無知なもんで「不気味の谷」と呼ばれる現象のことをこれを読むまで知らずにおりました。 たしかに現実に、人間に限りなく近い動作をするロボットがいたら、「怖い」「気味が悪い」と思うだろう。創作物ではしばしばなかったことにされるけど、この読切はまさにその現象を取り上げてそれによる周囲の人間の反応を描いてます。 自分はどちら側だろうと考えると間違いなく気味悪がりながらも面白がってしまう方なんだけど、人間みたいなロボットに対してリアルな友達と同じような感情を持ってしまう人間鈴木くんと、ロボット吉沢くんとの関係性はなんか羨ましく感じました。
変なひねりとかなくてなんも考えず笑える良い読み切りでした!こういう話がいちばん好き。ところどころで母ちゃんがちょっとイタいロック用語かますところとかも含めてたまらない。
ずっとバレエに人生かけていたけれど、それぞれの理由でプロまで手が届かなかったり、志半ばで辞めてしまった者たちの話。バレエから離れて生きる意味を見失い空っぽな人生を送ってきた主人公が、先輩の引退公演を観にウラジオストクまで飛びます。 私のようななんの取り柄もない一般人からすると、目標を失ってもまぁなんとかなるだろうという楽観的な考えに及びますが、何かに人生かけてきた人たちって、そういう次元で生きてないんだろうなというのが伝わってきました。続けるのも、諦めるのも、その後の人生をどう生きるかも、一筋縄ではいかない。
タイトル通りまさしく「ニセミコさん」。 そしていつも神社の前を通って拝んでいく青年。 このとてもいい二人の関係が見れた。 会話のやりとりのリズムが心地良い。 ずっと見ていたくなる! 心の声がないのもフラットな感じがして好き。 2話とも裏切りもあっていい読切だった。 http://www.moae.jp/comic/nisemikosan
何かあっても絶対に傷つきたくないから、表向きは人好きに振る舞って、本心では誰のことも信用しないように生きている主人公。そんな彼女が、そんなことどうでも良くなるような恋をした。ただそれだけの話です。でも、その普通がめちゃめちゃ怖いんですよね。そういう切り口で描かれた漫画は初めて読んだのですごく面白かったです。あんまり普通って言葉を何も考えず使うのは好きではないですが、すごく普通のことを描いた漫画。それ以外に言いようがない。
※ネタバレを含むクチコミです。
どう考えても駄目なのにぽっと出の新人作家に振り回されている編集部の滑稽なことよ…だって売れるんだもん仕方ないじゃんね。タイトルに「ンニック」てつけるのもなんとも絶妙なチョイスじゃないですか。「ンニえもん」でいいのにあえて。 むしろ今の御時世で3巻まで続いたことが奇跡だと思うし、数十年後にはパクりすぎて打ち切りになった漫画としてプレミア付きそう。笑 オチも良かったです。ちょうど忘れかけていたネタだった。 前作「御蚕様改良記録」との落差も凄いです。
自称どこにでもいる関西人の新米教師が赴任した丑光高校には百七不思議が存在する!いやいや107ってありすぎだろ、こりゃ完全にギャグ漫画だなと思ったら意外とちゃんとホラーでビックリ。というかハイレベルなシュールギャグだった!大きな黒目がまことちゃんを彷彿とさせる謎の小学生スイカちゃんは百七不思議の一つ。彼女に振り回される新米教師の慌てふためきようがもっと見たい。
蚕に対する圧倒的熱量を感じる読み切り。これぞ四季賞というテーマかと。虫がとにかく駄目な人にはきついかも知れませんが、蚕はとっても可愛く描かれています。それゆえに、違法繁殖させる悪徳業者が増え、主人公も命以外を全て失ったといっていいような展開は悲しかった。 繁殖や遺伝子改良について全く知識がないので、主人公が人間と蚕の共存を願って行動したことが正しいのか間違っていたのかわかりません。ただもっとこういう誰も描かないようなテーマの漫画を読みたい …と思っていたら作者の次回作が、ファンタジック・マンガ業界コメディ『パクリ戦争』と書いてあってズッコケました(超絶楽しみです)
この読切は、ただ骨壷の蓋のあたまに付けた小鳥のオブジェが大きかった、ただそれだけのことに大人数の大人たちがふりまわされる話なんですが、とてもコミカルで重くも暗くもない。山田洋次監督が撮る映画のような雰囲気があります。 さすがの四季賞、こういうワンシチュエーションでどんどん話が広がる漫画を描けるのってすごいと思いますし、主人公とおじいちゃんの関係性も話の流れのなかでよく分かる。霊媒師が出てきちゃった時は「まじかよ」と声に出してしまいました。最後のあの見開きにはまさに一件落着!という言葉がぴったりです。
叶えたい願いのためなら悪魔を召喚してしまう山田さんと、真面目で心優しい田中くんの過激だけど真はとてもピュアなお話。 ふたりともお幸せにな…という気持ちです。これからも山田さんは突飛なことをしてしまうと思うけど、ぜんぶ田中くんが受け止めてくれるからきっと大丈夫。のはず。
「何百万人のファンがいても救われない俺と そんな俺の笑顔ひとつで救われる女の子」 アイドルという仕事を端的に表したセリフかもなぁと思いました。 生死にも関わりかねない問題だらけの社会で、時間稼ぎのように芸能ニュースを垂れ流すワイドショーに嫌気がさす一方、人間の興味関心というのはいつでも他人のプライバシーに向くのだなと思い知らされる。 ウタマロちゃんの性別なんてどっちだって良い、という正解がわかっているのに、自分は最後までウタマロちゃんの性別を知りたがってしまった。人間はきっと、死ぬまでずっとこうなんだろうな…。 でも最後の最後で、そんなふうに諦めたら終わりだなと思い直せるような希望も描かれています。
