本作の主人公は、作り笑いが崩れない人。努力で培った笑顔で人を安心させるけれど、打ち解けているわけではない。 そこに転勤で現れる、もうひとりの笑顔。彼女の笑顔は自然体。ポジティブで、誰とでもすぐに打ち解ける。 出来る二人は頼れるパートナーとして、総務やお悩み相談などに共に取り組み、社内の信頼を高める。そして二人の間でも色々あって……。 互いのダメな所を受け入れ合い、互いを認め信頼し合い、二人の笑顔は強度を増す。その笑顔は以前と変わらないけれども安定していて、きっと心からの笑顔。そんな安心感と胸の高鳴りに満ちた社会人バディ・ロマンシス、疲れた人に沁みるはず!淑女の笑顔は崩れません佐野妙4わかる
あうしぃ@カワイイマンガ2022/06/15繰り返す時、はじめての友達 #1巻応援タイムループというものが、こんなにも切ないという事に驚かされる。 主人公だけが同じ日を何度も繰り返す。取り残される悲しみは絶望的だ。以前の記憶がある事が意外にも、彼女を孤立させる。とことん孤独な彼女の心の奥にはいつも、凍りついた痛みが見える。 そんな主人公のうんざりする日常に、安定した友人となる女子が現れる。また親戚の一人は主人公を理解して寄り添っている。この二人によって救われている彼女は、二人にどうしても過剰な想いを拗らせてしまう。静かな画面に響く、ときめく彼女の心音を共有する心地よさ。 物語は残酷だ。タイムループは非現実的な事象だが、彼女の孤独には現実的に共感できる。「将来魔女になる」友人がSFとしても百合としても、想像もつかない高次元の極みで主人公を救う時を期待したい。忘れえぬ魔女の物語宇佐楢春 やまだしゅら かも仮面2わかる
あうしぃ@カワイイマンガ2022/06/13大正モダン×退魔百合 #1巻応援大正の女学校を舞台に、心の歪みから生まれる「鬼」を払うバディ百合は派手な表現が楽しい。 美しい女性達の表現、煌めく世界、躍動するバトル……その中でひときわ異様なのは「鬼」の描かれ方。 心の歪みから生まれる鬼は、現代絵画の抽象画のように描かれる。それは伝統的な鬼の表現よりも、狂気を感じさせる。 そして鬼の生まれた理由を思うと、とても切ない。寄宿舎で蔓延する霊障は、いずれも女学生達が何らかの「想い」を募らせて起こる。そこには闇のエスがある。 一方で、学園の支配人として来た洋装の令嬢は、鬼を退治に来た四重人格の少女と、戦いや生活を共にしながら関係をスタートさせる。真っ直ぐな気性の令嬢が、それぞれの人格とどう関係を深めるのか……個性的な四人格それぞれに魅力的で、バディ物としても百合としても、今後が楽しみだ。モダン†ロマネスコきくらげ1わかる
あうしぃ@カワイイマンガ2022/05/28柔らかな青春の痛み #1巻応援 #完結応援絵が目に触れてくる。それはとても豊かな体験だ。カバーのデザインから目に嬉しい。そしてどのページも、質感で充実している。 緻密なペン画で描かれる背景には、リアリティと台北の湿度がある。大胆な白地とのコントラストが生み出す気持ち良い光景。 そしてそのペン画で描かれる人物は、手を伸ばせば触れられそうだ。漫画的表現のまま実態を持った人物、その内面描写はナイーブで、儚げな表情に心を持っていかれる。 描かれる現状への落ち着かなさ、制御できない恋と自意識、そんなものであてどなく彷徨い続ける様子は、私の知る限りだと『神戸在住』の主人公のような不安定さだ。 音楽の感じ方、細野晴臣への信仰告白のような強い思いの表出、行き場なくかすかに震える初々しい感性……この青春の手触りは、柔らかいけれど、刺すように痛い。緑の歌 - 収集群風 -高妍8わかる
