ダーウィン事変

人間社会の異質なこと、考え方、色んなことを考えさせられる。

ダーウィン事変 うめざわしゅん
干し芋
干し芋

2巻まで読了。 人間ととチンパンジーの間に生まれたハイブリッド、ヒューマンジーのチャーリー。 母親のチンパンジー、エヴァは天才で、認知能力では、人を上回り詩まで作っていたという。 そのエヴァに興味を持ち研究を始めたグロスマン博士は、まさかの子どもまで作っていた。 同僚の間では、「二人は恋仲だ」とも言われていた。 エヴァは、出産のダメージで脳に障害が残ってしまい、現在は、一般のチンパンジーより認知能力は低い。 しかし、15年経って、チャーリーが会いに行ったとき、今では、認知能力のないエヴァが、カードでメッセージを伝えようとしてきた。 これは、ただでたらめにカードを選んだだけなのか? 謎が深まる! 現在は、人間の両親の元で育てられ、高校に通い始めたチャーリー。 この、漫画の魅力のひとつは、やっぱりチャーリーがキュートなこと。 眼がくりくりしていて、鼻の下が長くて、耳が大きく、口の形がちょっと河童みたいで、ほんとかわいい♬ そして、運動神経が信じられないくらいに良い上に、考え方も論理的でクール。 次々と降りかかる、事件をどうやって対峙し解決していくのか。 人間とは認められていない、ただの物としての扱いにしかならないチャーリーの未来はどうなるのか。 本当に、楽しみしかない。

ダーウィン事変

ヒューマンとチンパンジーのあいの子、ヒューマンジーチャーリー

ダーウィン事変 うめざわしゅん
さいろく
さいろく

こりゃー事変だ。 3巻まで一気に読了。 すごい漫画だ、そしてすごくアメリカだなぁとつくづく感じる。 かといってこの題材で日本だと現実味はないとわかっててアメリカなんだろう、想像してみりゃわかる自然さと、リアルすぎる文化が入り交ざっている。 どうなっていくんだろう、どうするんだろうという期待も含め、これまで自分の読んできた短い名作たちと同じ短めな物語になってしまうのを想像してしまう。 ただ、自分の感覚ではこの時点ですでに名作だ。 自由の国では何を主張してもいい、みたいな風潮はあるけど主張したことで起こるその後の事については誰も守ってなんかくれない。 例えば(この漫画でも序盤に話題に出てくるが)私はヴィーガンはある種の宗教のようなところがあると思うけど、多数の人が集まるとそうなってしまうもんなんだろう。 ヒューマンジーであるチャーリーは唯一無二だが、この世界において生を受けたという意味ではただの一人でしかない。ONEであることはひどく難しい、というのがよくわかる。 なんか色々言いたくなる漫画でもあるなー、とにかくすごい漫画。 単行本派なので次号で終わってしまいそうな心配も少しあれど、それはそれで仕方ないとも思う。 うめざわしゅん先生の知識や想像力がいかんなく発揮されているので、この後の目を瞠る展開を楽しみに待ちたい。

トップウGP

嫌味を感じない楽しい天才達

トップウGP 藤島康介
名無し

天才というのは、凡人には判らないものがわかるとか、 出来ないことが出来る、というレベルではないと思う。 もう、見えているものや感じていることが 凡人とは違うのだと思う。 例えば数学だったら難解な方程式が判るという程度は まだ天才とは言えないだろう。 数学を文学のように感じていたりするレベルが 天才と言っていいレベルなのではないだろうか。 ほんとの天才ってのは、凡人には理解できない存在 のことを言うのだと思う。 凡人たちから見て理解できない宇宙人のような存在。 それが天才だと思う。 だから天才は近寄りがたかったり、理解できないことからの 恐怖感や妬みのような嫌悪感を漂わせる危険もある ・・と思う。 ようするに、凄い人だけど友達になりたくない人、みたいな。 そして多くの漫画に登場する天才達のなかには、 そういった面が強すぎて、 人気が出なかったキャラ・漫画も多いと思う。 「トップウGP」の登場人物にはまさに天才という キャラクターが多い。 主人公も、仲間もライバルも。 だがそういった天才キャラ達からイヤミな感じは 殆ど受けない。 理解はできないけれど天才ってこういうものか、と ギリギリのところで天才を受け入れられる。 天才の感じ方、考え方、行動の仕方が、 私のような凡人である読者からも、 そういう感じ方をするんだ、とギリギリ理解できる、 そして憧れることが出来る(と思っている)。 それには多少なりとも、天才達が 美形キャラだったり無邪気キャラだから という面もあるだろうし、 それも踏まえて作者の藤島先生の描き方が 上手いからという面は確実にあると思う。 だがどうであれトップウGPの登場人物の 天才達は嫌味がなくて楽しくてギリギリ理解できて、 友達になりたいと思うタイプの天才達で、 だから面白い漫画なんだと思う。

猫が西向きゃ

もう一つの世界があったら別の自分に会ってみたい!

猫が西向きゃ 漆原友紀
干し芋
干し芋

すべての物質は、絶えずゆらゆらとごく細かにゆれていて安定せずにあるものでそれは時にバランスを崩して形を変える。不完全であいまいな世界。これが、フローを呼ばれる現象が起こる世界。 と、現在私たちが住んでいる、世界。 この二つの世界にそれぞれ同じ人が同時代に住んでいる。 もちろん、職業も違うし、生活環境ちょっとづつ違う。 フロー現象は、人のこうだったらいいなぁとという思いで出てきてしまう、人起因と場所起因のものがある。 例えば、神経質な彼と付き合っていた片付け下手な彼女が、机の角にピッタリとリモコンを置く彼を見て自分のゴミ屋敷を見られては嫌だという思いから、町中から角が無くなり、すべての角が丸くなったり、お隣同士の同じ苗字の田中さん。表面上は、とても上手くいっているが、若い田中さんは、心の中で年配の田中さんを下に見ていた。そこで、現れたフローは、その格差分隣同士の高低が付き階段の多い街に変わってしまったり。 人の心のもやもやによって霧が発生し、フロー現象が起き、その心のもやもやが収まると元の状態に戻る。 この現象がいつ頃戻るのか?何が原因なのか?を現地に駆け付け解決していくのが、主人公のフロー処理業者のヒロタ。 そして、そこで、アルバイトをしているのが、フロー現象で35歳から12歳になってしまったコナンのような女子、ちまちゃん。 さらにフロー現象を感じ取ることのできるしゃちょうと言う名の猫。 テンポよくお話が進んでいくし、画もとても素敵なので面白く読めます。 爽やかな読後感で、私は、大好きな作品になりました。