家の火事で命を落とし、同時に思い出が詰まった写真も燃えてしまった幽霊の女の子と、はじめてフィルムカメラを手にした男の子の交流のはなし。 現像しないとどんな写真が撮れているかわからないことは、写ルンですの再ブームがきているように、若い世代にとって当たり前ではないことであるのと同時に「撮った」という体験が記憶に残りやすいのかも知れない。 フィルムは取り直しや削除という概念がないことで、一枚一枚の写真に意味や気持ちがより上乗せされる。今だからこそ、スマホでは撮れない写真の面白さ、大切さを再認識できた。
タイトルがいい。お笑いという業界に身を置く者にとって「もう一度あの行列に並びなおす」ことには想像を絶する難しさや葛藤、覚悟があることがひしひしと伝わる漫画でした。 がむしゃらに汗水たらして突き進むのではなく、自分を俯瞰するような冷静な目線がリアル。 自分はその業界のライトがあたってるところしか見たことがなくて、その影には果てしなく長い行列がなしていることを想像すらしなかった。 絵も上手いし、非常に読みやすい。ついでに前作「背に負はば月影の重き」も読みましたがそちらも芸人と就職の間で揺れる大学生の話でした。こちらも面白いです。
世界観とかもいいし、絵も上手いし、キャラデザとかストーリーも完成度が高くて面白かったです。 少し物足りなさを感じたのは、主人公2人の人となりがあまり伝わってこなかったからかもしれません。もっとアクが強いとか、忘れられない特徴があるようなキャラクターだったらもっと印象に残ったかなと思いました。
すごいもの読んだな〜と、いい意味でゾワッとした読後感。心のなかで拍手。 気が利いた言葉が見つからないけど、愛と正義と夢が詰まった作品だと思います。 四季賞新人戦枠の掲載みたいだけど、レベルは新人のそれじゃないです。連載作家として再登場する日も近いんじゃないでしょうか。
異世界と自宅のこたつが繋がってしまい、魔王と勇者がこたつから抜け出せない状態から物語が始まります(笑) 一度囚われたら出られない「こたつ」の魅力をめっちゃ活かした設定がナイスです。こたつを囲んでの会話シーンは笑いの連続で、主人公の塩対応ぶりや、魔王達の反応がいちいち面白い。 異世界に戻れるまで、最後までダラダラ過ごすと思いきや怒涛のラストへ…。 意外と、緩急の激しい漫画でした。
バスケ好き不器用な男子と身体能力抜群イケメンの組み合わせ。いやぁ〜青春してるなぁ〜!噛ませの他校の不良部員たちも良い仕事してます。飛び抜けて絵やストーリーが優れているわけではないものの、扉絵の萩尾望都先生のコメント【爽やかで楽しい!コメディセンスもgood!です】というシンプルな感想が全てだと思いました。
幼い頃から切磋琢磨してきた親友と共に、プロ野球選手となった主人公。 サヨナラ試合をきっかけに親友が失踪してしまう…。 野球の中に人生があり、人生の中に野球があるような人達の物語で、上手く行くことばかりではないけど、読んでいてとても爽やかな気分になれた。あらためて野球って良いものだなと。 全体的に上手くて引き込まれるシーンが多くて、特にピッチングのフォームとか、描き方がとにかく凄い!(語彙力) 魚眼レンズのような風景もハマっていて、物語そのものに心地よい広がりを感じました。
アパレル店で働くかっけぇ彼氏の元に、可愛い彼女(大学生)が服を買いにご来店。そして更衣室で破壊力抜群の密着イチャコラ展開爆発。 これだけ距離が近いと、男女の身長差や、手足のサイズの違いがハッキリ分かる。というかその部分を魅せるのがマジ巧い(とくにすごいのは腰)。これを読んで平静でいられたグフタ読者はいないだろう。
元地下アイドルの「レイ」と、格闘技のインストラクターを目指す「ハル」。 それぞれ、別の道を歩んでいた二人が行き着いたのはプロレスだった…。 すれ違いから始まりながらも、二人とも今まで散々傷ついてきて葛藤する描写に心を動かされました。 特に自閉症を抱えているハルの荒ぶり方は、読んでいて辛いものが。 昔のプロレスのイメージとは大分違って、様々なタイプの選手が増えているのでしょうか。 最近のプロレス事情に詳しい人の感想も聞いてみたいところ。
と、つい言ってしまいそうな構成と絵の上手さ。 この作品では、不良と柔道の出会いが描かれてるが、 どんな構図のアクションでもかかってこい!という技を感じました。 タイトルも最高。
無知なもんで「不気味の谷」と呼ばれる現象のことをこれを読むまで知らずにおりました。 たしかに現実に、人間に限りなく近い動作をするロボットがいたら、「怖い」「気味が悪い」と思うだろう。創作物ではしばしばなかったことにされるけど、この読切はまさにその現象を取り上げてそれによる周囲の人間の反応を描いてます。 自分はどちら側だろうと考えると間違いなく気味悪がりながらも面白がってしまう方なんだけど、人間みたいなロボットに対してリアルな友達と同じような感情を持ってしまう人間鈴木くんと、ロボット吉沢くんとの関係性はなんか羨ましく感じました。