あうしぃ@カワイイマンガ2022/05/22ママは百合同人作家妹だーい好きな変態JKと鈍感な妹を中心とした百合ギャグ漫画の本作で、私がいちばん好きなキャラは、姉妹のお母さんです。 姉妹の仲が良すぎる事に疑念を持ち、観察を始めるお母さんは、その過程で封印していた過去を思い出します。 その過去とは、自分が「百合同人作家」であった事。 自分の娘達から百合妄想が止められないお母さんは、いけないと思いつつ湧き上がる妄想を原稿用紙にぶつける。姉妹を覗き見し、聞き耳を立てるお母さんは、決して百合に介入しないし親としてはちゃんとしている一方で、親の仮面の下に一匹の百合創作者を飼っているのです。 3巻の後半、お母さんの元に届く荷物に、爆笑と共に謎の感慨が! #マンバ読書会 #いいお母さんシスコンお姉ちゃんと気にしない妹桐灰きねそ2わかる
あうしぃ@カワイイマンガ2022/05/22母を、娘を呼ぶ声切なく百合分野で力のある作家達が、中村たいやき先生という「親子百合」分野のスペシャリティのもとに集まったアンソロジー。様々な内容の作品にはプリミティブな感情が共通して存在しています。 娘が母に抱く、お母さん・ママと呼び求める幼いままの愛着。そして母が娘に最初に抱く、小さな命を慈しむ感情。それが「恋」になるとは多くの人は思わないから「近親者となんて」と眉をひそめる。 しかし、百合好きなら皆「当たり前」なんて無いと知っている。だから普遍的な親子の情が「恋愛」に否応なくなだれ込むのも、柔軟な心で受け入れる……のかもしれません。 受け入れればそこには、強い感情と近すぎる距離感がある。背徳感も安心感も何もかもが強すぎる。私は一つひとつの物語から母を、娘を乞い、思わず呼ぶ声を聞いて胸が締め付けられるのでした。 #マンバ読書会 #いいお母さんMy Sweet Home平尾アウリ よしむらかな 春日沙生 奥たまむし ねが tMnR 中村たいやき みさき天夢 生肉 りおん2わかる
あうしぃ@カワイイマンガ2022/05/20大きなあくびと癒しの物語「過労死したOLが魔法世界に転生したら、聖女の才能を見出されたので睡眠は確保しながら大聖女を目指す!」長いタイトルにしたらこんな感じ? 睡眠確保、が大事なところ。主人公の聖女見習いは過労死の過去を繰り返すまいと、とにかく眠りを追求。昼寝、居眠りと欲望に忠実。いつでも眠そうな様子に、穏やかな気持ちになる。 魔法世界の人々も同じように感じるらしく、彼女は膨大な魔力も相まって、次第に癒しの聖女として人気者になる。めんどくさがりなようでいて、人の辛さに寄り添い、癒そうと力を尽くす優しい主人公の姿が、癒しそのもの。 彼女が魔力を放つ時、世界が輝き、尊さが溢れる。そして大きなあくびに、「あの子だからなぁ」という謎の和みが発生する。あぁ、楽しい! そんな癒し系主人公は、実はまだ8歳。彼女に仕えるメイドさん、いつの間にか面倒を見ている級友の、三人の少女たちが努力したり協力したり、美味しいものを食べたり……そして三人で添い寝する。あ……愛らしい。 深く考えずに愛らしさと癒しを得たい時に、羽毛布団に潜り込むように、この世界観に浸りたくなる。現世を生きるのに向いてないと感じる、あなたと私のための作品です。昼寝しよ。転生大聖女の異世界のんびり紀行キダニエル 四葉夕卜2わかる
あうしぃ@カワイイマンガ2022/05/19カプを推しても推さなくても女子中学生たちのさまざまな関係を描き、キレッキレのギャグの中にエモさを散りばめて楽しいこの作品。 『ゆるゆり』といえばカップリング(カプ、CP)なのですが、この作品の面白さは、カプが必ずしも固定ではないこと。下の表を見ると、一人に数組のカプが見出されていることが分かります。 https://dic.pixiv.net/a/ゆるゆりカップリング一覧 カプ論争を楽しむ人も多いですが、そのカプは決して読者の妄想ではなく、作者が作中で匂わせている、きちんと文脈があるもの。 極端なのは歳納京子。彼女は誰とでもグイグイ仲良くなるので、基本の杉浦綾乃、船見結衣、吉川ちなつ(基本が多いな)以外にもあらゆる女子とのカプ可能性を秘めてしまう。 