野愛
野愛
1年以上前
物語として素晴らしい。 装備ゼロの勇者が敵を倒し故郷を救う物語でもあり 闘いの果てに愛と友情で世界を照らす物語でもあり ひとりの少年が父を超えるイニシエーションの物語でもある。 関口将太くんが立派な寿司職人になるまでの成長物語、というワンセンテンスで片付けてはいけない。 関口将太が寿司を通じて人間力を高め、その清らかな心で病める人々を救う物語なのだ。 第一話から将太くんは間違いなくいい子であるが、困難に立ち向かい寿司の技術を身につけていき、人類がおよそ到達できないような高みにまでのぼりつめている。 ガンジーはピストルで襲撃され命を落とすその瞬間に、あなたを許すという意味のジェスチャーをしたと言われている。 関口将太自身を、関口将太の家族を苦しめ続けた笹寿司に対して何を見せたのか 人の心を失い修羅のように寿司を握った敵に対して何を見せたのか その答えは、ガンジーが死の淵まで提示し続けた許しの心に匹敵するものではないか。 寿司を握るという行為を通じて、ひとりの少年が神の域にたどり着くまでをわたしたちは見届けることができるのだ。 将太の寿司は創世記である。 将太の寿司は神話である。 将太の寿司は…寿司がめちゃめちゃ美味しそうである。芽ねぎ食べたい!マグロステーキ食べたい!お寿司食べたい!!! 煩悩を刺激する神話ってすごくないですか? 地球に将太の寿司が産み落とされたという事実、それがもはや神の御加護なのでは…!? 将太くんが神なのか寺沢先生が神なのかはたまた寿司が神なのかもうわからないけれども、とにかく将太の寿司は全人類に読んでいただきたい漫画であること間違いなし。 全ての人類が将太くんのように常に誰かを思えば世界は変わるのではないか。 隣人を愛せよ、隣人に寿司を握れよ。こんなご時世だからこそ愛を忘れずに生きていきたい。 ちなみにわたしが好きなお寿司屋さんは回らないかっぱ寿司です。新幹線すこ。 というわけでワールドステージ読んできます。
名無し
1年以上前
上条星羅(カミジョウセイラ)は才色兼備の24歳独身OL。 趣味は釣り。それも徹底して一人での釣行に拘っている。 求道者レベルで釣りに打ちこみ楽しんでいる。 あらゆる物事が釣りを連想させ、釣行に走ってしまう。 しかしセイラさんは孤高の「おひ釣りさま」ではあるが、 けして単なる釣りバカとか釣りオタクではないと思うし、 そこが面白い。 実は釣り以外の趣味や娯楽にも精通していそうだと、 いや下手をすればそれぞれの趣味のマニアよりも 詳しいのではと、そう思わせるフシがチョイチョイあるのだ。 例えばナマズ釣りの面白さを、ミュージカル観劇で 感じる面白さと比較して例えたり、 釣りのアワセの醍醐味を野球での豪球豪打に例えたり、 微妙なニュアンスではあるが、他ジャンルの面白さも 色々と尊重しつつも釣りをもっとリスペクトしてくる。 普通の人は広島カープファンの応援スタイルとか知らんし、 釣りと結びつけて考えたりしないし、とも思うが(笑) どこをどうやったら24歳のOLがあらゆるジャンルの 面白さにそこまで精通してしまうんだよ、 しかもそれでも釣りの面白さが一番なのかよ、と あきれてしまう。 そういう意味でセイラさんは孤高で面白くてスーパーな 「おひ釣りさま」だと思う。
上条星羅(カミジョウセイラ)は才色兼備の24歳独身OL。
趣味は釣り。それも徹底して一人での...
野愛
野愛
1年以上前
なんで我が家にはパンダがいないんだ!!と暴れ出したくなりました。百歩譲って我が家じゃなくていいです。せめて近所にいてほしいです。 そんなことを思うくらいに、パンダの大福さんが可愛いですし、日常に溶け込んでいます。 日常に溶け込んで疑問をもたれない動物の漫画(はぐちさんとかぶたぶたとか)を読むと暴れ出したくなります。だっていないんだもん!! 無条件で愛されたいし愛したいし、自分のことも周りのことも知らなくていいけど本当のところはわかって受け入れてくれてる。みたいな存在が欲しいんですよね。母性とか父性とか全部混ぜて柔らかく仕上げたみたいなもので包まれたいんですよね。 大福さんなら包んでくれそうです。よもぎちゃんのことが大好きで大切なんだということが伝わってきます。ひたすらほんわかしている漫画なのに優しすぎて泣きそうになります。 こんなごちゃごちゃしたことを考えながら読む漫画ではなく、単純に大福さんとよもぎちゃんが可愛くて癒されます。本当です。 やっぱり我が家にも大福さんが来てほしい。いい子にするのでせめてクリスマスだけでもいいから来てほしい。
たか
たか
1年以上前
タイトルと表紙のエモさに惹かれて買ったやつ。初めて渡辺多恵子先生の作品をちゃんと読んだのですが圧倒的な絵のうまさと読みやすさに感動してしまいました…! 肌の柔らかさを感じさせるデフォルメと、(なぜ良いと感じるのか説明できないからどう褒めればいいのかわからないけど)とにかく「完璧」なコマ割りがたまらない。 表題作は8月31日に死んだ男子中学生とその親友の話。 その話の後に挿入された「MARCOの身辺雑記 同人活動は卒業!?の巻」によると、この短編の主人公・佑太は先生が同人活動されていたジャンルのキャラの影響を受けているのだとか(シ○ジくんのビジュアルに○ミオの性格)。 この雑記の中で、「狭い世界でシ○ジを描くより万人に向けて佑太を描く方がいい」と書いていらっしゃり、また最後に「新連載」風光るの宣伝をされています。 タイトルに書いたように、これは1997年の短編集なんですよね…なんか伝説の始まりを見たような気分になりました。 2作目は、妹が兄と好きな人がやってるバンドを応援する話「COMING OUT!!」。コンテストで(腐女子の)人気を集めるために、妹がノンケの2人にゲイだとカミングアウトさせることを思いつく。…この話は現在のコンプライアンス的に受け入れ難いなと感じました。 3作目の「キチキチ」は、チャラチャラしてる癖に優秀な兄に劣等感を抱く、優しさと素直さだけが取り柄の弟の話。弟は「キチキチ」という、自分が気づかないフリをしている醜い心の声を囁いてくる存在が見えるようになってしまい追い詰められていくけれど、かつて自分も同じものを見た兄に救われる。 発売から23年経った今読んでも絵に全く古さを感じない。渡辺先生のこの絵の強度の高さをぜひ味わって欲しいです。
タイトルと表紙のエモさに惹かれて買ったやつ。初めて渡辺多恵子先生の作品をちゃんと読んだのですが...