兎来栄寿
兎来栄寿
9ヶ月前
新鋭・Diceさんが送る、魔法学校ものとミステリが融合した作品です。 才能ある者たちが集い、一流魔女を育てる名門「ネビュラント魔法学校」。魔法制御の力も魔法に関する知識も乏しい主人公の一年生魔女アリーズは、魔法を学ぶためではなく姉を石にした犯人を探し出して姉を元に戻すためにネビュラントに入学した少女。 アリーズはかつて人に酷い裏切りを受けた経験から「騙されるのは他人を信じた時だけ」を信条としており、たとえどんな危機が迫ってもあらゆることをひとりで片付けようとします。笑顔で近付いてくる学友たちの中に、残忍な犯人がいるかもしれないから。そんな孤独なアリーズの奮闘が描かれていきます。 魔法学校ものといえば、現実にはない魔法を用いた生活様式や、多彩なキャラクターたちが魅力的ですが本作でもその辺りはたっぷりと描かれます。 物語開幕冒頭からアリーズを敵対視してくるお嬢様のスコルピアや、きのこを操る魔法を使うカプリース、シスコンの姉ジェムとメグの姉妹、いつも自分を助けてくれる大喰らいのルームメイト・レオなど癖のあるキャラクターたちが良い味を出しています。 また、魔法的な部分で言うと魔法生物グリッフルとの協力によってサニーベリーを収穫する授業などは世界観をよく表していて面白い所です。私もグリッフルをモフりたい。また、図書棟や魔法庫といった場所もファンタジー感がたっぷりと出ていて良いです。 そして、バトルシーンはもちろんですが、アクエリア先生の登場シーンなどただ移動するだけのアクションですらカッコよく描かれているのも特徴的です。 おまけマンガも勢いよく笑ってしまいました。 それにしても、果たして犯人は誰なのか。私、気になります。
兎来栄寿
兎来栄寿
9ヶ月前
『シマシマ』、『サイレーン』、『はるか17』などでお馴染みの山崎紗也夏さんが描く、「猫」×「グルメ」×「恋愛」という美味しいものをたっぷり詰め込んだお子様ランチのようなマンガです。 雨の中、怪我をしている猫のミケを助けたことで知り合ったシュウとアヤ。ふたりは何やかんやで同棲するようになったものの、シュウは親の不動産業の手伝いをしており、アヤは看護師で夜勤もあり生活時間帯が異なり少しすれ違う日々。 しかし、それを埋めてくれるのが毎週火曜日にミケが恩返しで人間の姿になって作ってくれる美味しいご飯。シュウもアヤも、まさかミケが作っているとは思わずお互いに料理が上手だなと勘違いしながら食べていく様子が面白いです。 ミケは、毎回共用財布から持ち出した1000円札1枚くらいを使ってスーパーで買い物をし、その日のお得な食材を調達して料理をするので登場するレシピは日常手にできるものばかりで、作ろうと思えば作れそうなものばかりです。作中でも卵1パック220円で買っていましたが、ようやく卵の値段が下がってきて一安心している庶民としては、安心するメニュー。野菜もたっぷり使われていて健康的なので、読んでいて作ってみたくなるものも多いです。コンソメスープに油揚げを入れるのは今度確実にやります。 生活時間がズレているふたりなので個別に食べるのですが、面白いのは後に食べるアヤはいつも残り物を少しアレンジして食べるところ。調味料を少し加えて味変したり、パンやうどんを追加したり。それに対してミケが「ご自由にどうぞ」と優しく見守ってくれているのが癒されます。 猫とご飯部分はひたすら癒されつつお腹が空くのですが、シュウとアヤのふたりの煮え切らない関係性は読んでいてもだもだし、作中のミケの気持ちに同調します。 本編のミケのモデルとなっている山崎さんが飼っている保護猫を描いた巻末のおまけマンガは、我が家の保護ポメも似たような所があり笑ってしまいました。我が家のポメも不在時に美人になってご飯を作ってくれたらなぁ。