固定カプとみなされがちな大室櫻子×古谷向日葵それぞれにも、他のカプ可能性が見出されている。 そして超重要(個人的見解です)なのは「あかり総受け」概念。誰にでも優しい赤座あかりは、対する人全てと温かな関係を築いてしまう。 ここで固定カプ概念は崩壊します。そこではあるカプを選んでその進展を妄想しても良いし、毎話生まれる新たな関係可能性・感情を全て楽しんでも良い。もちろん単に「女子しか出ないギャグ漫画」としても楽しめる。 「推し活」を楽しんでも良いし、そこから離れて楽しんでも良い。読者のあらゆる楽しみ方を肯定する楽しい、とにかく楽しい作品なのです。 誰でも楽しめてギャグも面白くキャラもカワイイ、非の打ち所がない本作。どうぞ気楽に読みはじめてください。そして読んだらぜひ、好きなカプの話でもそれ以外でも、コメントやクチコミしてくださいね。 ちなみに私は教師の西垣×生徒会長の松本りせが好きです(2022.11.10追記:ここは「固定cpかよ!」とツッコむところですよ〜)ゆるゆりなもり2わかる
あうしぃ@カワイイマンガ2022/05/18百合営業とバックヤード(祝アニメ化!)舞台の仮面を外す時。人に見せたくない素顔が晒される時……一度は目を閉ざしながら、薄目を開けて見てしまう。 辛さと、少しのワクワクと、剥き出しの生々しい本性への感動。 そんなもの、欲しくないですか? ★★★★★ 本作の舞台は、ミッション系女子校の来校者をもてなす喫茶室……というコンセプトのカフェ。そこで給仕を担当する在校生……も、もちろんバイト。 働く女子たちは学校の姉妹制度のもと、関係を紡いでゆく……という芝居を、百合オタクの客に見せるまでが仕事。つまり百合営業が仕事、というわけです。 ここで重要なのは、カフェにはバックヤードがある、ということ。 主人公の陽芽は、外面の良さで人を騙し続ける人。彼女の姉となる美月は、フロアでは優しいのに裏では陽芽にキツく当たる。そんな二人の関係を陽芽の事が大好きな果乃子が不安視し、さらにこの三人を古参の純加が心配する、という構図。 四人の思いは、表と裏への猜疑心で乱れ、不安は増し、そして破裂する。何度も繰り返されるそのサイクルは、時に相互理解を促し、時に決裂を生む。表での美しいやり取りの分、バックヤードでみっともなく足掻く苦悩に、みっともなさの分だけ同調してしまう。その苦悩、私も持っている、と。 現実では自分の心を曝け出し、受け入れられるのは大変なので、私は見せたくない内面を隠す。だからたとえ創作でも、己を曝け出すやり取りに、心惹かれる。彼女たちが「人に好かれたい」気持ちで起こすやり取りは、たとえ苦しくても一つひとつが尊いと感じるのです。私の百合はお仕事です!未幡2わかる
あうしぃ@カワイイマンガ2022/05/17孤児の少女と孤独な絵本作家コミックウォーカーの #台湾コミックはじめました という企画で連載されている四作品のうちの一つ。優しく切ない物語に、序盤早くも涙しました。 孤児の少女は、好きな絵本作家のサイン会をきっかけに、オオカミの被り物をした作家男性と交流を持つ。 瀕死の弟に寄り添う少女に、創作でようやく人と繋がる作家は少しずつ心開く。周囲のアシストで少しずつ殻のとれてゆく二人が切ない。 全体的に愛らしい作画の中に、作家の暗い画風、絵を描くのが好きな少女の素朴な画風と広がる想像力が取り合わされ、世界観が広がる感覚があります。どんな切なさも、きっと優しく解決されると信じて、先を待ちたいところです。 https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_CW01203000010000_68/ヘレナとオオカミさん布里斯3わかる
