たか
たか
1年以上前
「失恋で傷心中の主人公・七海が、1人で登山中の富士山で謎のアンテナを抱えた海洋動物研究家の教授と院生に出会う」、「富士山から海上へ移動する」という、非常にインパクトのある掴みバッチリな第1話が最高でした…! 海洋動物の研究室というのは、描くのが難しいテーマに感じますが、作中に「バイオロギング(野生動物に装置をつけて行動を記録する調査)」によって得られたデータのグラフが登場したり、取材をもとにリアルな海洋研究の現場が描かれ、まるでドキュメンタリー映像のように読み応えがあります。 また表紙からもわかる通り、とにかく絵が魅力的…! 登場人物たちはゆるい可愛らしいデフォルメで描かれるのに対し、動物や実験に使用する装置は精緻に描かれるので、動物たちの迫力がより際立っていました。 そして磯谷先生の恋の描写の仕方が本当に絶妙で唸ります。 「好き」という言葉や少女漫画で使われる赤面やキラキラした背景といった「記号的な表現」を用いずに、相手に惹かれていく様を見せるのが本当に上手い…!地に足ついたリアルな感情表現が最高です。 ひとつ気になったのは万里子のフェードアウト…! そもそも万里子のキャラ造形自体が非常にリアルで素晴らしい。漫画的な「完全にクロの悪役」ではなく、身近に存在する「(優秀で基本的にはすごく良い先輩だけど)嫌な奴」という「グレー」な人物。 そのため万里子は悪役として何かわかりやすく悪いことを引き起こすことなく、また悪役としての報いを受けることなくサラッと舞台から消えるのですが、自分としてはもっともうひと暴れして欲しかったです…! 海の動物と人間の両方がリアルに描かれる素敵な作品なのでぜひ読んでみてください。 (画像は1話より。クジラ…ではなくロガーを追う陸男たち)
「失恋で傷心中の主人公・七海が、1人で登山中の富士山で謎のアンテナを抱えた海洋動物研究家の教授...