あうしぃ@カワイイマンガ2022/05/17高校生、猫妖怪と同化!?コミックウォーカーの #台湾コミックはじめました という企画で連載されている四作品のうちの一つ。カッコいいアクション×妖怪・怪異物が楽しめます。 人生ダメダメ、お先真っ暗な高校生男子が、猫の怪異と出会い、同化する事で強運と脅威の能力を獲得する。これで人生一発逆転……とはいかないのが悲しいところ。 何しろ猫の思惑が分からず、人間界のルール完全無視で突っ走る猫に、高校生は翻弄される。どうにか折り合いをつけようとするものの、猫の背景にあるものに……やっぱり巻き込まれるんだろうなぁ。 猫や宗教施設らしきものなど、台湾的なバックグラウンドがあるのかどうか、モチーフに解説が欲しいところ。先行きが読めない不思議物語、続きを早く! https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_CW01202998010000_68/猫妖傳艾莉柚
あうしぃ@カワイイマンガ2022/05/17世界は優しい彼らに優しくないコミックウォーカーの #台湾コミックはじめました という企画で連載されている四作品のうちの一つ。残酷な世界を生きる高校二年生の感性に、切ない気持ちになる作品です。 人の心を敏感に感じ取ってしまう少年は、家族と離れ一人暮らし。人とつるまない彼だが唯一、優しくて誰を拒むことのない少年の事は気にかける。 人の残酷さを知り、互いの優しさを知り、互いを気にかける二人。周囲との距離の取り方は違い、全然別人に見える二人が、人には見えない部分で分かり合っている。繊細で息苦しいが、その優しさに深く同意してしまう、そんな作品です。 その優しさでもって、一人の切ない同級生の少女と関わる時……この先は連載を追ってみてください。 https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_CW01202999010000_68/殤否 僕らの世界のつくりかたGene1わかる
あうしぃ@カワイイマンガ2022/05/17アリスwithバイオレンス!コミックウォーカーの #台湾コミックはじめました という企画で、コミックウォーカー内で台湾コミック四作品の連載が始まりましたので、それらのクチコミを書いてみます。 本作は有名なアリスシリーズの続編のような形をとっている。成長したアリスの元へ、幻鏡の国から助けを求めてウサギが現れる。 機械の国から侵略を受けていると言うウサギ。襲い来るロボット達と、自然豊かで魔力的な力を使う幻鏡の国の対比も面白いのですが、そこに参戦するアリスの……何というか捻くれたというか……非常に暴力的な様子が面白くて、かえって可愛かったりする。 ジャンプ的勢いのあるアクション、巨女要素も加わり、楽しさ満点!アリスの「カ・イ・カ・ン」とか言い出しかねない快進撃を見に行ってほしいです! https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_CW01202997010000_68/機械の国のアリスHambuck1わかる
あうしぃ@カワイイマンガ2022/05/15ひとりで満たされるために #1巻応援人といる時の同調圧力とか気遣いとかを、たいていは嫌だと思う。それというのも「自分が大切にされていない」と感じるからですよね。まずは自分ひとりを、きちんと満たしてこそ、他人に気遣いしたくなる。 本作の主人公は小さなキャンピングカーで、週末ソロキャンプを楽しむ女性。各地の名物から自炊まで様々な食を楽しみ、自然を満喫する。 思いつきで予定を変えたり、未知の冒険に突っ込んでみたり、予定通りに行かなくても次の楽しみを見つけたり。ひとりならではの自由さで、自分の「本心」を満たす。そんな彼女が本当に羨ましい。 その上で、どうも人付き合いは苦手そうな彼女が、一期一会の喜びを知ったり、意外な人との交流で相手の良さをきちんと受け取る。派遣先の会社のエースと言われる女性との、お互いを知り合う関係は2巻以降の展開を楽しみにさせてくれます。 たくさんの知識と共に、主人公の「満たされる」感覚を共有すると、世界を受け入れる心の余裕が私にも生まれました。道草寄子の食べ走り風光めいび2わかる
あうしぃ@カワイイマンガ2022/05/14セックスしたいだけなのに #1巻応援性欲が強い人も、なにかと大変だと思います。男性であれば、性を謳歌する事がおおらかに認められる文化がある。それが女性であれば、とたんにモラルの奥に隠される。そんな女性の性欲が可視化され、さらに誰にも否定されないところが、この作品の第一の美点です(この言動が、性犯罪者男性の言い訳に使われかねない事には注意が必要)。 台湾人のT子は、自らの欲望に従って日本の男とセックスしに来る。1巻にして既に4人。 猪突猛進のT子。はっちゃけぶりと暴言に思わず吹き出してしまう。エロい事をガンガン言い、いつも発情している様子はコメディとして笑える。 対する日本人男性は、みなイケメンかつハイスペック。しかしここで面白いのは、T子がなかなか満足しないところ。 T子のやりたい事ははっきりしている。ただセックスしたいだけなのに……と言いながら彼女の欲求、フェチや性交の頻度等は独特で強固。しかしそれを満たすには「違う人間である」相手側と、互いの欲求を擦り合わせなければならないはず。そしてT子には、その視点は今のところなさそう。 彼女は社会規範から自由で、堂々と主張できる人なのですが、彼女の人生を充実させるにはそれだけでは足りないのだろうな、と感じるのです。 まだ1巻。最高の快楽体験のために、友人に色々突っ込まれつつ迷走するT子には何が足りていないのか……それは最後まで読まないと、わからないのかもしれませんね。 (なぜ日本なのかについては、フェチ的観点と台湾社会の点から語られます。外から見た日本は面白い!)T子の一発旅行穀子5わかる
あうしぃ@カワイイマンガ2022/05/13歪みの中で寄り添う二人 #1巻応援仕事も生活も上手くいかずに絶望したOLは、勤務先の社長令嬢である16歳の少女に飼われる形で一緒に暮らし始める……という甘さを連想させるあらすじに反して、1話から不穏。 OL側の事情が明らかになるにつれて、物語はおかしな方向へ向かう。たった1巻で状況は大きく変わり、私は展開にビックリしながら、少女の血縁を巡る物語を追わざるを得なくなる。 警護の男性二人組はウザい程の圧力でOLにつっかかり笑いをもたらす。OLは不器用で嘘をつく事も出来ない誠実さ。何かを隠しつつ隠しきれない?OLを、捻くれているようで意外と真っ当な少女は試すように翻弄する。 この二人の距離感と共に百合的なのは、少女と叔母の関係……というか、叔母が一方的に募らせるある想い。ここには酷く歪んだ「姉妹百合」がある。 様々ないびつな思惑が、お互いを大切に想い始める少女とOLを翻弄する。事態は二人の本意とは少し違って進んでゆく。今後どうするのか……手錠無しで添い寝できる日が来るのを願って。ワケあって社長令嬢に拾われました灯3わかる
あうしぃ@カワイイマンガ2022/05/06狂信者の瞳は現実を映さない #1巻応援死んだアイドルに扮して動画を拡散させる、いちファンの女子高生の物語。そこに強い想いがあるのは確かなのだが、その想いの全容は隠されているので、1巻はどこか曖昧なミステリアスさに覆われる。 主人公のやっている事は、教祖を喪った高弟の様だ。その存在感が消えてしまわないようにビジュアルに留め、鮮やかに蘇らせる。 自らの存在を引き換えにしても、アイドルを蘇生させたい主人公。盲目的な想いを乗せた眼差しに、現実は拒否され交わらない恐ろしさ。彼女をとても〈尊さ〉なんて言葉では言い表したくない。 狂信者、という言葉がしっくりくる。 そんな彼女に、心に闇を飼う男子が巻き込まれる。彼の闇は私にも共感できる程度の物だが、それが簡単に利用され、絡め取られ、いやがおうにも巻き込まれる時、主人公の想いの強さ・ヤバさが強調される。 アイドルの喪失から生まれた信仰の形……盲信、同一化、全てを捧げる姿勢など、ゾクッとするシーンが続く。誰にも歓迎されない主人公は、どこまで想いを貫けるのだろうか?想いの最果てで、虚な瞳は何を映すのだろうか。ポラリスは消えない嶋水えけ3わかる
あうしぃ@カワイイマンガ2022/05/05三姉妹と看板建築 #1巻応援この建物見たことある気がする……三姉妹の住む古書店兼住宅を見て思う。 しかし少しネットで探ってみても、同じ建物はヒットしない。……そう「看板建築」って言うんだったな。店舗部分だけ洋風にした家屋。ネットには良い感じの古建築の写真がいくつかあるが、同じ物は見つけられなかった。幻だったのだろうか……。 三省堂の店舗が建て替えになると聞いた。また少し変わる風景。思い出の中でうろ覚えになる街の姿。そんな場所で、慣れない古書店業に右往左往する次女、彼女を支える長女と三女の三姉妹。リアリティを感じられる範疇での三人の冒険譚は時にのんびり、時にスリリングで楽しい。古書店業の業務も興味深い。 隣の同業者の従業員と何か縁のある次女、昔の恋を忘れられない長女。そしてDV男と離れられない同級生が好きな三女の想いは、殊の外強烈だ。恋と古書店サバイバル、さらにお隣の秘めた思惑が不穏さを醸し、気持ちがざわつく第1巻。 そして古書の町である神保町は、出版社・カレー、そして古い建築のある場所。この作品には街並みがそのまま描かれて、雰囲気も良いし、行ったことのある人は盛り上がれる事請け合い。 私が知っている"ような気がする"建物で、三姉妹が生活している事を空想する。本の中に"変わらない"神保町とイキイキと動く「空想の」彼女達を封じ込めた、と考えると、虚実入り混じった記憶のバグを泳ぐ様な不思議な感覚があった。百木田家の古書暮らし冬目景3わかる
あうしぃ@カワイイマンガ2022/05/015股!どれも本気百合 #1巻応援新女子大生が、入学初日に出会った5人の女性と次々に恋に落ちてしまう物語。そしていずれも両想い!という事で、第一話から大変さと甘さに脳をかき乱されたのですが……。 個性的な5人の女性が、主人公に惹かれるポイントは様々。声、手触り、匂いetc.フェチポイント多彩ですが、それぞれの性的惹かれが強く描かれて、恋というのが理屈じゃないんだなぁ、というのが分かります。 そう理由は無くても、恋は恋。 主人公・空池(そら行け!)メイは、5人の女性に同時に恋し、何なら付き合いたいと思ってしまう「人倫にもとる」状態なのですが、でも、恋が理屈じゃない、と知っている私にはそれも仕方ないことだと分かる。 色々制御できないメイは、どの人とも出会って二ページで恋に落ちる(少し誇張あり)。でも性的・恋愛的惹かれってそういうもんだよね?色々こねくり回した「恋に落ちる」表現より、この作品の"光速恋落ち"描写の方が私には腑に落ちるのです。 後半、学内でメイに群がる女性達。1巻にして大混戦!全員を好きすぎて絶対一人なんか選べないメイ、どうするんだよー!とソワソワして、いてもたってもいられなくなる感じ。 本当に 結末が わからないどれが恋かがわからない奥たまむし4わかる
あうしぃ@カワイイマンガ2022/05/01"隠してる二人"のお料理百合 #1巻応援本作の主人公は、美味しいご飯をガッツリ食べたい女子大生。そして食べたいものは自分で作ってしまう、料理上手でもあります。 そんな彼女が学内で人気の先輩と出会い、偽装恋愛しながら先輩に料理を教え、共に食するうちに距離が縮まり……という甘やかで楽しいお話はしかし、その中に若干の緊張感を孕みます。 主人公はコンプレックスが多い。ガツガツ食べるのが好きのも、恋愛に興味が無いのも人に隠している。一方の料理下手な先輩もミステリアス。物知りで恋愛経験も豊富?で、主人公を翻弄しその気にさせてゆくのに、何かを隠している。 距離を縮めるトキメキを追いながら、時に不安になり、その不安を解消したくて先を読むうちに、一冊をあっという間に読み終えて驚いてしまいました。コンプレックスを抱く主人公&何かしらの病みを飼う先輩に、優しい解決が訪れる事を願って、次巻を待ちます!先輩、美味しいですか?みかん氏2わかる
あうしぃ@カワイイマンガ2022/04/29タイトルから見る"伴侶"の形ここではタイトル『不揃いの連理』の語義と内容をリンクさせながら、(6巻までで)四組の女性ペアの関係を追う本作の魅力を書いてみたいと思います。 「連理木(れんりぼく・れんりぎ)」というのは、隣りあった木々の接触した枝や幹が一つにくっつき、木目まで混ざり合った状態のこと。そこから「連理」という言葉は二人の深い契りを表すのだそうです。 幸せな予感のある「連理」という言葉。では「不揃いの」という言葉はどうでしょう? 登場するペアは、いずれも全然タイプの違う二人。そしてどちらか片方、もしくは両方とも「ダメな人」だったりもします。 まっとうな会社員×元不良は見た目に反して、ダメなのは会社員の方。いかにも悪そうな人と優等生のJKコンビは、優等生が意外と暴力的etc……。でもそんな二人が何故か寄り添う。 ではそこにどんな心があるのか。 ある人に惹かれる理由を、言葉で言い表すのは難しい。でも、なぜある人の側にいるかは、理由を言える場合もある。 この作品でそれが分かりやすいのは、ダメな漫画家に接する生真面目な編集者。彼女は恋愛的惹かれの他に、ダメな漫画家を支える動機としての「ある気持ち」を持っている。そして同じようなものは、他の三組にも見て取れる。「ある気持ち」はおそらく頼りない人に対する普遍的な心情なので、納得する人は多いと思います。 「ある気持ち」で支え合い、接するうち、彼女たちはいつのまにか離れ難くなっていく。そこには理屈ではなく、もはや必然として一つになった連理木が生まれている。 伴侶って、こういうことだよな……大きな安心感とエモーションが同居する感じ。実はかなり暴力描写・しんどい内容も多いのにそれはとても不思議な感覚で、いつまでもこの物語を追う動機となってゆくのです。 ダメな人に対する、共通する「ある気持ち」......どんなものか、ぜひ本作から探してみてください。 さあ、まだ不穏な堅物教師×生徒の物語はどうなるかな? (6巻までの感想) (追記:実はマンバ読書会でリアルタイムで書いたものから、細かく改稿しています。どんなふうに変化しているか、ぜひ配信と比較してみてください! https://www.youtube.com/watch?v=FgBPuVvUHFI) #マンバ読書会 #クチコミを書く回不揃いの連理みかん氏7わかる
あうしぃ@カワイイマンガ2022/04/23作家と家政婦のパートナーシップは? #1巻応援田舎を飛び出した女子高生が、従姉妹の紹介で女性ラノベ作家の住み込み家政婦として働くお話。1巻は二人の会話が楽しいコメディの中に、同性愛の切ない感情が織り込まれて、やり取りに引き込まれました。 厳しい家で育てられた女子高生と、お金持ちな作家の思考のギャップや、純粋な女子高生をからかう作家のやりとりが面白い。 時折、女子高生が作家に寄せる恋心が見えるのですが、それが「同性愛である」事で色々鬱屈してしまっているのが、さらに切ないのです。 田舎で受けた心無い差別。居場所を求めて逃げてきたはずなのに、受け入れられるために同性愛を隠したい気持ち。それでも止められない恋心。彼女が東京で幸せになるのを、願いたくなります。 一方作家はというと、他人にも自分にも期待していない節がある。冷めた心で生きる作家にとって、女子高生がどんな存在になれるのか……二人のパートナーシップに、熱い可能性の予感です。 現実世界を描きながら、登場人物は女性ばかりの物語。男はいらない!という百合好きにも(1巻時点では)おすすめします。〆切前には百合が捗る鈴木マナツ 平坂読 U35 さきだ咲紀2わかる